とある異能の発火能力   作:兵太郎

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そろそろタイトルを考えるのが難しくなってきた……


軽佻浮薄

「やぁ、久しぶりだね上条当麻」

赤髪の不良神父が告げるのを、比嘉宗蒼はその神父の背後の木の裏から聞いていた。

 

今上条と対峙しているのは、そして先ほど比嘉宗に声をかけてきたのは、ステイル=マグヌス。イギリス清教の必要悪の教会(ネセサリウス)所属の魔術師で、比嘉宗の師匠であった。

『またこの学園都市で用事ができてしまってね、統括理事長に君を使うことを許されたのさ。僕はこの街にさほど詳しくないからね』

嫌味が混ざった挨拶のあと、そう言いながら煙草の灰をトントンと溝に落とすステイル。比嘉宗は統括理事長の名前に反応した。つまりこれは『暗部』の仕事なのだろう、と理解する。震え始めた膝を叩いて落ち着かせると、ステイルがそれを面白そうに眺めているのに気づく。

『なんだ、怖いのかい?年下の僕でさえ当たり前に過ごしている修羅場に、この能力者(バケモノ)の巣窟である学園都市で暮らしている君が膝を震わせているなんて言うのはお笑いだね』

『う、うるせー!俺はお前と違って修羅場を潜ったことなんて両手足で数えられるくらいしか無いんだよ!』

『それだけあれば慣れていてほしいものだが』

言いながらステイルは、懐から封筒を取り出す。何の魔術か資料が封筒から次々と飛び出し、比嘉宗とステイルの周りをグルグルと回る。

『資料に目を通してくれ。そうすれば大体の内容は理解できる』

言われて比嘉宗は、周囲の紙を必死で目で追う。

『えっと、k……あ、k、……読めるか!』

 

『おいおい、それくらいは動体視力を鍛えとかないと、魔術はもっと速いものだよ』

言いながらステイルは紙達を封筒に戻すと、その中から一枚を比嘉宗に放る。紙は勢いよく飛んでいったが、比嘉宗の胸部にぶつかる直前で停止した。比嘉宗が真剣白刃取りのように両手で紙を止めたからだ。

『ちゃんと渡せよ!』『ちゃんとそっちに渡っただろう?いいから早く読めよ』

少しムッとしながら資料に目を通す。

『えっと何々……「Aureolus-izard commit a big crime. He carried--」……読めるか!』

 

『おいおい、それくらいは読めるようになっておかないと、苦労するんじゃないか?今じゃ英国語(クイーンズ)は世界中で話される共通言語として定着しつつあるんだよ?』

『ずっと日本で暮らすつもりの俺には必要ない知識だ!』

それを聞いたステイルは肩をすくめると、仕方なしと口を開き、仕事の説明を始めた。

 

『三沢塾……って進学予備校の名前は知ってるかな?』『ああ、この学園都市にもある、全国的な進学予備校だよな』

『この場合はその学園都市の物なんだが、そこ。

 

女の子が監禁されてるから』

 

いともあっさりと言われた犯罪の事実。思わず比嘉宗は聞き返すが、帰ってきたのは同じセリフ。

(いやまぁ確かに暗部が作られる位なんだからそこそこ学園都市にも臭いところはあるんだろうけどよ……)

頭を抱える比嘉宗を無視し、ステイルは続ける。

『どうやら今の三沢塾は、科学崇拝を軸とした似非宗教と化しているらしくてね。教えについてはともかく、その三沢塾が乗っ取られてしまっているのさ。それも今度は似非なんかではなく本物の魔術師……いや、正確にはチューリッヒ学派の錬金術師(れんきんじゅつし)にね』

『錬金術師……金とか作るやつか?』

比嘉宗の問いに、ステイルは煙を吐きながら言う。

『まぁそれもあるが……錬金術師には究極的な目的が存在する。何だかわかるかい?』

『うーむ……不老不死、とか?』

『そんなのは薬やら体質、あるいは魔術でどうとでもなる。科学でもできるかもしれないね。そんな簡単なものではないさ』

不老不死を簡単、と言われては比嘉宗にそれ以上を思いつくことはできない。ステイルに答えを促した。

 

