リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第四十九話 能力のお披露目2と対鉄槌の騎士

「次は私の番だな!!」

「やる気満々だな」

 

連戦に対するフォローは無しかよ、とこぼしながらエルミナを杖の状態で構える。

対するヴィータはアイゼンを片手に金属の玉を取り出す。

 

「?」

「まずは、小手調べだ!グラーフ・アイゼン!!」

<Schwalhe Fliegen>

 

首を傾げていると、ヴィータは金属球をアイゼンで撃ち込んできた。

 

「おいおい!?」

 

あまりな攻撃の方法に呆れながら、飛んでくる鉄球をエルミナで逸らしていく。

だが、それて彼方へ飛び去るはずの鉄球が弧を描き引き返してくる。

 

<どうやら誘導弾のようだね>

「言ってる場合か! だったら、吹き飛ばせ、<キー・アーン>!!」

 

金糸雀の形をした炎を迫る鉄球めがけて放つ。

タイミングを計り、

 

「今だ! 爆ぜろ!!」

 

小鳥を爆発させて鉄球を吹き飛ばす。

だが、安堵したのも束の間

 

「そっちにばっか構ってんじゃねえぞ!!」

「っ!? ちぃ!!」

 

耳に届いた声に勘でエルミナを振り上げる。

振り上げたエルミナが辛うじてアイゼンを絡めとった。

しかし、ヴィータの攻撃は留まらない。

 

「おらおら、どうした!!」

「くっ!?」

 

さらに勢いを増して振るわれるアイゼンを防ぎながら体勢を整えていく。

その内心で状況の打開策を巡らせていく。

 

(しくじった! 流れは完全にヴィータが掴んでる。まずはその流れを崩さないことには始まらないか)

 

先日見せられた、今俺が身に宿している精霊達と、かつて契約していた者達の戦い方を思い出して、現状に合うものを探し出す。

そして、選んだものを元に作戦を練り上げていく。

 

「(・・・・・・・よし!)ヴィータさん」

「あ!? なんだってんだよ!!」

「大したことじゃないですよ。ただ・・・・・・反撃開始ってだけだ!! 爆ぜろ、<キー・アーン>!!」

「なっ!?」

 

足下に生み出した小鳥を間髪入れず破裂させる。

放たれた爆風はあたりに広がり俺とヴィータさんを吹き飛ばす。

 

「ちぃ! だが、この程度で!」

「十分だ。示せ、<ブーリ・クリウ>」

 

距離を詰めようと迫るヴィータに慌てず、新たな異能を発動させた。

 

 

sideヴィータ

 

 

「示せ、<ブーリ・クリウ>」

「!? ・・・・・・?」

 

ユウが発動させた新たな異能にすぐにアイゼンを警戒して構えるけど、何も起こる気配はない。

(まさか不発した? いや、油断しちゃいけねえな)

 

浮かんできた都合のいい考えを打ち消して、すぐさま方針を決める。

相手の手が読めねえなら、

 

(発動する前に叩きつぶすまでだ!!)

 

アイゼンのグリップを握り直し、ユウとの距離を一気に詰める。

だけど、ユウは身動きせず、その軌道に目をやっている。

まさか、反応できてないのか?

落胆しつつ、アイゼンを振り下ろして、

直前にユウが身をかわしてアイゼンが空振った。

 

「ッ!? ヤベッ!?」

 

反撃を警戒して、すぐにアイゼンを引き戻して備える。

だが、

 

「・・・・・・」

「おい・・・・・・ユウ、ふざけてんのか!?」

動かず構えもとらないユウの姿に、怒声を上げる。

だが、ユウはなおも構えをとらず、ただ肩をすくめた。

 

「まずは当ててから言ってみろよ」

「~~~~! 上等だ!! アイゼン!!」

<Jawhol!!>

 

ユウの態度に思うところがあったのか、アイゼンも気勢を上げる。

そうだな! 一緒にあのバカの顔面を凹ませてやろうぜ!

 

「はあああ!!」

 

アイゼンを構え、ユウめがけて振り下ろす。

だが、また体を傾けることで避けられる。

返す刀で振り上げるが、ユウは首を傾けることで避ける。

振り上げた勢いを殺さず、背を向けることを覚悟で再度同じ軌道に振り上げるが、反撃はなく一歩下がることで避けて見せた。

 

(っ、何で当たらねえ!!?)

 

放つ攻撃の全てが最小限の動きでかわされている。

さらに勢いよくアイゼンを振るうがかすりもしない。

 

(一体どうなってやがる!!)

