リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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vividとforceを買ってきました。
読んだんですけど、フッケバインがカッコよすぎる!
まだ途中なんで、続きが気になる!
では本編どうぞ!


第八十二話 新たな約束と師弟の交わり

管制人格との対話からしばらくして。

はやては、管制人格の言っていたとおり、あの場所での出来事を忘れているらしい。

闇の書の影響は相変わらずで、徐々に麻痺は進行している、とこの間の定期検診で言われていた。

シグナム達は家を空ける頻度が多くなっている。

だが、管理局の監視をかいくぐっての収集であるため、効率が悪く思ったほど頁を稼げていない、とヴィータが苛立たしげにこぼしているのを耳にしていた。

それに、はやてはシグナム達が家を空けることを喜ぶ反面寂しそうにする日が増えた。

シャマルと雄一が傍にいるが、それでも三人を心配しているし、家族が揃わずにいるのが寂しいらしい。

雄一は収集に出れずにいる。

闇の書の欠陥を伝えられないまま、シグナム達を納得させるだけの理由が用意できなかったからだ。

今日も留守番役になっている雄一はソファに凭れながら、宙を睨んでいた。

 

「・・・・・・んー」

「どないしたん、雄君? なんや難しい顔して」

 

雄一の視界に突然割入ったはやての姿に雄一は仰天した。

 

「!? は、はやて!? いつの間に!?」

「ついさっきや。それよりどうしたん? 私でよければ相談に乗るよ?」

 

はやての笑顔の提案に、雄一は己のミスを悔いた。

今更、『何もありませんでした』は通らないだろうから、ある程度ぼかして伝えることにする。

 

「なぁ、はやて。二つの勢力があって、AはBの持つ宝と王の身柄が、BはAに隠れて王を救う方法を探している」

「うん、それで」

「その課程でAとBは敵対する。Aの人間をBの人間が襲ったのが始まりだ。それでもAはBに話し合いを提案している」

「それならBが、ごめんなさいすればええんちゃうん?」

「そこまでならな。だが、Aも白い勢力というわけじゃない。自分達の求めるものを強引な手段で持っていった実績もある。だから、BがAを信用できずにいるのも無理からぬ話だ」

「あー、それはAの行いの問題やしな」

「けど、Bの方に問題が起きた。Bの一人が王を救う方法の問題を知ってしまった。彼は、王を救う方法を探す中でAとBが手を取り合えば希望がある、と考えた。けど、彼はBから動けず、BのほとんどはまだAと戦う気でいる。このとき、彼はどうすればいいと思う?」

「・・・・・・うーん」

 

今の状況をぼかして聞くと、はやては腕を組むと首を傾げた。

 

「方法は何でもええん?」

「それほど非常識なものじゃなければ」

「なんや複雑そうに見えるけど、実は単純なんちゃう? そのAとBが手を取り合えばええんやったら、やっぱりBが謝ればええと私は思う。どういう事情があってもBが先に手を上げたんやったら謝らなあかんと思うし、そうせえへんとAも手を貸してくれへんやろ?」

「そうだよな・・・・・・」

 

はやての言い様に、雄一も頷く。

こちらが折れるのが誠意を示すのにはやはり有効だろう、と雄一は結論づける。

 

「それならさ、彼はいったいどうすればいいと思う? 下手をすれば、彼は一気に裏切り者だ」

「けど、気がついてるんは彼だけなんやろ? だったら、彼が動かんことには、なにもならへんやろうし・・・・・・彼がまずAに謝ればええんちゃう?」

「・・・・・・やっぱりそうだよな」

 

やはり、管理局の誰かと接触するのが一番の解決策と考える雄一は、何とか、蒐集に出れないか考える。

これは、蒐集の事実を知らないはやてには聞けないことだから、雄一はここまでの質問で打ち切ることにする。

 

「ありがとうな、はやて」

「ええけど、今ので答えになったん?」

「ああ。今度お礼するよ」

「ホンマか? それなら、またお菓子を作ってくれへんかな?」

「お菓子か。分かった、いまは手が離せないことがあるから待ってもらうけど、手が開いたら、腕によりを掛けたものを作るよ」

「そんなふうに言われたら、楽しみにしてまうよ?」

「ああ。はやてが食べ過ぎるくらいのものを用意してやる」

「なんなんそれ」

 

約束を交わすと、二人の間で笑いが起きた。

二人が肩を震わせていると、

 

「雄一君? ちょっといいかしら?」

 

ドアを開けて、シャマルが顔を覗かせた。

 

「シャマル? 何か用か?」

「ええ、実は・・・・・・」

 

手招きするシャマルに、雄一ははやてと顔を見合わせると、シャマルについていって用件を聞くのだった。

 

 

 

一方その頃。

時空管理局アースラ職員駐屯地。

なのはとフェイトが喋っていると、

 

「たっだいまー!!」

 

エイミィ達が詰めているマンションの一室の扉が開き、買い物袋を提げたエイミィが戻ってきた。

 

