リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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騎士甲冑は原作のままです。
ではお楽しみください!


第四十八話 能力のお披露目1と対烈火の将

「さあ、早速始めるぞ!!」

 

気合十分にデバイスであるレヴァンティンを構えるシグナムさん。

一方、こっちは、

 

「・・・・・・」

 

周囲の光景に呆然としていました。

呆然としつつも、聞こえてくる観客となっているはやて達の会話に耳をそばだてる。

 

「なあ、シャマル。ユウのやつ、どうかしたのか?」

「えーと、それはね?」

「ヴィータ、いきなりこんなとこに連れてこられたら、呆けるのも無理ないよ。私かて最初はびっくりしたし」

 

まさしくはやての言うとおり。

さてそろそろ目の前の光景について言及しよう。

目の前に広がるのは強い日差しとそれを遮るものなく、日差しにキラキラとした光を放つ雄大な・・・・・・砂漠。

どうしてこうなった? と自問しつつ、痛む頭を軽く抑えて始まりを振り返った。

 

 

発端は十分ほど前。

はやてが騎士甲冑のデザインを完成させたことだった。

それにテンションを上げたのがシグナム。

曰く、これで手合わせを果たせる、とのこと。

それを聞き内心滝のような汗をかく俺。

 

(やべえ・・・・・・こいつ、忘れてなかったのか)

 

シグナムの勝負事への執着に戦慄しながら、それを止めようとして、

 

「そういえば、何処で手合わせするん?」

「結界張ればいいんじゃね? シャマルが」

「ヴィータちゃん、そんな軽く言わないで。貴方達の手合わせが軽く済むはずもないでしょ。結界が持たないわよ。それよりも、無人世界に転移すれば気兼ねなくやれると思うわよ」

「じゃあ、そうすっか」

 

言葉を発する間もなく、手合わせすることが決まってしまい、転移させられたのが此処。

砂の他に何もない世界、との事なので気兼ねなく暴れていいそうだ。

以上回想終わり。

 

「さあ、早く構えろ!」

 

シグナムさんが剣を突きつけてくる。

此処でやっぱやめた、とは・・・・・・言えませんよね、はい。

 

「もういいや・・・・・・エルミナ、杖でバリアジャケットをセット」

『承知した。<Balier Jacket Setup>』

 

観念してエルミナにバリアジャケット展開を指示し、エルミナが変化した杖を握る。

杖に変化させたのは、シグナムさんと打ち合うことになったときのためである。

 

「<それじゃ。二人とも準備ええか!!>」

 

安全に配慮して距離をとった上でシャマルの結界に包まれているはやてが開始の合図をすることになっている。

はやての問いに頷くと、シグナムさんも顔を引き締め頷いた。

サーチャーで見ていたのだろう、はやては

 

「<ほんならいくで・・・・・・試合、開始ぃ!!>」

 

合図を下した。

瞬間、

 

「しっ!!」

 

脚力を発揮して一気に距離をつめて杖を振り下ろす。

この脚力、能力も絡んでいるが基本はこの体の身体能力による。

どうやら相当鍛えられているようだが、

 

(今回は好都合!)

 

狙うは脳天唐竹割。

真っ直ぐに振り下ろし、

シグナムさんが振り上げたレヴァンティンで受け止められた。

 

「この私に接近戦で挑むとは、その心意気は買うが無謀だぞ?」

 

そのまま跳ね飛ばされ、お返しとばかりにレヴァンティンが牙を剥いた。

けど、

 

「そんなの分かってるんだよ! 吹っ飛ばせ、<キー・アーン>!」

 

手の平に炎でできた小鳥が生まれる。

その小鳥をシグナムさんめがけて放った。

 

「っ、こんなもの!」

 

鳥を警戒し、シグナムさんは距離を取ってレヴァンティンを軌道に振り下ろす。

だが、それは悪手だよ。

 

「爆ぜろ!」

 

途端、レヴァンティンが触れる寸前だった鳥が爆風を撒き散らした。

 

(とった!!これはさすがに避けれないだろ!)

 

勝利を確信し、だが、それはあっさりと覆された。

 

「紫電一閃!!」

 

気合一閃、迫る爆風が切り裂かれた先にレヴァンティンを振りぬいたシグナムさんが。

 

「・・・・・・まじで?」

 

呆然とするのもしょうがない。

まさか、爆風を切るとは・・・・・・。

 

「驚きましたよ、今のを防ぐなんて」

「さすがに危なかったがな。鳥型の爆弾か。だが、爆発までにタイムラグがあるようだな。おかげで間に合わせられた」

 

そういうシグナムさんがレヴァンティンを軽く持ち上げると、レヴァンティンの鍔から何か筒状のものが吐き出された。

まるで、銃の空薬莢の様な、と考えてそれの正体に思い至った。

 

「なるほど、カートリッジシステム、ですか」

「ほう、気がついたか? ならば分かるな。また、爆風で奇襲をかけても、私はそれを斬って見せよう」

 

