パチュリーに待っていてと言われている当日。
詩乃は自分の住むアパートの前に立っていた。
そんな中、自分を呼ぶ声に顔を上げる。
「しののーん!」
栗色の髪をなびかせ走ってくる少女は結城 明日菜。和人のSAO時代からの友人かつ彼の恋人だ。詩乃にとってはお泊り会までした友人である。
「明日菜。よかったわ、これて。リズもシリカちゃんもリーファも来れないって言ってたから心配になっちゃって。」
「キリト君の話を聞く限りじゃほんとかどうかも怪しいもん。面白そうだったし。」
「で、その誘った本人はどうしたの?」
「特に何も連絡はないから、そのうち来ると思う。こっちに来るまでにちょっと距離あるし。」
2人で雑談をしていると、ようやく和人が到着した。
「まっまた最後か…」
「全く、女の子を待たしちゃダメだよ、キリト君。」
「わっ悪い悪い。」
「時間過ぎても来なかったらおいていこうかと思ったわ。」
「そりゃ勘弁してくれ。」
和人も明日菜も詩乃も、パチュリーの言っていた魔法にはそれなりに興味があるのだ。
時間は9時5分前。もうすぐ、その迎えが来るだろう。
たった5分。学生が3人集まってしまえばあっという間だ。
そして、約束の午前9時。突如、3人の目の前の空間が裂けた。おまけに中には目のような模様がありかなり気味が悪い。
「なっ何これ…」
「なんか怖いわね」
「まさかこれがその迎えってやつか…?」
「ご名答。まさにその通りですわ」
驚いている3人を更に驚かせるかのように、割れ目から1人の女性が出てきた。女性は長い金髪に日傘をさし、整った顔立ちに笑顔を浮かべている。
「はじめまして。私の名は八雲 紫。パチュリー・ノーレッジにあなた達を迎えに行くようにと頼まれましたので参りましたわ。」
「はっはじめまして、桐ヶ谷和人です。」
「結城明日菜といいます。よろしくお願いします。」
「朝田詩乃です。」
驚きつつも自己紹介をする。あまりの驚きが面白いのか、紫はクスクスと笑っていた。
「それでは、早速行きましょうか。」
そういうと紫は裂けた空間の中に体を入れると、和人達にも呼びかけた。
「ここを通れば、彼女のいる館はもう目の前です。それでは、我々の楽園を是非、お楽しみください。」
何やら意味のわからないことを喋り、紫の声は聞こえなくなった。裂け目は残っているので、恐る恐る中に入る。
一種のトンネルのようなものだ。何か足元にあるとか、そんなことはない。
一番怖かったのは3人が中へ入った途端、入った入り口が閉じてしまったことらしい。(明日菜談)
とにかくまっすぐ進み、出口から外に出ると、そこは森だった。少し深い霧が漂い、近くには大きそうな湖もある。
そして何より一番目に入ったのは、門から壁、屋根に至るまで真っ赤で大きな館だった。
「大きい…」
「ここが、キリト君の言ってた館?」
「たっ多分。とにかく中に入ってみようぜ。」
和人に促され、門に近づく。彼等の身長を何メートルも超える大きな門には、どうやら門番がいるようだ。緑のチャイナ服に見を包み、170程はあるであろう身長に腰まである紅い髪。先程の紫同様に整った顔立ちは、目を閉じ俯いていた。
「えっと…門番さんだよね。」
「あの~ってもしかしてこの人寝てるんじゃ…」
詩乃にそう言われ耳を澄ませてみると、予想通り。規則正しい寝息が聞こえてきた。
「どうしようか…」
「起こすしかないとは思うが、どうしたもんだか。」
「そうね…」
女性はいっこうに起きる気配がない。迷っていると、内側から門が開いた。出てきたのは1人のメイドだった。
「またねてる…すみませんお客様。パチュリー様から話は伺っています。どうぞ中へお入りください。」
「あっありがとうございます。」
門から中に入ると、メイドが逆に外に出ていく。
『起きなさい美鈴!』グサリ
『ギャア!って咲夜さん!すっすみません!』
『全く、お客様が来てるんだからしっかりしなさいね。』
なにやら少し話し、メイドが中に戻ってきた。
「本当に申し訳ありません。」
「いえ、大丈夫です。えっと…」
明日菜が言葉をつまらせると、メイドは察したのか、あっという表情を出した。
「申し遅れました。私、この紅魔館のメイド長をつとめております、十六夜咲夜です。先ほどの門番は紅 美鈴。以後、お見知り置きを。」
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