Monster・Hunter・BREAKERS 作:しーちゃn
思ったほどアクセスが伸びないいい
ま、面白くないからだよね(自虐乙)
「もう…リオのバカ………」
「わ、悪かったって、
ちょっと怒りで我を忘れてたんだよ。」
左頬を真っ赤に腫らし、申し訳なさそうにヘコヘコしている少年と、
腕を組んで頬を膨らませた少女が訓練所の通路を歩いている。
ちょうど、『反復飛び』の
試験を終え、次の試験場に向かっているところだった。
「あんな女の子にデレデレするし、
意味わかんないとこでキレるし……」
少女の方は、機嫌が悪い。
先程の試験時、
リオが意味不明な行動に突っ走ったこと、
そして、ティナとかいう少女の
媚びた態度が気に入らなかったようだ。
男からすればまさに女神、結婚したい、
などと思うのは普通だが、女の視点からすると
苛つくだけだったようだ。
そして、間の悪い時に、
間の悪い人間が現れるのは世の常である。
「やっぱりリースはすごいなぁ。
なんでもできるもん!
私も、はやくリースみたいに
かっこよくなりたいなぁ……」
「いえいえ、ティナなら簡単に
私なんて越えられますわ。」
「えへへ、ありがと!リース!」
後ろから話し声が聞こえる。
何処かで聞いたような声、
それも、つい最近のことだ。
リオとメイは、同時に後ろを振り向き、
その姿を確認すると、案の定、
例の二人組だった。
ティナ・グラウディオと、
リース・ウィスタリアだ。
あの後、ほとぼりが冷めるまで
物陰で隠れて待っていたので、
追いつかれてしまったのだろう。
当然、メイは眉をひそめる。
リオは、片方ではデレデレし、
もう一方では怒りが再燃しているのだった。
「またお前らか!」
リオが二人に向かって、
中途半端に照れて叫んだ。
すると、二人は一瞬驚いたような
顔つきになったが、その後すぐに
リースは戦闘体制に、
ティナは悲しげな顔になった。
「それはこっちのセリフですわ。
これ以上私たちに何の用ですの?
一位を取るな、などとでも
言いに来たのでありまして?」
「やめようよぉ、二人とも……
喧嘩はよくないよ…?」
ティナは二人に訴えかけるが、
「ティナは退がっていて下さいまし、
これは私のプライドの問題ですわ!
こんな何処の馬の骨ともわからぬ輩に、
意味不明な事を言われたとあっては、
ウィスタリア家の名に傷が付きますわ。」
リオは侮辱されたような気がして、
というより侮辱されて、
さらに頭に血を上らせていく。
「くそ、妙に腹立つな……!!」
そして、金の髪を靡かせ、
天に指を突き立て、腰に手を当て、リースは高々と宣言した。
「よって、この『リース・ウィスタリア』の
名の下に、独断と偏見によって
貴方を完膚なきまでに叩き潰すことを
決定致しましたわ!」
「上等だ!やってやるよ!
もっとも、次の試験はおそらく
対人戦…若しくは武器に関する筋力を見るもののはずだ。
ということは、
俺に利があると知って勝負を挑んだんだな?」
リオも負けじと言い返す。
「もちろんですわ。どんな勝負でも
私は逃げるなんてことはしませんわ。
その代わり、もし私が勝てば、
『土下座』をしていただこうかしら。」
さらにヒートアップしたリースが
ついに幼稚な要求に出る。
だか、これにリオは、
「俺が逃げる?冗談じゃない。
もう負ける気がしないね!
それと、もし俺が勝ったら、
跪いて『申し訳ありませんでした、
ご主人様!』って言ってもらうからなー!」
と、リースを指をさして
強調するように言った。
そしてこれは、まごう事なき爆弾発言。
一瞬で彼の性癖が明らかとなり、
ティナとメイは明らかに汚物を見るような
目をしていたが、リオの視界が
その二人を捉えることはなかった。
「ええ、もちろん構いません。
私が負ける事など、ありえなくてよ!」
そしてリオとリースの二人は、
火花を散らして通路をズンズンと歩いて行った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして一行は、
最後の試験場の付近へと到達し、
後は角を一つ曲がるのみ。
これが終われば、あとは身体測定のみで試験は終了する。
合格すれば、晴れてハンターに
なれるといったところだ。
そしてリオは、余裕の笑顔で
勝利は確定している、
とでも言いたげに最後の角を曲がった。
その先に待っていたのは、看板。
そこに記してあったのは
『調合試験』
この四文字だった。
少年は絶望の淵に叩き落とされた。
二次試験に関しては、極めて順調だった。
彼は、基本どの試験でも上位入りしていたが、
得意な試験、と豪語できるものは
一つもなかった。となれば、おそらくだが
最後に持ってこられるのは
自分の得意な、武器を使った試験及び、
対人格闘のどちらかだろう。
この試験ならば、勝てる可能性は十分にある。
そう考えていた。
だが、彼は忘れていた。
たとえレシピを完全に知っていようと、
料理ができないのと同じ事。
つまり調合素材を知っていようとも、
実際に調合できなければ
なんの意味もないのだ、ということを。
少年は立ち尽くした。
そして悟った、己の敗北、圧倒的敗北を。
どうしてもやりきれず、呟く。
「何…………だと…………!?」
その声が、弱みがリースの耳に届く。
「あら……?もしかすると、
調合が苦手なのでありまして…?」
リースが少しだけ首を傾け、尋ねる。
「あ……あぁ………!!」
しかし、リオの歯は上手く噛み合わず、
ガチガチと音を立てるだけだった。
「まさか……本当に調合が下手くそで
ありましてよ〜〜っ!!」
声の調子が一気に高くなり、
高笑いを始めるリース。
そして、
「さぁ、行きますわよ〜!!
