突然だけど、僕はママが大好きです。
いつもね、僕の事いっぱい、いーっぱいデュエルで使ってくれるんだよ!それでね、いっつも僕の事頼りにしてくれるんだよ!
あ、僕はね『ギガ・ヴィーナスフライトラップ』って言うんだ!闇属性の植物族な、融合モンスターなんだ!
僕を生んだ人…っていうかドラゴンはスターヴ・ヴェノム様っていう口が何個もある怖ーいドラゴン様なんだ。その方が僕を生み出してくれた。正確にはスターヴ・ヴェノム様とその主であらせられるユーリ様、そして僕のモデルとなった捕食植物の皆。
僕は名前の通り、『巨大なハエトリ草』なんだ。おっきいお口が自慢さ!何でも溶かして食べちゃうよ!
そんな僕を生み出したスターヴ・ヴェノム様とユーリ様はある人の為だけに僕を作ったんだ。名前は野薔薇。キラキラした髪と生気のないおめめがとっても素敵な女の子!そう!その子こそ僕のママ!野薔薇ママだよ!
ユーリ様はね、どーしてもママとお揃いのカードが欲しかったんだって!それで僕を作ったって訳!ほら、僕って捕食植物がモデルだから。
普段はツンツンなのに、ママの事になると途端にツンツン度が増しちゃう残念なユーリ様。あーあ、ツンデレちゃうからママに思いは伝わらないんだよ。本当にユーリ様ってツンデレだよね!スターヴ・ヴェノム様も思わず暖かい目で見ちゃう訳だ!
でもね、スターヴ・ヴェノム様だってママの事好きなんだよ。あ、捕食植物達も!
だってね、ママは僕達と同じ匂いがするんだ!それと甘い匂いもするの!だから大好き!あ、それだけじゃなくてね、優しい所も大好き!
それに毎日僕にお水をくれるんだ!栄養たっぷりのお水!それが美味しくてたまらないの!おやつもくれるよ!甘くて、美味しいクッキー!スターチスって言う人が作ってるんだけど、これがまた美味しいの!サクサクでホロホロで、甘々なの!
「ヴィー、いるかい?」
「あ、ヴェノム様!」
ふよふよやってきたのは半透明でいつもより小さい僕の創造主・スターヴ・ヴェノム様!あ、僕ね、今ママのお部屋にある植木鉢にいます。長い間ママの近くにいたら、良い植木鉢を見つけてね、そこにずっと寄生してるんだ!土ふっかふか!
半透明なヴェノム様は、僕の隣までやってくると聞いてきた。
「おや、野薔薇は寝てるのかい?」
「うん!寝てるー!お疲れなのー!」
「そっか。野薔薇も大変だねぇ」
ヴェノム様の視線の先には大きなカーテン(天蓋って言うんだって!)に囲まれて、もふもふお布団の上で眠るママの姿。因みにママの服は透けそうな紫色の生地で黒いレースに縁取られたベビードール。ユーリ様の趣味らしいよ。良い顔して結構スケベだよね!ユーリ様!
「まったく…暢気に寝ちゃって。あぁ、毛布肌蹴てるじゃないか。風邪ひいちゃうよ」
ヴェノム様はブツブツ言いながら、ふよふよ飛んで、ママの毛布をかけなおしてあげてる。さっすがヴェノム様!優しい!お父さんみたい!あ、僕のお父さんみたいな存在だった!
「ユーリもユーリだよ。こんな男の汚い欲を膨らませるうっすい寝間着なんかあげちゃって…。うわ、際どい。変な男が寄って来ちゃうでしょ」
「ヴェノム様も男だよー?」
「僕と君は別なの。後捕食植物達は性別が無いに等しいから別」
「そうなのー?」
「そういうもんなの」
うんうんと頷くヴェノム様。そっかー!ヴェノム様がそう言うならそうだよね!すると、ガチャンって扉が開いた。あ、アレは!
「ヴィ~おやつの時間だぞー」
『んきゃー!』
スターチス君だ―――!!わぁい!おやつおやつ!スターチス君が「はいよ」と僕の前にお皿を置いてくれる。わぁい!今日はガレットだー!えーと、首伸ばしてー!いっただきまーす!!むしゃむしゃむしゃっ!
『(むしゃむしゃむしゃっ!)』
「おーおー、今日も上手いかー?」
『んにゃー!』
「そっか、美味いか」
美味しい美味しい!!スターチス君の作る物何でも美味しいから好き好き!甘くて、すぐにホロホロって崩れちゃうけど美味しい!
「あ、野薔薇ちゃんまたユーリ君から貰ったやつ着てる…。楽ちんなのかな?」
「まぁ、着やすさも考慮してユーリが買ったからねぇ」
ふふんっと胸を張るスターヴ・ヴェノム様。スターチス君は精霊見えない人だから、ヴェノム様が見えてないし聞こえてないんだ。でも良い人だ。
「あ、ヴィー。もしスターヴ・ヴェノムが来たらガレット分けてやれよ。それじゃ、俺は行くから」
『んきゃー!』
ばいばいって手を振ってお部屋から出て行くスターチス君。スターチス君って本当に気配り上手!精霊見えてないけど、良い人!だっていつもより多めに作ってあるもんね!
