終わりのセラフと寂しがりの悪魔   作:モフノリ

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人間と吸血鬼の双子

「んぁ」

 

 間抜けな声を発しながらライナは目を覚ました。

 自分の中にいる弟のフェルナのおかげで身体中を巡っていた毒はなくなっている。

 

「うむ」

 

 起き上がって身体を伸したり動かしたりしてどれほど動くか確認してみたが、どうやら普通に動くようだ。

 

「起きたのか」

 

 声のする方を見るとそこにはゆうさんと呼ばれていた少年がいた。

 周りのことを気にしていなかったことに気がつき、我ながら気が抜けているとあきれてしまう。

 

「あー、えっと、ありがと?」

 

「疑問形かよ。俺、百夜優一郎。ってあれお前の目・・・・・・」

 

 優一郎と名乗る少年がライナの目をのぞき込む。反射的にライナは目をそらした。

 

「えっと、なんなの。目を見られるの、苦手なんだけど」

 

 優一郎が首を傾げるのを気配で感じ取る。

 

「お前の目、今は黒いけど一瞬赤くなかった?」

 

 その言葉にドキッとし、右手人差し指につけていた呪具と左腕につけていた籠手がはずされていることに気がついた。しかし、今は黒いという言葉を思い出してとりあえずは安心する。

 

「・・・・・・んなわけないだろ。俺は吸血鬼に飼われてるただのペットだよ」

 

「そっか」

 

 優一郎は納得が行かないようでそのあとも唸っていた。

 そんな優一郎を無視してライナは周りを確認する。

 吸血鬼達は殺されたようで家畜にされていた人間達が表に出てきていた。

 

「おや、起きてましたかぁ。倒れちゃったんで心配してたんですよ」

 

本当に心配していたのか怪しいほど、こちらを舐めきっている口調でそう言いながらシノアがライナの元にやって来た。

 

「まぁ、助かったよ」

 

一応お礼は言っておく。実際、フェリドのところに連れていかれそうなのを阻止してくれたのは事実だ。

 

「あなたが寝ている間に身体検査をさせていただいたのですが、私を助けてくださった時のように左腕で剣を受け止めるための籠手、右手人差し指に付けられていた空間に模様を書く装備、その二つぐらいしかあなたは戦うためのものをつけていませんでした」

 

 まあ、例え攻撃をしてこないと分かっていても、よく分からない人物の身体検査をするのは当たり前だろう。全てが嘘で隠し持っていた何かで攻撃されてもこまるというものだ。

 だが、人差し指に付けていたものは彼女が言ったように右手人差し指に付けられていた空間に模様を書くものではない。

ライナのあの魔法のような攻撃は自分の中にいる鬼になってしまった双子の弟の力を借りて使っているものだ。

 言わば、ライナ自身が鬼呪装備。

 吸血鬼達に化け物と言われ、フェリドに世界でたった一つの実験体だと喜ばれ、帝鬼軍で実験されていた理由だ。

 五歳より前の記憶が無いために何故そうなっているのかはライナ自身もわからない。

 フェルナが双子の弟だと聞いたのもフェルナ本人からだった。

 自身が鬼呪装備というのは瞳に現れていて、瞳の中に五芒の紋様が薄く浮かび上がっている。

 フェルナの力を使う時と、フェルナと喋っている時に赤くなるが、普段はライナ自身の瞳の色である黒のままで、紋様ものぞき込まないと見えることはない。

そして、人差し指に付けている呪具を付けていればフェルナの力を使っていても、フェルナとしゃべっていても瞳は光らない。

 むしろ、そのためだけの呪具であり、人差し指につけているのはこれが無いと戦えない思わせるのはカモフラージュでしかない。

 先ほど、優一郎が瞳が赤い瞬間を見たのは武器と見せかけている呪具がはずされた状態で気を失っているときにフェルナと会話していたからだろう。

 ライナが何も使わなくても戦えるということを知らないシノア達はライナから武器を取り上げ、こちらが何も出来ないようにしたかったようだった。

 

