歌舞伎町のよろず屋さん 作:誰そ彼
次の日、昨日のお礼にと草餅を片手に再び公園に足を運んだ。
公園では昨日と同じように子供達が野球をしているのが見える。
うんうん、元気があっていいね!
子供達を遠目に見ながら自分用の草餅をあむあむしていると、前方から不審者が現れた。
いや、不審者と言っても長谷川さんではない。あの人は私の中ではいい人認定されている。
視線を感じて顔を向ければ目が合ってしまった。しかも真っ直ぐこちらに向かって歩いてくる。近づくにつれ、不審者の全貌が明らかになった。
白髪頭のクルクル天パ。白い着流しの腰にはベルト、ベルトに差した木刀。そしてジャージ、足元にはブーツ...。
いやいやいや!おかしいでしょ!和洋折衷もいいとこだよ!?
心の中でのツッコミは声になること無く喉の奥に消えた。
不審者はじぃーっと穴があくほどこちらを見ている。私の顔に何か付いてるのかな?と不安になるほどだ。
「......。」
「......。」
「あの、何かご用ですか?」
「草餅、美味しそうですね。」
あれ?デジャヴ??
そんなこんなで、私は再び不審者に草餅を取られ、身の上話を聞いている。この変な人は坂田銀時と言うらしい。
銀さんと呼んでくれぃとやる気のない感じで言われた。りょーかいです。
銀さんはこの歌舞伎町で万屋(よろずや)を営んでいて、従業員の1人がこの公園で野球をしているらしい。
あれ?でも子供しかいないような......??まさかロリコ......。いや、何も言うまい。
このロリ...、いや、銀さんはどうやら長谷川さんの知り合いらしい。何か困った事があれば連絡しろと名刺を渡された。
ふむ、何かあれば頼るとしよう。
この辺りのお店なんかの情報をもらい、オススメの和菓子屋さんも教えてもらった。もう一人の従業員は男の子らしい。
ロリじゃ無くて、稚児主義でしたか......。
その後も暫く長谷川さんを待っていたけど、長谷川さんは現れなかった。うーん、今日は来ないのかもしれないな。
ベンチから立ち上がり、そろそろ銀さんに挨拶して帰ろうとしたその時
「おい!」
銀さんの声が聞こえたと思うと、頭部に強い衝撃を受けた途端、目の前が真っ暗になった。
・・・・・・・・・
「ん......?」
頭部に冷たさを感じて目を開けると、心配そうな銀さんと、赤いチャイナ服を着た中学生くらいの女の子が泣きそうな顔をして覗き混んでいた。
「おい、大丈夫か?」
まだぼんやりする頭を押さえつつゆっくり起き上がると、強烈な痛みが脳内を駆け巡る。
「痛っ!!」
「お、おい!無理すんな。大丈夫か?」
あぁ、クラクラする。水が欲しいと言うと銀さんが買ってきてくれた。一口飲んで意識がはっきりして来た所でようやく思い出してきた。
「大丈夫大丈夫。ありがとう銀さん。」
「ゴメンアル。野球のボールが頭に当たったアルヨ。」
そうそう、帰ろうとした所で何かが当たったんだ。そうか、野球のボールか。そりゃ痛いわ。
今にも涙をこぼしそうな女の子に笑いかけ(弱々しかったかもしれないが)、頭を撫でてもう一度大丈夫と言うと、初めて笑ってくれた。
ヨカッタヨカッタ。女の子は笑ってる顔が可愛いもんね。
この赤いチャイナ服の女の子は神楽(かぐら)ちゃん。銀さんの所の従業員らしい。世の中って狭いね。
頭の痛み(でっかいタンコブが出来てた)も引いてきたし、そろそろ帰ると言うと神楽ちゃんが送って行くと言いだした。
大丈夫だよと言ったけど、自分の所為だから送って行くと言い張る神楽ちゃんの言葉に甘える事にした。
歩いている途中で痛みで気分が悪くなり、銀さんが運んでくれると言う赤面モノな事態もあったけど、何とか無事に家に帰る事が出来ました。
神楽ちゃんと銀さんが居ないと途中で倒れてたかもしれないな...。
「今から病院に行くぞ」と言う銀さんに「明日行くよ」と返事をして、何度も謝る神楽ちゃんには「大丈夫よ。送ってくれてありがとね」とお礼を言ってお別れ。
能力で汚れを消した後は何とかベッドまで身体を運んで就寝。
あぁ、疲れた...
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