歌舞伎町のよろず屋さん 作:誰そ彼
落ち着いた所で、まずは能力が使えるか試しに水を出す。
よし、大丈夫だ!次は普通のワンピースと...。
ようやく人前に出てもおかしく無い格好になった所で、ここがどう言う世界なのか調べないとね。
町並みとしては、時代劇でしか見ないような木造建築と、コレまた漫画でしか見ないようなハイテクな建物。なんなの?このチグハグさは...。
歩いている人も、着物が中心で所謂洋服を着ている人はほとんどいない。そして、人じゃ無い人?もいる。
猿っぽいのとか犬っぽいのとか、極め付けはなんだかわからない物体とか...。
何コレー!!何コレ?タイムスリップかと思ったけど絶対違うよね!?
あ、わかった!コレ夢だわ!感覚とかリアルだから勘違いしたけど、多分死ぬ間際の夢だわ!きっとそう!
夢だと分かれば落ち着いてきた。よし、心ゆくまで楽しもう!
まずは町をブラブラして買い物しよう。あ、お金ないわ。とションボリしながら歩いてたら金プラ買い取りの看板発見。
チョチョイと能力で金を出現させて頂きました。
コレで当分は大丈夫そう。
美味しそうな匂いにつられてお団子を購入。ブラブラしてたら公園があったので自販機でお茶も購入。
さて、ゆっくり頂きましょうか。
あむあむとみたらし団子を頬張りながら、公園で野球をしている子供たちを眺める。んー、平和です
ほのぼのしてたら、前から平和をぶち壊す物体がやって来た。
ダンボールを装備した小汚いオジサン。何故かグラサンも装備。
他にも空いたベンチが有るのにこちらを凝視しながら真っ直ぐこちらへ向かってくる。
なになに!?平静を装いながらも内心ビビってたら、何故か私の前で立ち止まったではありませんか。
何?何なの!?
「......。」
「......。」
「あの、何か用ですか?」
お願いだから無言で凝視するのは辞めて欲しい。
「お団子、美味しそうですね。」
......???
え?この人、お団子欲しいの?何?浮浪者?この人頭おかしい!
「あ、はい。美味しいですよ。」
じぃー。穴が空きそうな位見つめられる。正確には私の手元のお団子。
「あの、よかったらお一つどうですか?」
お団子あげるから何処かへ行ってくれないかなー。
「いいんですか?いやー!催促しちゃったみたいで悪いなー!じゃあお言葉に甘えて...。」
渋々差し出したお団子が光の速さで口の中へ消えて行った。待て!何故隣に座る!?
「この辺りで見かけた事が無いけど、お嬢さんは最近引っ越して来たのかな?」
モグモグとお団子を食べながら浮浪者が話しかけてきた。
「えぇ、まぁそんな所です。」
「やっぱり?おじさんこの辺りの人は大抵知ってるからさー。あ、おじさんまだ名乗って無かったね。長谷川泰三です。」
「それはどうもご丁寧に。私は桐島縁と申します。」
変な人だけど別にいいよね、夢だし。
変な浮浪者、もとい長谷川さんの身の上話を聞かされた。
大変なんだね。長谷川さんも。
そうこうしてたら、いつの間にか夕日が沈む頃になっていた。
「いやー、おじさんのつまらない身の上話なんて聞いてくれてありがとうね。もう暗くなるからお家にお帰り」
そう言われてはたと気付いた。
「あ、寝る場所ないわ」
「えぇー!?縁ちゃん、浮浪者なの?」
いやいや、違うよ?あれ?違わないか?
お金は有るけどね。
こちらに来たばかりで金は有るけど部屋がないと説明すると、長谷川さんがお団子のお礼にと、不動産屋を紹介してくれた。
現実世界では犯罪だな、なんて思いながらも怪しむ長谷川さんを言いくるめてついでに身分証も見せて貰って偽造完了。
住む家も借りたし、これで暫く困らないね。長谷川さんには別れる前にお礼と称して少しばかりの現金を押し付けておいた。
頑なに固辞されたけど、長谷川さんのおかげですんなり部屋を借りれた。本当に助かったから、正式な仲介料ですと言えば、何とか受け取って貰えた。
部屋に入って必要な物を作りながら、今日の出来事を思い出す。
土方さんと、長谷川さん...。いい人だったけど、うん。すっごく濃い1日だったわ...。
それにしても、この夢いつ覚めるんだろう。
次に目が覚める時は完全に死んでるのかな?それとも、目が覚めること無く死ぬのかな?なんて取り留めもないことを考えながら眠りについた。