ではどうぞ。
翌朝。今日はBoB本戦の日だ。いつもよりも少し早めに起床したパチュリーは今日の作戦を考えつつ、読書にふけっていた。
幻想郷でもよく見られる山のような地形はもちろん、見たことすらないような砂漠まであるらしく初めて見る光景に胸を躍らせる。
「随分と楽しそうですね。」
「顔に出てたかしら?」
「そりゃあしっかりと。」
紅茶を入れてきたであろう小悪魔に指摘され顔をしかめる。本人は意識していないが、今までの無表情が嘘のようににやけた顔だった。
それも、今まで紅魔館で過ごしてきた中でも一度も見たことのない表情。
「それで、勝てそうですか?」
「当たり前じゃない。意外と面白いわよ。」
「パチュリー様がそんなに興味を持たれるなんて珍しいですね~。紫さんに頼んだらアミュスフィアくれますかね。」
「あのスキマ妖怪だもの。流石にわからないわね。面白がって用意するって可能性も考えられるけど。で、いい加減出てきたら。」
「なんだバレてたのか。」
姿を現したのは白黒の服に身を包んだ少女。霧雨魔理沙だった。
「全く、盗んだ本を返しに来たのかしら?」
「いや、違うぜ。まぁ、本を借りに来たわけでもないんだが。今日の話をしに来たぜ。」
「BoBの事?」
「その通り。単刀直入に言う。今日の試合。私とアリスと、3人で組まないか?」
予想外の誘いだ。もともとアリスは誘う気でいたのだ。だが、まさか魔理沙が来るとは思っても見なかった。
「あなたが言うとなにか裏がありそうね。」
「失敬な。今回はシノンといいキリトといい、強敵揃いだからな。中には去年いいとこまで行ってリベンジ優勝を狙ってる奴もいる。そんな奴らに勝つためだぜ」
「ふーん。まぁ別に構わないわ。アリスは誘う気だったし。で、なんか考えでもあるの?」
「いや、ないぜ。」
思わずずっこけた。誘ってくるのだから、何かしらの作戦でもあると思っていたのだが。
「まさか何も考えてないとは思わなかったわ。」
「こういうのは私よりもパチュリーのほうが得意だろ。」
ため息をつく。正直に言うと面倒だ。だが、パチュリー本人も優勝したいのは事実。仕方なく引き受けた。
「仕方ないわね。こあ!少し手伝ってちょうだい!」
「パチュリー様?」
本の整理をしていた小悪魔を呼ぶ。そしてニヤリと、なにか企んだかのような笑みを浮かべる。
「今日の作戦を考えるわよ。」
それは、先ほどしぶしぶ受け入れた人のものとは思えないような、不敵な笑みだった。
・ ・
GGO総督府。まだ大会が始まるには少し早い時間帯。パチュリー、アリス、マリサの3人は作戦の打ち合わせをしていた。
「まずはマリサとアリス。。あなた達は前衛。相手にある程度の距離からマリサのバズーカを打ち込みなさい。それで削りきれなくっても、アリスが接近しやすくなるから。」
「パチュリーはどうするのよ。」
「私は周囲の敵の殲滅。2人がやっているところを狙ってくる輩を仕留めるわ。」
「よく思いついたな。死角なしだぜ。」
「油断は禁物よ。どんな作戦にも入り込む隙間はある。そこに入られたら作戦が一瞬で狂う可能性もあるんだから。」
「了解、パチュリー隊長。」
魔理沙の一言に笑いが起こる。いい感じに緊張感がほぐれた。
そこに例の2人もやってきた。
氷のスナイパー、シノンと謎の光剣士、キリト。
「準備万端みたいね。」
「えぇ。負ける気がしないわ。」
「俺も全力で行かせてもらうぜ。」
「わたしだって負けないからな!」
「やっぱりその見た目でその口調はおかしいわね。」
「アリス…そんなこと言われてもなぁ。」
キリトが困ったように頭をかく。お互いにやる気が出てきたところで、チャイムが鳴る。
ついに、BoB本戦が開幕した。
彼女達の銃同士の戦いが火蓋を切ったのだった。
・ ・
フィールドについたパチュリーはまず周りを見渡す。どうやらはいきょを模しているようで、古いビルが立ち並んでいる。
ついたところで、彼女はなんの行動も起こさなかった。彼女の目的はマリサやアリスと合流すること。なので、はじめに配布された地図で比較的安全そうな道を探すことにした。
「(1番合流しやすそうなのはこの廃墟のあたりね。じゃあそこに向かおうかしら。)」
ルートを頭の中に入れ、地図をしまう。そして、特に急ぎもせず橋のある場所まで歩き始めた。
一方、アリスは最初の戦闘を始めていた。地図を確認中に襲撃されたのだ。
とはいえ、彼女は攻撃を食らったわけではない。気配を感じ、銃弾を避けていた。
魔法使いであり、幼少期は魔界で過ごして来た彼女にとってゲーム内での気配を探るくらい容易い。そんな彼女に強襲をかけるとは敵も運が無い。
「この程度で私が倒せると思われてたなんてね。GGO初心者だからってなめないでよねっ!」
相手のいる場所まで一気に走る。自分のSTR値を理解しているからこそ、その中で一番の速度をだす。体の動きをうまくすれば簡単なのだ。
「げっ!?」
「チェックメイトよ。」
初心者とは思えない速さで走ってきたアリスは、密かに咲夜に教えてもらっていたようにナイフを振るう。
メイドになる前は吸血鬼ハンターだった咲夜はナイフ投げしか使えないわけではないのだ。
HPを削られたアバターの上にDEADタグが現れる。
「急に来るなんて野蛮ね。さて、さっさと行きますか。」
バトルを終えたアリスはパチュリーやマリサと合流するため移動を始めた。
アリスが若干チートな気がする…
本戦はまだまだ続きます。