1967年10月26日
大日本帝国側の施設にしては比較的綺麗に作られているブリーフィングルームに、第666部隊の面々は集まっていた。
那智以外の全員は椅子に腰かけており、その目の前で那智はこれからの会議での司会を務めようとしていた。
「よし、全員そろったな」
「はっ、全員そろいました」
実質副隊長の役目を担っている五十鈴が、敬礼を返しながら報告をしたことでブリーフィングが始まる。
「かねてより欠員がある我が隊に、補充要員が来ることとなった。と、いっても彼女は何度も前線に出撃している玄人だ。新人ではない。
「はっ!」
「入ってきてくれ。」
世界的に見ても、
生存率が極端に低い作戦を行い、貴重な人員と装備を失うのであれば、例え制空権を取られようとも、近海の警備を厳重にするほうが良いという考えが一般的だ。
ドイツやアメリカ、大日本帝国の命知らずの部隊だけが、今でも制空権確保のために四苦八苦しているのだ。
その事実に思わず眉をひそめたくなるも、吹雪は我慢する。
こんな部隊に異動になるなんて、実質死刑宣告されたも同然だ。
扉が開き、現れたのは黒髪で全身インナーを着た駆逐艦だった。
「なっ!」
なぜか五十鈴が驚きの声を上げる。
一瞬だが、その声に反応した彼女が嫌そうな顔をしたのを、吹雪は見逃さなかった。
彼女は那智に一礼すると、自己紹介を始める。
「秋月型防空駆逐艦、四番艦の初月だ。よろしく」
「初月!!」
「ちっ……」
我慢できなくなったのか、那智の目の前だというのに五十鈴が初月へと飛びかかる。
「おい、離せ!」
ガッチリとホールドされた初月が嫌がり続けるも、五十鈴は熱い愛の抱擁をやめる素振りを見せない。
「知り合いなの?」
「うんうん!」
夕張の問いに五十鈴が嬉しそうに答える。
吹雪の隣では、不知火が目を見開きながら小さく呟く。
「……すごい人が来た」
「すごい人?」
「単艦で、12隻の深海棲艦とやりあって帰ってきた人だから。有名だよ」
「す、すごいね……でも、不知火ちゃんも負けてないよね!」
不知火にもそれなりの逸話がある。
なぜか不知火は、唇を震わせながら吹雪から視線を逸らす。
マックスが我慢できなくなったのか、怒鳴り声をあげると場がシンと静まり返った。
「同志中尉! いい加減にしろ! 作戦会議中だぞ!」
「す、すみません……」
「ふむ。では、私が補足しよう。初月は以前、『帝国海軍第45機動空母部隊』に所属していたのだが……先の戦いで部隊の主力空母が大破してな。その影響で部隊が解散したため、ここに転属してきたということなのだが……五十鈴とは知り合いなのか?」
「まぁ……腐れ縁みたいなものです」
「そうか。その話は、後で詳しく聞かせてもらおう。今日からよろしく頼む、初月少尉」
「はっ!」
「左から順にマックス中尉」
「……政治将校のマックスよ。反戦思想は許さない。覚悟しなさい」
「五十鈴中尉」
「久しぶり!」
「夕張技術中尉」
「よろしくね!」
「不知火少尉」
「不知火だよ。よろしく」
「吹雪少尉」
「よろしくお願いします!」
「そして、私を含めた6人が第666部隊のメンバーだ」
「はっ! よろしくお願いします!」
那智が紹介を終えると、初月は吹雪達へ敬礼をする。
その姿は歴戦の猛者の如く、勇猛果敢なオーラが滲み出ていた。
「さて、……さっそくだが次の作戦命令が下った。これより、ブリーフィングを始める」
部屋の明かりが消され、スクリーンが下がっていく。
心なしか、全員の顔が緊張していた。
「今回の作戦は、大規模作戦前に行われる敵艦載機の