「その二つを外して、丸腰になった俺にあんた達は何をしたいのさ」

 

 とりあえず、ライナは丸腰であると思わせておくことにする。。

 

「あなたは吸血鬼に刺されました。そして毒も盛ったとあの吸血鬼は言いました。にも関わらず、あなたの傷口は塞がり、どうやら毒も無くなっているようです。どうしてですか?」

 

まためんどくさいところに気がついたものだ、とライナは思った。

身体検査をしたというのだから傷口が塞がっているのを確認したのはその時だろう。

なんて言い訳をしようかとライナは考える。

 

「えっと……言わなきゃダメ?」

 

「当たり前です」

 

言うのを渋ってるような顔をしながら言葉を探す。

ライナの中にフェルナという鬼がいるから治りが早いなどといえば、帝鬼軍で実験体にされるのは目に見えている。

 

「えっと……ほら、ペットって言ったじゃん? それで、捨て駒として使えるし、回復早けりゃ使いたい放題だからって理由で吸血鬼にいろいろいじられてこうなったと言うか……」

 

 いろいろいじられたのは嘘ではない。

 フェルナの力を魔法として使えるようにしたのは吸血鬼にいじられた結果である。

 最初は身体能力と治癒能力が吸血鬼が並ぐらいしかフェルナがライナの中にいる影響はなかったのだ。

ちなみに、呪具を付けされられているのは、見た目は人間なのに身体は吸血鬼というのが面白いからというフェリドの娯楽の為だ。娯楽のためとはいえ、この瞳の色のせいで苦労したのはたしかなので、呪具を作ってくれたことには一応感謝している。

ライナの言った大半嘘の話を信じてくれたのか、優一郎とシノアは悲痛の顔を浮かべた。

それに罪悪感を覚えるライナだったが、無視をしておく。

その罪悪感で真実を言っても身を滅ぼすだけなのだ。

 

「そうでしたか。答えていただいてありがとうございます」

 

「まあ、気にしなくていいよ。で、あんたらはここをどうするのさ」

 

「この人たちを引継ぎの部隊に受け渡したら俺たちは新宿に向かう。お前はどうするんだ?」

 

 そういわれてライナは考える。

 吸血鬼のところにしばらく帰るつもりはない。帝鬼軍のところにいくつもりもない。

 

「ん~、一人旅かなぁ。ってことで、それ返してもらえるとうれしいんだけど。さすがに何にもなしじゃ危ないからさ」

 

 そういってシノアがもっている呪具と籠手を指す。

 別になくてもヨハネの四騎士を蹴散らすことも、吸血鬼から逃げ続けることもできる。

 だがしかしである。この瞳の色や、フェルナのことを知られると厄介なことになるのは間違いない。

 それを防ぐためにもせめて呪具は返してほしい。

 最悪、吸血鬼の所にいる間に身に付けた知識で新しく作ることもできなくはないのだが、めんどくさいことしたくはないのがライナという人物だった。

 シノアが眠そうなライナの瞳をみつめる。

 反射的に目をそらそうとしたが、警戒して少し遠めにシノアは立っているので五芒はみえないだろうと

不審がられないように嫌な気持ちを抑えてあえてそのままでいた。

 

「わかりました。お返しいたします」

 

「あんがと」

 

 シノアが渡してきたのでライナはそれを受け取ろうとするとシノアは渡そうとしていた手を引っ込め、いたずらをする子供のような顔をした。

 その顔をみて嫌な予感がしたライナは思いっきり顔をしかめる。

 

「渡す前にお願いがあります」

 

 ほらぁああああああああああああああああああああああああああ?!

