とある異能の発火能力   作:兵太郎

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まずは第1巻の時間軸に!


意気消沈

7月20日 夏休み初日

 

「……LEVEL……2……」

一学期最後の身体検査(システムスキャン)の結果を見て、比嘉宗少年は暗い表情で項垂れる。最初の方こそ皆心配して励ましの声をかけていたが、今では部屋の隅っこで体育座りをしていようが放置されている。時間が経てば治るから気にしなくていいや、なんて薄情なことを思われているのだが、比嘉宗少年はそれどころではないのだ。

そもそも今日は夏休み、皆浮かれていて他人の事を考えられる者など一握りもいないのだ。

 

ところで、比嘉宗 蒼(ひがむね あおい)身体検査(システムスキャン)で主に見られるのは、

・身にまとう炎の量、大きさ、温度

・炎の形状変化などの応用(炎の翼や炎の武器を造る、etc)ができるか

・身に纏う以外の炎の使用(炎を攻撃対象に飛ばす、炎を自分から離れた場所に出現させる、炎で動物を造る、etc)ができるか

の三項目である。

前者はともかく後者二つは言葉だけ聞けば簡単そうに思える。炎を纏う事はできるのだから、後はその炎を変化させればいいだけでは無いか、と。が、実際にやってみるのとは訳が違う。

例えば高速が売りのプロのピッチャーでも『超高速の変化球をきっちりストライクに入れる』、なんていうことは難しい様に、能力を変化させてかつ自分の力を出し切るのはとても難しいのだ。後者二つが彼にとっての壁であり、問題でもある。

また、彼の心の中には、ある大きな気持ちがあった。

 

(何だよ、炎を変形させるって!炎は炎じゃねぇか!それ以上でもそれ以下でも無い!なんでわざわざ武器やら生き物やらにしなくちゃいけないんだ!俺が炎を着て戦うだけでも、十分に強いじゃないか!)

それは、自分の能力が価値あるものだ、強いものだと思うが故の、彼の意地。その意地が、彼のLEVEL上げを邪魔している事に彼自身も気づいていない。彼はひたすら自分の炎の質の強化に時間を費やし、技能面での強化をしていないのだ。

 

ところで、LEVEL5…『超能力者』と言われる人間が、学園都市には六人いる。

その中の第3位、御坂美琴(みさかみこと)は『超電磁砲(レールガン)』という能力を持っており、その二つ名に代表されるように、コインを弾き飛ばし前方の敵を一網打尽にする超電磁砲という技を持っている……が、彼女の力はそれだけではない。

例えば、電気の槍を造って相手に飛ばす。

例えば、電化製品や金属を相手にぶん投げる。

例えば、 砂鉄を電気で集め、剣や鞭状にして武器にする。

例えば、金属の壁に張り付き、移動や索敵をこなす……など、彼女は能力を多種多用に利用している。

彼女がLEVEL5である所以は、超電磁砲という必殺技があるだけではなく、そういった能力の応用性・多様性にもある。他の高位能力者にも同じような事が言える(一部例外を除く)が、彼はそれを理解していない。

応用力が無くてはLEVEL3の道など開けないのだが、彼はそれを理解できていないのだ。

 

もし彼に炎の応用力を教えられる……見せることのできる者がいたら、彼はすぐにそれを取り込み、自分だけの現実(パーソナル・リアリティ)を強化することができるだろう。しかし、彼の周りにはそんな発火能力系能力者はいなかった。発火能力が実は専門の月詠小萌も、彼を慰めることや注意することはできても、彼の凝り固まった『自分の能力最強(俺TSUEEEEE)』という考えを変える事は出来なかったのだ。

 

しかし……その日、ある人との出会いが彼の能力価値観の全てを塗り替えた。

 

その日も、彼は昼過ぎに自分のアパートに帰ってきた。このアパートは学生寮の様なもので、風呂・トイレ・キッチン・それにリビングで値段もそこそこの悪くは無い物件である。ちなみに、彼の隣の部屋にはモテモテ不幸少年、その更に隣には金髪グラサンアロハが住んでいる。

 

「ゔなぁー、疲れたー」

彼は制服を脱衣所に脱ぎ捨てると、パパーッとシャワーに入り、着替えてベッドに横になる。また明日から炎の強化だ、と考えながら眠りに堕ちた--

 

 

--そして夕方、陽が落ちて辺りが暗くなってきだした頃。

 

「僕がインデックスを助ける……例え、今の彼女を殺してでも」

比嘉宗蒼が……上条当麻が住むアパートに、一人の神父が現れた。

「『Fortis931(我が名が最強である理由をここに証明する)』」

 




不良神父、参戦!
次回、炎と炎。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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