油断なくレヴァンティンの切っ先をこちらに向け宣言するシグナムさんに、内心舌打つ。

 

(まさか一発で弱点と対策を見抜かれるとは・・・・・・。下手なものは使えないし、手数を切りすぎると、この後のヴィータ戦に響くんだけど・・・・・・けど、出し惜しみして勝てる相手じゃないよな)

「考え事とは余裕だな! 今度はこちらから行くぞ!!」

「まずっ!?」

 

思考に沈みすぎたらしい、気がつけばシグナムさんが既にレヴァンティンを振り下ろしていた。

咄嗟にエルミナを差し込むことに成功したが、力を抑えきれず吹き飛ばされる。

だが、距離は開いた。

地面は砂地だが、両手を地面に押し当てて叫ぶ。

 

「揺さぶれ、<クーア・ルンゲ>!!」

 

手を押し当てた地面が大きく揺れ、砂が攪拌されシグナムさんの足を絡めとった。

 

「くっ!? だが、こんなもの!!」

 

だがシグナムさんも然るもの。

すぐさま飛行魔法を展開して上空に逃げる。

だが、それはこちらも予想していたこと。

 

「エルミナ!」

『<Flier Fin>』

 

こちらもすぐに飛行魔法を展開しシグナムさんに迫る。

向かってくる俺に気がついたシグナムさんは獰猛な笑顔で笑って俺を歓迎した。

 

「ほう! いいだろう、正面から打ち破って」

「だが断る!! 惑わせ、<ニーア・ブー>!!」

 

シグナムさんの言葉をぶった切って使った能力は、ニャーと猫のような鳴き声と共に発動した。

 

 

sideシグナム

 

 

「くっ!? だが、こんなもの!!」

 

足に絡みつく砂を振り切って上空に逃れて、僅かに息を乱しながら、地表にいる彼に剣を向ける。

ただ、闇の書の誤作動か刺客かと疑っていた相手だった。

だが、それ以上にまったく理論の異なる方法で発動する異能に私は心を躍らせていた。

特に、先ほどの爆撃はカートリッジの使用をさせられた。

今回はカートリッジを使用せずに勝って見せるつもりだったのだが、その目論見はあっさりと破られてしまった。

 

「エルミナ!!」

『<Flier Fin>』

 

追撃のためだろう、飛行魔法で追ってくる彼の姿に唇が吊り上がるのを感じながら、レヴァンティンを構える。

 

「ほう! いいだろう、正面から打ち破って」

「だが断る!! 惑わせ、<ニーア・ブー>!!」

 

見せろ、と言い切る前に雄一は何かの能力を発動させ、次の瞬間にはこちらの首元に杖が突きつけられていた。

 

「なっ?」

「チェック・メイトです」

 

言われるまでもないほどに完全な敗北だった。

だが、

 

(瞬間転移だと・・・・・・?)

 

呆然としながら、雄一に支えられながら地に足を下ろす。

何が起こったのかわからず呆然としていると、私が支えずとも立てることを確認した雄一は主はやてのほうに歩いていき、

 

「榊!」

 

その背に気がつけば声をかけていた。

 

sideout

 

 

シグナムさんを支えながら地面に降り立つと、作戦の成功に一息ついた。

先ほど使った異能<ニーア・ブー>。

この異能は、とある童話に出てくる猫がモチーフとされており、この猫の鳴き声の聞いたものの認識を止める事ができる、というもの。

これを使って、認識を止めたシグナムさんに杖を突きつけたわけだが。

 

(これ、複数の目があったら、一発でタネがばれかねないんだよな)

 

ちらり、と今この瞬間もはやてたちにこの一連の場面を伝えているであろうサーチャーに目をやり、サーチャーが伝えた音でも能力が発動したことを祈りながら、はやてたちと合流しようとして、

 

「榊!」

 

シグナムさんに呼び止められた。

やっぱりあんな勝ち方だったから、不完全燃焼だったか?

だとすれば用件は、まさか再戦の申し込みか!?

 

「な、何です? シグナムさん」

「あ、ああ。そのだな、」

 

再戦の申し込みか、と戦々恐々としながら振り向くと、シグナムさんがまごついていた。

はて?

 

「シグナムさん?」

「そ、そのだな、そう! 榊は私をさん付けで呼ぶが今回、お前は私に勝ったんだ! だから、私に対してさんをつける必要はない! 私のことはシグナムでいい!」

「はぁ・・・・・・。じゃあ、こっちも雄一でいいです」

「む、わかった。では、主達のもとへ戻るぞ雄一」

 

そのまま再戦の話をすることなく先を歩いていくシグナムさんを見送りながら、首を傾げる。

はて、シグナムさん、おっとシグナムは一体何をしに来たんだろうか?

まさか、これだけの用件で来たのだろうか?

まあ、

 

(ヴィータに続いて信用ゲット、と思っておこう)

 

納得させつつ、はやて達のもとへ足を向ける。

このあとに控えるヴィータ戦の策を練りながら。

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