 ライナは心の中で叫んだ。

 

「・・・・・・なに」

 

 心の叫びを表に出すことなく聞き返す。

 

「新宿にいく私たちについてきてください」

 

「やだ」

 

 そっぽを向きながら即答したライナに心底不愉快そうな顔をするシノア。

 二人がそのまま固まったままでいるとどこからか少女が駆け寄ってきた。

 

「ご・・・ごめんなさい・・・わ・・・私・・・私・・・・・・」

 

 涙を浮かべながら少女は優一郎に何かを伝えようとする。

 それに対して優一郎は優しい笑顔向ける。

 

「お前は自分の家族を守ろうとしただけだ」

 

「でっでも・・・」

 

 何事かと先程まで家畜にされていた人間達を先導していたシノア隊の他の三人もやってくる。

 

「正しいことをしたんだ。だから謝るな」

 

 そう少女に向かって優一郎は優しく諭す。

 その光景を見て、思わず微笑む。吸血鬼のところにいたときは殺伐としていたが、ここには暖かさがある。

 久しぶりに感じたものだった。

 

「てめぇらなんてことしてくれたんだ!」

 

 突如そんな叫び声がどこからか聞こえた。

 その声の主はどうやら先ほど優一郎に謝ろうとしていた少女の父親のようで、吸血鬼に血を与えていたから自分たちは今までヨハネの四騎士と言われる化け物たちに襲われることもなく、なんとか生きてこれたのにどうしてくれるんだ、ということらしい。

 先ほど、優一郎が別の部隊に引き継ぐ的なことを言っていたので、ここに放置というのとはしないと思うが、そんなことを知らない彼は不安なのだろう。

 にしても人口調整とはやはり帝鬼軍は好きになれない。

 

「俺は」

 

 喚く男性に向かって優一郎は真剣な顔をして口をあけた。

 

「・・・俺は子供のころ・・・ずっと吸血鬼の都市にいた」

 

 それまでなんとなくだらだらと話を聞いていたライナだったが、優一郎の言葉を聞いて少し興味を持つ。

 

「残飯食わされて、毎日毎日血を抜かれて。それでも自分は家畜じゃないと言い続けて生きてきた」

 

 家畜。

 吸血鬼は人間をそう呼ぶ。ライナはその呼び方が嫌いだった。

 ライナは鬼呪装備そのものではあるが、フェリドが調べた結果、血には何の影響もないらしく、フェリドに幾度か直接血を飲まれたこともある。

 血が吸い取られていく感覚は不快感しかない。しかも、フェリドは死にそうになる直前まで飲んできたりしたこともあって、嫌な思い出しかない。

 ライナが嫌なことを思い出している間も優一郎の話は続く。

 

「そしてある日、脱出を企てた。そのせいで仲間はみんな死んだ。・・・・・・いや」

 

 お調子者で馬鹿だと思っていた優一郎が始めてうつむく姿を見た。

 

「自分が逃げ切るために見捨てた。今はそれを後悔している。俺もあの日一緒に死ねばよかったって。そう思うこともある。だけど、それでも・・・・・・」

 

 優一郎は顔を上げると、まっすぐな目で男性を見る。

 

「それでもあの日、家畜をやめようと決めたのを後悔したことは一度もない」

 

 その言葉を聞いてライナは気配を消してその場から去った。

 誰も来ないであろう場所まで来ると自分の中にいるフェルナに声をかける。

 

「フェルナ・・・・・・」

 

 特に話したいことがあったわけでもなく、ただ声が聞きたかった。唯一心を許せる、安心のできるフェルナの声を聞きたかっただけだった。

 

『どうしたの?』

 

 頭の中にフェルナの優しい声が響く。

 

「いや、別になにもないんだけど。ただ、なんとなく」

 

 そしてしばらく沈黙が続く。

 それを破ったのはフェルナだった。

 

『ライナ。君が化け物ってわけじゃないんだ。”僕たち”が化け物なんだよ』

 

 確かにライナ一人では人間で、フェルナ一人では吸血鬼だ。

 それでもライナの中にフェルナがいる。

 その結果、鬼呪装備そのものになり、吸血鬼からは化け物と呼ばれている。

 

「俺は……お前がいなくなるなら化け物でいい」

 

『僕はライナが傷つくぐらいなら、死ぬ』

 

 その言葉に思わずライナはわらった。

 

「なら、俺達はずっと一緒でずっと化け物だ。フェルナがいてくれるなら化け物でいいさ」

 

