ワンパンマン ~日常ショートショート~   作:Jack_amano

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似たもの師弟

「お~いジェノス、上がってんなら代わって。便所入りてー」

 サイタマ先生の声に、俺は髪を乾かしていた焼却砲最弱モードを止めた。

 これはサイタマ先生の内弟子になった時、クセーノ博士がわざわざ付けてくれた家電モードだ。

 必要ないとは思ったが、(ふた)を開けてみれはハゲの先生のお宅にドライヤーがある訳はなく、威力を少し上げれば食器も乾かせるとあってなかなか重宝している。

「開いてますよ。今出ます」

 サイタマ先生のお宅はワンルーム。バス、トイレ、洗面所が一緒のタイプだ。たまにこう言う事もある。

 少しボディの隙間から水が滴っているが、体内温度を上昇させて中から水分を飛ばした方が確実で乾きも早い。俺は、手早く身体の水分を拭き、扉を開けた。

 

 バスタオルを羽織り、サイタマ先生と場所を代わる。

 先生は何か一瞬、言いたそうな顔をしたが、取り敢えず緊急事項を優先した。

 生身というのも大変だな。俺は食べた物は全てエネルギーに変わるから廃棄ロスがない。

 コアの出力を徐々に上げる―――体内温度が少しずつ上昇し、胸のスリットから光と共に蒸気が発生した。これをやれば髪も一緒に乾くのだが、先に髪を乾かさないとヘンな癖がつく。

 

「お前さー。そういうことするんだったらカーテン閉めろよ」

 トイレから出てきたサイタマ先生が、俺を通り過ぎ、カーテンを勢い良く引いた。

 いつもパン(いち)でゴロゴロしているサイタマ先生とは思えないお言葉だ。

 

「あとパンツはけ」

「持ってません」

「はぁ?!」

 そんなに退()かれるとは。

「俺は、前も後ろも、猥褻(わいせつ)な物は持ってないので必要ないと思います」

「…そう言えばヒーロー認定試験の時、あれマッパ?」

「はい」

 

「…まじかよ。俺たち、全裸師弟か」

「嫌な言い方しないで下さい。先生と俺とは違います」

 大体、隠すから余計に想像力で補填(ほてん)されて猥褻(わいせつ)になるんだ。最初からないと分かっていればそんな気もおきないだろう。

 

 俺の言葉に、先生はグラフィックサイズのカラー雑誌を机の上に放り投げた。

 月刊誌『HERO』ニヤケた顔のA級ヒーローが表紙だ。確か"アマイマスク"とかいったか?アイドルとヒーローを両立するヒーロー協会の広告塔だ。

 ここのところ俺の行く先々で、特集を組ませてくれとまとわりついてくる(うざ)い出版社の本だ。

 

「この雑誌持って無人街(いえ)まで記者が来た。ジェノスの特集組みたいから金出すから師匠権限で説得してくれって」

「まさか、OKしたわけじゃないですよね?!」

「俺のこと何だと思ってるの?! そんな貧乏だと思ってるわけ?!」

「いぇそんな… そんな事は… そんなハイ そんな…     」

 つい思考がフリーズする。

 まずい、なにか話題をかえないと。

 

「もういい」

 サイタマ先生は、ため息を付きながらどっかりと座り込んだ。

「だから、どこで見てるかわかんないから気を付けろって言ってんの。いやだろ?実は家の前の高速道路にベースキャンプ張ってたりして、望遠レンズで激写されてたりしたら。食事の内容から干してる洗濯物までスクープされるかもしんねぇんだぜ」

「 …… 」

 

 ――――サイタマ先生。

 俺が弟子入り前にあなたにしてたこと、知ってましたね?

 

 

 

 

 




もっと下ネタのオチにしようと思ったのに、何故かこうなりました。

村パンのヒーロー認定試験でロッカールームのジェノスにあれ?っと思い。
アニメ版のシーンで確信にかわり、「何この子平然としてんの?!」と思ったのを覚えています。
「パンツはけよ!」(笑)
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