小噺集   作:畑の蝸牛

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Dr.pepper

世界に散らばった「シーズニング」、調味料の名を冠した研究者で構成されたチーム。国を治める世界各国の要人から、指名手配のようなことをされてまで求められる人材。

 

その一人、Dr.pepper。

 

「え、なに?数式にどこかミスがあるって?知らないよ。お前の職業は何。数学者だろぉ?専門でもない人に聞くのさぁ、プライドとかそういうの無いの?あ、言い訳は聞きません。作業の邪魔でしかないから。背後に立ちながらしょぼくれないでくれる?そのジメジメしたので部品が錆びたらどうしてくれんの?」

 

人型のロボットの胸部を開き、半分顔を突っ込みながら、困って頼ってやって来た新人の数学者をなじる。コショウの名に恥じない、性格の黒さが彼にはあった。

 

「しょ、所長って、確かあの伝説の……シーズニングの一員なんですよね…?」

 

「ああ、そういうことか。入所してからここまで、お前と喋ったこと無かったのにいちいちチマッとしたことで話掛けてくるんだなぁ、と思ったが、本命はこっちか。よっと。数式は実際出来てるんだろう?ここに来る口実だ。俺に本当に聞きたかったことは、そのことだったんだな」

 

ロボットの胸部から顔を出して、新人の方へと向きなおる。新人は肩を跳ねさせ、意識しないまま気を付けをする。持っていたボード、数式が書かれた紙が挟まった物が落ちた。

 

「お前、研究者の端くれなら自分の研究は息子とか娘だと思え。今ので骨が折れましたー救急車呼ばなきゃーちゃんと救急救命士に状況報告とかしなきゃいけないなー、ということでじゃーねー」

 

落とされたボードを恭しくすら見える手つきで拾い上げ、まくし立てた後、華麗に新人を横切って去ろうとする。

 

「話を聞くまでは行かせませんよ」

 

確固たる意志で通せんぼする新人。それを見ると、彼はチッ、と短く舌打ちをした。

 

「まぁいいか。実験台だ」

 

と新人に聞こえない程度で呟くと、おもむろに右手を高く掲げた。キツネのハンドサイン。それが何を表すのか、それは彼のみぞ知る。

 

「起動〈アウェイクン》我が息子《マイリトルサン》!!そして活路を確保しろ!」

 

蒸気がロボットの背より吹き出す。開けられていた胸部は蒸気に伴って閉まる。そして、両のデジタルアイが緑の閃光を放った!

 

「了解、攻撃を開始、します」

 

電子音声とともに前方、新人の方へと向けられた左手には、本来あるべき場所に拳がなく、どこか大砲思わせる機構が付いていた。緑の閃光が、砲の中へと満ちる!

 

「えっ!?ちょっそれ人に向けるもんじゃ無いですよね!!??」

 

「大丈夫!空気中の二酸化炭素を勢い良く酸素に変えるだけだから!」

 

「チャージ完了まで、5、4、3……」

 

「カウントダウン始まってますけど!?死にませんよねこれ!!??」

 

「……………グッバイ」

 

「え」

 

「…1、ゼロ、シュート」

 

緑の光の奔流が新人を、新人の体を染めていく。光の中、新人の意識はその光の明るさに反して、だんだんと暗く、潰れていった。

 

「所長…!なん、で…?」

 

そのまま、新人は地面に崩れ落ちた。

 

それを彼はじっと見ていた。




続きが欲しけりゃ言うんだな!!
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