 

 

sideout

 

(だいぶ熱くなってきたな)

 

目の前を過ぎていくアイゼンのハンマーヘッドに肝を潰しつつ、ヴィータの様子を観察して、そう結論を出す。

<ブーリ・クリウ>。

その精霊には一切攻撃の手段はない。

この精霊にある唯一の能力は『予測』のみ。

ただ『こうしたら、どうなるのか?』という結果を知ることに特化した精霊だった。

その能力ゆえ、こういった刹那の読み合いなら重宝できそうだが、そう甘くはなかった。

 

(次は何だ? 動きから察するに左からの横凪、下がって避ける・・・・・・却下、追撃を喰らう。なら、下からカウンターを当てて避ける・・・・・・ぎりぎりを通るけど、タイミングがシビア。迎撃・・・・・・地面に沈んでる!? 却下だ却下!)

 

すぐさま一番まともだったカウンターで対応する。

タイミングは既に見たとおり。

あとはそれに併せて拳を振るう。

拳はハンマーヘッドを上に跳ね上げ、軌道をずらされたハンマーヘッドは頭上を通り過ぎる。

 

「こ、んの!! ちょこまかと避けやがって!!」

 

避けられ続けたヴィータが業を煮やして大振りの一撃を放つ。

それを避けて、そろそろ<ブーリ・クリウ>の検証を切り上げることを考える。

あえて回避に徹していたのもそのためだ。

検証も済んだことだし、次はどうするか考えて、

 

「ああ、もうまだるっこしい!! グラーフアイゼン、カートリッジロード!!」

<Explosion!>

 

業を煮やしたヴィータが切り札を切った。

アイゼンからカートリッジが排夾され、ハンマーヘッドが変形する。

一方がピック状の突起に、もう一方がブースターに姿を変えた。

 

「おいおい・・・・・・まさか」

「いくよ! ラケーテン!」

 

嫌な予感に背筋を震わせていると、ヴィータはブースターを点火してぐるぐると振り回す。

そして、ブースターで加速と遠心力が乗ったハンマーを振るった。

 

「ハンマー!!」

 

咄嗟に障壁で受け止めるが、僅かももたず破壊される。

 

「って、冗談だろ!?」

 

咄嗟の判断で、自ら体勢を崩すことで轟音を上げるハンマーヘッドを避けるが、

ずるっ!?

 

「おっと!?」

 

砂に足を取られて体制が崩れる。

 

「貰った!!」

「このっ!?」

 

もちろんその隙を見逃す相手ではない。

ヴィータはすぐさま追撃を放つ。

追撃をエルミナで受け止めたが、無理な体勢が災いして、吹き飛ばされた。

咄嗟に空中で体勢を整えて、それでも勢いが殺しきれず手もついて体を支えると、

 

「つっ!?」

 

ピッ、と右手の平に鋭い痛みが走った。

見れば、鋭い破片が手の平を切ったらしく一条の血が流れている。

その血を見て、一つアイデアを思いつく。

だが、そのアイデアを実行するには一つ問題がある。

 

(そのためには、<ブーリ・クリウ>を使わずに、あれを受け止めなきゃいけない)

 

やれるかと自問し、勝負をかけるには十分な勝算があることを再確認する。

 

「だから・・・・・・考え事、してんじゃねええ!!」

 

ヴィータが再度アイゼンを勢いよく振り下ろす。

 

その軌道に

 

「エルミナ!!」

『承知した!!』

 

障壁を張る。

障壁とグラーフアイゼンが火花を散らしてぶつかる。

 

「くっ!」

「くぅ! だけど・・・・・・こんな壁、私達の敵じゃねえ!! ぶち抜け、グラーフアイゼン!!」

<Jawhol!>

「エルミナ!最大魔力で障壁を!」

『やっている!』

 

見れば、お互いの魔法が火花を散らす中、ピックが徐々に推し進められ、障壁は罅を大きくしていく。

 

「コレで、終わりだ!!」

 

ヴィータがさらに魔力を強めた瞬間、障壁が大きく撓み、ガラスのように砕けた。

瞬間圧力から放たれたアイゼンが突き進む。

 

だが、こっちも障壁が砕ける衝撃にのって吹き飛ぶことで距離をあけ、アイゼンを回避する。

すぐさま、体勢を整え決着に向けて行動を起こす。

 

「今度はこっちの番だ!」

 

宣言し、右腕を強く振り抜いた。

距離をとった上で振りぬかれた拳は、当然ヴィータに当たるはずもない。

 

警戒し距離を保っていたヴィータは、拍子抜けした様子で構えを解いた。

 

「なんだよ? 今のはただのブラフかよ? それともハッタリか? けど、これで私の勝ちでいいんだよな」

「いや? 悪いがブラフでもないし、ハッタリでもない。正真正銘、俺の勝ちだ」

 

勝ち誇った様子で言うヴィータを指差し、

 

瞬間、砂漠に黒い花が咲いた。

 

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