とある異能の発火能力   作:兵太郎

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傾蓋知己

魔術師騒動を経て暗部加入から約一週間経った。比嘉宗(ひがむね)は、ちゃぶ台の上に置かれた携帯電話を冷めた目で見つめる。

(あれから一週間……何の音沙汰もないんだけど……)

 

土御門(つちみかど)から仕事用の黄色の携帯電話を持たされた比嘉宗は、この一週間ほどをほぼ携帯を眺めるのに費やしていた。しかしそこから音が鳴ることも、それが振動することもなかった。

 

--『グループ』の幹部が二人しか補充できておらず、下部組織なども付いていない、いわゆる企画段階でまだ活動できる状態になっていないことを比嘉宗はまだ知らない。

 

今日も今日とて携帯電話の前で一日を無駄にしようとする比嘉宗。そんな彼のもう一つの携帯……プライベートの物に、着信が入った。電話の主は青髪ピアス。通話ボタンを押すと、音の低いエセ関西弁が耳に飛び込む。

 

「やっほー比嘉やん、久しぶりやで。今、パン屋は休みなんやけどつっちーも上やんも用事とかで暇なんよ。よかったら一緒にどっかいかへん?」

遊びのお誘いに比嘉宗は喜ぶ。正直、ここでずっと携帯とにらめっこしていてもどうしようもないと比嘉宗自身も気づいていたのかもしれない。二つ返事で承諾し、比嘉宗は久しぶりに外行きの洋服に着替えたのだった。

 

 

--昼前、青ピと合流して二人でゲームセンターに向かう。

「いやぁ、遊ぶの久しぶりだな。なんか最近忙しくてさ」「何が?宿題とか?」

「宿題なんてのはもう七月中に終わらせましたよ」「さすが比嘉やんやなぁ。さすがさすが」

「お前だってもうとっくに終わらせてるくせに」「ぼかぁ先生の補習を受けるために、あえて忘れて行くんやでー」「先生が泣いてもしらんぞ」

 

話しているうちにたどり着いたゲームセンター。そこで二人は新しく入ったというリズムゲームやレースゲーム、エアホッケーなどをプレイする。ゲームセンターの料金は一ゲームだけでもかなり高いものだが、奨学金をある程度貰っている二人はその位の出費は大した事はない。

 

「あー、なんか腹減ってきたわー」

建物に入ってそこそこの時間が経ち、画面の中のゾンビを撃ち殺しながら青髪がそんなことを告げる。壁にかかっている時計を見ると、少し遅いがランチタイムの圏内だった。

 

などと少し時計に目を移している隙に、青髪がゲームを攻略しエンディングに進んでしまった。主人公が姫を助けた……と思いきやその姫もゾンビになっていた、などというバッドエンドを見て「オープニングの美麗な姫様を助けに来てなんだこの仕打ち!」とコントローラーの銃を画面に向かって投げる比嘉宗。対し青髪ピアスは「何言うとんの比嘉やん?あんなビリビリの露出多い服着て、涎垂らしながらこっちを襲おうとするとか、最高の逆レシチュやんか!」と興奮しながら諭す。ここでなるほど確かに、と考えてしまう比嘉宗も、やはり四馬鹿(バカルテット)の一角であった。

 

ゲームセンターを出て近場のファーストフード店に足を向ける二人。その道中で彼らは、見覚えのあるツンツン頭を見つけた。

 

「あら、上やんやないの。こんなところで何してんのん?」

青髪ピアスがそう声をかけると、件のツンツン頭、上条当麻は少し驚いたように振り向く。

「……よ、よう!久しぶり!」

上条当麻らしからぬ反応の遅さに、比嘉宗と青髪は少し不安を覚える。

「大丈夫か上やん?何か調子が変だぜ?」「もしかして部屋のエアコンが壊れて、この暑さで記憶とかが飛んどるんやない?……なんて」

 

青髪の冗談に、しかし上条はいつものようなツッコミを返してこない。どうしたんだ、と考えたところで、比嘉宗は隣にいる白い修道服に気がついた。

 

「あ、上やん。その子も元気になったんだな」

比嘉宗がそう言うと、青髪もそちらを向き、気づいた。

「誰なんこの子?」

その言葉に上条は固まる。比嘉宗も顔をしかめる。この男に少女を紹介するのはとても面倒だ。

「……あぁっと……この子は、俺の……俺の……従姉妹なんだよ!この度学園都市の中学に転校するんだけど、ちょっと早めにこっちに来たんだよ、な!」

「え……あ、えっと、そうなんだよ!私はインデックスって言うんだよ。よろしく」

……。

 

「上やんの従兄弟って、外人さんなん?」

上条とインデックスが同時にしまった!という顔をした。比嘉宗も思わず顔に手を当てる。

「お、俺の母さんの妹がイギリス人と結婚してんだよ!それでこの子が生まれた訳!」

「ほーん……確かに上やんと似とる気もするような?」

 

青髪は顎に手をやりしばし考えたのち、そう結論付ける。そしてその手を前に伸ばした。

「インデックス……やったっけ?僕の事は青髪ピアス、青髪、青ピ、好きに呼んでくれてかまへんよー。これからよろしくなー」

「うん。よろしくなんだよ、あおがみ」

二人の握手を見て、魔術と科学の共存がまた一つ進んだと感動する比嘉宗。その耳におかしなセリフが入ってきた。

「男同士で先輩と後輩の中や、困った事があったら何でもいいーや?」

 

「は?」「え?」「へ?」

 

「ん?」

 

「いや、青ピ!?インデックスさんは見た目通り、一点の曇りもなき修道女様でございますよ!?」

 

その言葉に、今度は青髪がいつも細い糸目を開いて驚く。

「え!?インデックスって女の子なん!?見た目からしてシスターのコスプレした男の娘やろうと想定しとったんやけど……そんでもって、リアル男の娘もええなって考えとったんやけど!?」

「なんでそこで男の娘になるんだよ!普通のシスターさんだって考えはないのか!?」

「いや、だって……シスターさんって言ったら想像されるような、包容力に富んだ柔らか巨乳がないやん?」

その言葉に比嘉宗もなるほど、と唸り上条は、

 

「た、確かにインデックスは胸というより胸板だけど、だからってそれだけで判断を「とうま……」ん?どうしたインデッギャバッ!?」

 

「あ、俺達すぐそこの店にいるから!」「早く()ーや!」

上条から血が吹き出る前に、二人は背を向けてファーストフード店へと向かう。背後からかかる哀しそうな声に振り返りそうになったが、自らの顔を叩き喝を入れ、迷う事なくファーストフード店に先に入っていったのだった。

 

 




シスター+男の娘=?
さて、誰が思い浮かぶか。


だいぶ更新が滞ってしまい、申し訳ありません。
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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