「「お帰りなさい!!」」

「お! 二人とも、出迎えありがとう! 二人も留守番ありがとうね」

 

出迎えたなのは達に、エイミィがお礼を言うと、二人は首を横に振った。

 

「大丈夫だよ、エイミィ」

「うん! 二人でお話してたし! それより手伝うよ、エイミィさん」

「そう? それなら、キッチンに運んじゃおうか。二人には重いだろうから、二人は冷蔵庫に仕舞っていってね?」

「「はーい!!」」

 

三人は連れ立ってキッチンへ。

エイミィが買い物袋から取り出した食品をフェイトが受け取り、なのはが冷蔵庫に収めていく。

ふと、エイミィは、部屋にリンディの姿がないことに気がつくと、袋から取り出したカボチャをフェイトに渡しながら問うた。

 

「そういえば、艦長はもう本局に出かけちゃった?」

「うん。アースラへの武装追加が済んだから、試験航行だって。アレックス達と」

 

カボチャを受け取りながら頷いたフェイトに、

 

「武装ってーと・・・・・・アルカンシェルか」

 

『追加武装』を三人の中で唯一知るエイミィは苦虫を噛んだような表情で肩を落とした。

 

「あんな物騒なもの、最後まで使わずに済めばいいんだけど」

 

『追加武装』の正体を知らぬなのは達は聞きたそうだったが、エイミィの様子に話題を変えることにした。

 

「クロノ君もいないですし、戻るまではエイミィさんが指揮代行だそうですよ?」

「<責任重ー大♪>」

 

なのはの台詞を床に寝そべってジャーキーを食んでいたアルフが混ぜっ返す。

エイミィはさらに顔を引きつらせると、

 

「ぅ・・・・・・それもまた物騒な」

 

フェイトに渡したカボチャを片手で持ち上げた。

 

「ま、とはいえ、そうそう非常事態なんて起こるわけが」

 

ない、と続けようとしたエイミィの眼前に、警報と共にスクリーンが広がった。

画面に映された文字は<Emergency>。

紛れも無く、非常事態の知らせだった。

 

「・・・・・・ぇ?」

「あれだね。さっきの台詞をフラグって言うんだろうね」

 

思わずカボチャを取り落としたエイミィに、アルフがそんな言葉をかけるが、当のエイミィはそれどころではない。

急いで、機材が置かれている部屋へ飛び込むと、コンソールに指を走らせ、問題のサーチャーの映像を呼び出した。

映し出されたのは、一面砂漠の無人世界。

その上空を飛行するシグナムが映し出された。

 

「文化レベル0。人間は住んでいない、砂漠の世界だね」

 

そのまま、出撃可能な局員と、必要時間の割り出しにかかるエイミィ。

 

「結界を張れる局員の集合まで・・・・・・最速で45分、不味いなぁ」

「エイミィ、私が出る!」

「私もだ」

 

エイミィが必死に考えていると、画面を注視していたフェイトが立候補した。

アルフもそれに同意する。

エイミィは僅かに考え込んだが、すぐに頷いた。

 

「うん、お願い! なのはちゃんはバックス! 此処で待機してて!」

「「はい!」」

「おう」

 

了解を得たフェイトは、すぐにテスタロッサ家が詰めている隣の部屋に駆け込む。

自室に駆け込むと、机の上に置いていたバルディッシュとカートリッジを手にとった。

 

「行くよ、バルディッシュ」

<Yes Sir>

 

相棒の返事を聞くと、部屋を飛び出そうと、

 

「あら? フェイト? そんなに急いで、何かあったのですか?」

 

物音に様子を見に来たのだろう、薄い茶色の髪の猫耳の女性、プレシアの使い魔であるリニスがドアを開けた。

フェイトがぶつかりそうになると、すぐに一歩下がって場所を開けた。

 

「リニス。実は、シグナムが現れて」

「なるほど、分かりました」

 

シグナムの名に、フェイトが急いでいた理由を悟ったリニスは、フェイトの言葉を遮り頷いた。

焦れた様子のフェイトの肩に穏やかに手を置くリニス。

 

「フェイト、気をつけていきなさい。貴女は、熱中すると周りが見えなくなる癖がありますから」

「そ、そんなことない、よ?」

 

自覚は無かったが、自分の師匠からそういわれると途端に不安になったフェイトの目が揺らぐ。

その愛弟子の様子に微笑ましさを覚えつつ、リニスは言葉を続けた。

 

「だから、その点に注意して楽しんできなさい。いつも教えていたことです。『剣を交えれば』」

「『相手のことは大体分かる』。うん、そうだね」

 

リニスの教えを思い出して、肩の力を抜くフェイト。

フェイトの緊張が解れたのを確認したリニスはその背をポンと押し出した。

 

「では、行ってらっしゃい」

「うん。リニス、行ってきます」

 

送り出されたフェイトは、すぐにエイミィからシグナム達のいる座標を聞き出し、転移するのだった。

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