『僕はライナのためならなんでもするよ』

 

 力を溢れさせてフェルナが半実体化し、ライナに抱きつく。

 ライナが安心して他人と触れ合うことができるのはフェルナだけだ。

 

「俺はしばらくあいつらについてくよ。優一郎ってやつが気になるし」

 

 そう言うとフェルナはライナから離れ実体を四散させた。

 

『わかった。でも、気をつけてね?』

 

「わかって――」

 

「こんな所にいやがったか!!」

 

 すぐ近くから優一郎の声が聞こえてライナは慌てて目を隠す。

 

「別に逃げたわけじゃないんだからどこにいたっていいじゃん」

 

手で目を隠したまま、優一郎の気配がするほうを向く。

 

「逃げる気だったんじゃやないのか?」

 

「装備返されてないのに逃げるわけないじゃん。この服が吸血鬼にしか見えないから姿をかくしてたんだけど」

 

 そう言いながらライナは目の色が戻るのを待つ。

 しかし、目の色の変化の感覚は何となくでしか分からないため、自信を持って手を離すことが出来ずにいた。

 

「ところで、さっきから目を隠してるのはなんだ?」

 

 ライナは心の中で舌打ちをする。

 

「えっと……実験の後遺症的な……?ほら、俺ってばデリケートな心の持ち主だから不可解な行動とっても見ない振りしてくれるとありがないなぁなんて・・・・・・」

 

 手で目を隠しているために見ることができないので優一郎の行動を気配で探る。

 疑っているのは間違いないだろう。

 

「まあ、そういうなら追求しないけど・・・・・・」

 

「優さん、ライナさんこんなところで何してるんですか!」

 

 そこにシノアもやって来る。

 おそるおそるライナは目を隠していた手をはずす。できるだけ怪しまれたくないからだ。

 

「俺はこんな格好の人がいたら捕らえられてた人が不安になるんじゃないかと姿隠してただけなんだけど」

 

「俺は急にいなくなったライナを探しにきた」

 

「まあ、確かに今のライナさんの服装は完全に吸血鬼ですからねぇ。気遣ってくださってありがとうございます。少し見直しました」

 

 二人とも何もいってこないということは瞳の色は戻っていることなので、ライナは安心した。

 

「なんだよ、見直すって・・・・・まあ、いいや。俺、あんたらについてくよ」

 

 そんなライナの一言にシノアは驚きを隠せなかったようで両目を見開いた。

 

「先ほどは即答するほどに嫌がっていたのにどういう心境の変化なんですか? まさか、この短時間でお二人の関係がっ・・・・・」

 

 オーバーなリアクションでシノアは衝撃を受けた様子を見せたがライナには何を言っているのかさっぱりわからなかった。

 しかし、優一郎にはわかったようで身体をこわばらせた。

 

「ち、ちげぇよ!!」

 

「えっと・・・・・何?」

 

 何もわかっていないライナを見てシノアはにやりと笑う。

 

「いえ~。深い意味はないのであまり気にしないでください。ところで、ライナさんはいつから吸血鬼のところに?」

 

 なんだか話がそれた気がしなくもないがとりあえずライナは答える。

 

「えっと・・・・・・十年前だから、九才ぐらいの時かな」

 

 そういいながらライナも十年もフェリドのところにいたのかと思う。その前の五年間は帝鬼軍。さらにその前の記憶はない。

 我ながらくそみたいな人生だなと、自嘲的に思わず笑ってしまう。

 

「まあ、最初は秘密裏に飼われてたってのもあって、なんか図書館みたいな所に隔離されてたし、ある程度自由に歩き回れるようになってからも基本寝てたし、吸血鬼の秘密とかは全然知らないから情報はなんもないから期待はしないでね」

 

  シノアはクスクスと笑う。

 

「なるほど。そんなにも昔から吸血鬼のところにいたのであれば理解出来なくて当然ですね」

 

  ライナにはいったい何の話なのかさっぱりわからなかった。

 

「俺、なんか変なこと言った?」

 