私が勝利した暁には、全力の焼き土下座を
していただきますわよ〜っ!!」
と、明らかに度合いが変わっているのにも
関わらず高らかに宣言し、
白目を剥いたリオを
会場に引っ張っていくのだった。
その様子にメイは一人、
「……自業自得だね、リオの。」
ポツリと呟いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はい。では皆さん、
先ほどの看板を見て
わかっているかと思いますが、
この試験はハンターの基本である
調合を見させてもらいたいと思います。」
『調合試験』は、いたって軽いノリで、
さながらお料理教室のごとくはじまった。
端から見れば、
『少年少女たちのための簡単調合教室』
といった具合だ。
ただ一つ、死人のごとく真っ青になっている
少年が一人いる事を除けばだが。
「今回は、その中でも基本中の基本である
回復薬を作ってもらいたいと思います。
素材は、目の前に置いてある薬草と
アオキノコを使ってください。
それでは、各自始めてください!
時間は十分ですよ。」
女の教官は笑顔で開始を宣言するが、
その笑顔は天使の微笑みか悪魔の嘲笑か。
未だ、リースはニヤつきながら
横目でリオを見ている。
初動を楽しみにしているといった顔つきだ。
彼女にかかれば、調合などお手の物なので、
待ち時間以外に三十秒あれば楽勝でできる。
つまりは、残り約三分の時点で開始すれば
完成できるということだ。
先程とは形勢が逆転し、
今現在、勝利を確信しているのはリースの方だった。
回復薬の調合手順は、まず下拵えからだ。
初めに、アオキノコを適当なサイズに
刻んだものを湯につけ、出汁を作る。
その間に薬草をすり潰し、葉の繊維や、
茎などはできるだけ取り除くようにする。
出汁が取れれば、入っていた
アオキノコを取り除き、
磨り潰した薬草を入れ、最後に
よくかき混ぜれば完成だ。
基本的には、これで
効果のある回復役が作れる。
苦味を消すのは困難で、
熟練の技によるものだが。
リオは考えた、
この試験は自力では突破できない。
ならば、他人の力を借りるまでだ、と。
彼に残された最後の手段、チラ見だ。
だがあくまでもチラ見、
作業に必要な道具、おおよその手順等を
把握することしかできない。
そこで見えたのは、鍋、包丁、
さらにまな板、そして、すり鉢とすりこぎ。
ここから大体の作業を推測、
そしてチラ見により、
周囲の人間の作業と照合する。
ならばと、
リオは開始約三分後に作業を始める。
今か今かと待ち続けていたリースは、
すでにしびれを切らして作業を開始していた。
そして、そんな彼の様子を
メイは心配そうに見つめていた。
リオがひと作業する度、心の中で
『リオ、それ違う!
それを磨り潰すんじゃないよ!』
や、
『そうそう、それを刻んでお湯に……
ってあれ?まさかそのまま入れる気!?
あ、あぁっ!!入れちゃった………』
等と叫び、それがまたすぐ表情に
現れるメイは、教官に何度も
注意される始末だった。
そして、
「はい、それでは試験終了です。
皆さん、手を止めてくださ〜い。」
と、教官か笑顔で呼びかけるのであった。
「よし、なんとか出来たぞ!!」
「はぁ…リオ、大丈夫かなぁ………」
「私もできましたわ!
ふふ、あの馬の骨……
すぐにでも土下座させてやりたいですわっ!」
「ふえぇ…リースぅ、
そんなこと言っちゃダメだよ…」
各々が完成品を教官の元へ持っていき、
そしてついに、合否判定の時が訪れる。
ここで、読者さんから質問が来ています!(大嘘)
Q.リオはなぜ一次試験でチラ見を使わなかったのですか?
A.ここは本人に答えていただきましょう。
「混乱してたからです。」
だそうです('ω')
追記、早くも誤字発見。
どこかで『が』が抜けておりました。
申し訳ありません。