『錬金術師の目的ってのは、世界の全てをシュミレートすることだ』

何それ?と疑問符を浮かべる比嘉宗に、ステイルは続ける。

『頭の中に思い浮かんだものを現実世界に引っ張り出すことができたら、どうなると思う?』『……何でも、好きなことをできるし好きなものを手に入れられる、みたいな?』

その言葉に、ステイルは煙草を口でクイッと上げる。

『その通りさ。何だってできる。文字通りに、思い通りさ。そんな相手が今回の敵だ』

 

『……は?』

 

そして、それだけを聞いて今に至る。戦う理由やら何やらは教えられなかった。ステイル曰く、二度も説明するのは面倒だから、らしいのだが……

(二度説明するって、上やんをまた巻き込むってことかよ!?)

LEVEL0の貧乏学生を再び戦場に駆り出すことに、比嘉宗は戦慄する。上条当麻の戦い方が、そこらにいるスキルアウト達と変わらない……いや、ほとんど武器を使わない分彼らよりも下な事を比嘉宗は知っている。

 

ただ。

 

(……ま、でも上やんなら話を聞いただけで、すっ飛んで行くだろうけどな)

比嘉宗は上条当麻を知っている。それ故に、彼が監禁されている女の子を助けに行く事も知っている。比嘉宗達は幾度となく、それらを手助けしてきた。

 

「ヘラヘラ笑うな、ぶっ殺すぞ」

不意に聞こえた怒り気味の声に反応し、比嘉宗は反射的に口を抑える。直後、背後で炎の上がる音。

 

「うわっ!?」

右手を前に出し、飛んできた炎を打ち消す上条。彼の警戒と恐怖、そして少しの怒りが混ざった視線を受け止めたステイルは、煙草を吹かしながら大げさにいう。

 

「それでいい。これくらいの空気でちょうどいい。一回共闘したからってそう馴れ馴れしくされてれぼっ!?」

 

ステイルの言葉が不自然に崩れたのは、途中で比嘉宗が木の上からドロップキックをお見舞いしたからである。ステイルは前に吹き飛び、ベチャッ、と音を立てながら前身を全て使って着地した。

「照れ隠しだか何だか知らんが、いきなり攻撃してんじゃねー!」

対してヨロヨロと起き上がったステイルは、またも懐を漁る。今回出してきたのは封筒ではなく一枚のカード。その中央にはルーンが一文字。

 

「『吸血殺しの紅十字』!!」

「効かーん!!」

上条当麻に飛ばした炎よりも強烈な十字の焔は、しかし比嘉宗により文字通りに叩き落される。

「比嘉宗蒼!僕は君のそのよくわからない上から目線が大嫌いなんだ!!炎が効かないからといって舐めるんじゃない!ロンドン塔で永遠に拷問してやろうか!?」

「やめてくださいお願いします!」

プライドなど特段持ち合わせぬ男、比嘉宗は土下座を決行。幸いな事に鳩尾に四発ほど蹴りをもらうだけで許された。

道のど真ん中で蹲る比嘉宗を横目で見つつ、残った二人は上条達の学生寮へと向かって歩を進めた--

 

 

--「お前、インデックスが好きなの?」「なっ!?」

 

比嘉宗が遅れて寮に到着すると、そんな甘い恋バナが繰り広げられていた。何やってんだと思うとともに、比嘉宗はニヤリと下衆な笑みを浮かべてステイルの前に出る。

「へぇー、ステイル=マグヌスさんはあの銀髪シスターさんが好きなのかー!へぇー」

「ち、違う!あくまでもあれは護衛対象で……」

「いやー、良い事聞いたなー。へぇー」

「……ほう、ここで舌を抜かれたいって言うのかな?」

「綺麗サッパリ忘れますですはい」

「じゃあ最初から話に入ってくるんじゃねぇよ比嘉宗!」

「元はと言えば君の軽口が原因だろう上条当麻!」「そーだそーだ!」

「えぇ!?上条さんが悪いんですか!?それは暴論すぎるだろーが!」

 

三人はやいのやいの言いながら、三沢塾へと向かう。その先に待つ死地など、比嘉宗は想像もしていなかった--




とある3期決定!やったぜ!!

暗部組のバトルがやっと見れてとても嬉しいです!
あとはヒロイン(予定)のキャラデザが見られればなお良し!
……でも、下手したらあそこカットされそうだなぁ。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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