  隣でシノアを軽く睨んでいる優一郎に聞く。

 

「いや、言ってない。っていうかお前、十九歳なのかよ」

 

「まあそんぐらいだと思うよ」

 

五歳ぐらいまでの記憶が無い。記憶があるはずのフェルナは時間の感覚がないらしくライナの中に入ったのは何年前なのかとかいまいち分からないらしい。そのためにおそらくそれぐらい、という曖昧なものでしかなかった。

 昔の話をするとボロが出るような気が来てきたので話をそらす。

 

「そんなことより、なんか服ない?出来れば軍服以外で。ちょっと血が付いてるし、ほら吸血鬼に間違われちゃうから着替えたいんだけど」

 

「まあ、確かにそうですね。サイズはどーしますか?」

 

「うーん………とりあえず大きいのでいいよ。かっちりしてるの好きじゃないし」

 

 ライナの身長はそれなりに高い。無駄な筋肉はないが、無駄な脂肪もまったくない。

 そんな長身痩躯にぴったり合う軍服が予備であるはずかないと思ってはいるが、自分の体系より少し大きいものを頼むことでもっとなさそうなサイズを頼み、帝鬼軍の軍服を着るのを回避する算段である。

 いい思い出など皆無な場所の軍服を着るのは嫌なのだ。

 

「わかりました。探してきます」

 

 にっこりと笑って小走りで去ったシノアが戻ってきて手に持っていたのは驚くほどライナにぴったりなサイズの帝鬼軍の軍服だった。

 

「・・・・・・嫌だっていったんだけどなぁ」

 

 げんなりとしながらも着替えたライナは早くも着崩して軍服を身にまとっていた。

 

「ちゃんと着ないと大佐に怒られちゃいますよ?」

 

「俺は軍の人間じゃないから関係ないよ。自分がこれを着るとはなぁ・・・・・・」

 

 嫌な思い出がよみがえりそうになりライナはあわてて首を振る。

 それでも嫌なものが広がっていくのを抑えられず、思わず自分の胸元をつかんだ。

 

「どうかしましたか?」

 

「あ~いや、なんでもないよ。ほら、今まで一応敵だったから少し複雑なだけ。それより、それ返してもらえない? 実験の後遺症抑える役目もあるから早く返してほしいんだよね」

 

 呪具をつけていないということはフェルナと安易に話せないということで、昔の嫌なものを思い出し始めていたライナは早く返してほしくて仕方がなかった。

 フェルナという弟に頼ることしかできないことに思わず苦笑いしそうになる。

 

「後遺症ですか。なんなら軍で診てもらいますか?もしかしたらどうにかできるかもしれませんよ?」

 

 そういいながらシノアはライナに呪具を手渡す。

 それを手に取り怪しまれない程度にそそくさと指にはめてライナは一息ついた。

 

「軍に診てもらうのは遠慮しとくよ。あと、俺が吸血鬼に実験されてたっていうのもいわないでくれると助かる。吸血鬼のところにいたっていうのも隠しておきたい。まあ、さすがに無理だろうけど」

 

 壊れた車に近づいて窓ガラスに映る自分を見る。

 くそみたいな人体実験をしてきた帝鬼軍の軍服の服を着る自分をみて反吐が出そうになる。

 そして呪具をつけた指先に力を集中して小さく魔方陣を書き、自分の目が赤くなっていないことを確認すると窓ガラスにうつった自分めがけて稲光を放った。

 豪快な音を立てて車が爆発する。

 

「なにしてるんですか?」

 

「あ~・・・・・この呪具、たまにうまく発動しないときがあるから試したんだよ」

 

 目の色が変化しない確認とうつった帝鬼軍の服を着ている自分に思わず稲光を放ったとは言えるわけがなかった。

 

『大丈夫だよ、ライナ』

 

 脳内に直接フェルナの声が響く。

 

「ありがと」

 

 誰にも聞こえない声量でフェルナに返事をする。

 それだけでライナの心は落ち着いた。

 




わかりにくいところがあれば申し訳ございません。
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