「ヴェノム様も食べよー!」
「ふぅーん。人間にしては良い気遣いが出来るじゃないか。死んで精霊になったら僕の眷属にしてあげるよ」
「わぁーい!そしたら美味しい物食べ放題だねー!」
ぼりぼりガレットを食べるヴェノム様。スターチス君が精霊になったらきっとお料理上手な精霊になっちゃうよ!精霊界でもお料理屋さん開けちゃうよ!
「うむ、我にも分けてもらおうか」
「私にもちょーだい」
「あっ!ルシフェルさん!イシュタムちゃん!」
「はぁい」
ひらひら手を振るイシュタムちゃんに相変わらずツンツンした顔のルシフェルさん。僕の新しいオトモダチ!
「それにしてもここ最近よく来るわねぇ、スターヴ・ヴェノム」
「なに?ダメなの?」
「ダメって訳じゃないわ。珍しいって意味よ。あ、ルシフェル様、そんなに食べちゃ私の分まで無くなっちゃうじゃない」
「黙れ、これは我のガレットだ」
「んもう!」
「大丈夫だよイシュタムちゃん!僕、ちゃーんとイシュタムちゃんの分まで取ってあるから!」
「あら、気が利くじゃないヴィー。ルシフェル様と大違い」
「なんだと」
「いやん、怒らないで」
きゃーっなんて可愛く悲鳴を上げるイシュタムちゃんのお顔はニコニコ。僕、イシュタムちゃんが一番大物だと思うよ。僕からガレットを貰ったイシュタムちゃんが「美味し~」って言ってると、ふとスターヴ・ヴェノム様がおかしい事に気付いた。
「…?ヴェノム様?どーしたの?具合悪いの?」
横を見ると何だか首を下げる、様子のおかしいヴェノム様。何だか真剣な表情だ。すると、ヴェノム様が(本体の)口を開いた。
「…最近、何か変なんだ」
「変?どんな風に?」
「なになに?アンタがそんな弱気な事言うなんて珍しいじゃない」
イシュタムちゃんの言う通り、ヴェノム様が弱気な事を言うのは珍しいって言うか僕は見た事がない。ヴェノム様は続ける。
「なんていうかさ…足りないんだよ。何かが」
「何ってなに?」
「んー…例えるならパズルのピースが足りないっていうか…」
「パズルのピース?…イシュタムちゃん、パズルってなぁに?」
「色んな形のピースを繋げて1つの絵を完成させる人間の遊び道具。じゃあ何よ。もう1体アンタがいるって事?」
「…よくわかんない。この前エクシーズ次元に行った時、すごく懐かしいような…むず痒い感じがして…」
「ふぅーん…。ていうかさ、私思ったんだけど」
「何さ」
「野薔薇様、起きた」
「「え?」」
ほらってイシュタムちゃんが指差した先にはのそりと起き上がるママの姿。寝起きみたいでお顔がボーッとしてる。ママだ!
『んきゃー!んぴゃー!』
ママー!ママー!って頑張って腕(葉っぱ)を伸ばすけど届かない。だって葉っぱだもん。でもママはずっとボーッってしたままだ。まだおねむなのかぁ?
「ふんっ、やっと起きたか小娘め」
起きたママに偉そうに声をかけるのはルシフェルさん。腕を組んで、ママの前に浮いている。さっきまでガレット食べてたから口周りにガレットの欠片がいっぱい付いてて、何だかイケメンが台無しだ。後、何故か頬を染めている。
「まったく…この我に構わ…話もしないとは図々しい小娘め!我がどれだけ退屈をしていたと思っておるのだ!3時間と45分だぞ!」
3時間と45分だけじゃん。ていうか構って欲しかっただけなんだよね。イシュタムちゃんとヴェノム様が後ろで笑い堪えてる。正直面白い。
「ほらっ!さっさと起きろ!起きなかったら我がたたき起こしていた所だ!」
たたき起こす気配なかったじゃん。めっちゃガレット食べてたじゃん。
「……」
「おい、聞いているのか小むす」
ずるんっ!
「め……………?」
「あっ」
思わず僕、声あげちゃった。
だって―――ママのベビードールの両肩紐が取れてそのままずるんっ!って下に落ちちゃったんだもん。…因みにルシフェルさんはママの前にいたから思いっきり見えてるんだよね。
ママは下に何も着ていないから、おっきいお胸がオープンしちゃってる。白くて大きなお胸。ユーリ様が大好きなお胸。男が大好きなお胸(ヴェノム様が言ってた!)。母性の象徴お胸。アカデミア一のダイナマイトバスト。
「…るしふぇる?」
とろんとした大きなおめめで、舌足らずな声で、お人形みたいに生気のない目で上目使いでルシフェルさんを見上げるママ。乱れた服で、そんな事されたらいくらアカデミア生でも理性プッツンしちゃうよね!ユーリ様の理性もプッツンだよ!
ルシフェルさんは暫くすると――――ぶしゅりと鼻から赤い血を出した。
「~~~~~~~~ッ破廉恥な!!!!」
「「ぶふぉっ!」」
あ、イシュタムちゃんとヴェノム様が吹いた。笑われている事も気づいていないルシフェルさんはあーだこーだ言うと、真っ赤なお顔で真っ赤に染まった手で鼻を押さえながらカードの中に戻っていった。
そして、イシュタムちゃんとヴェノム様が大笑いし始めた。
「アハハハハハハハハハッ!!キャハハハハッ!!見たァ!?今の見たァ!?ルシフェル様ちょー顔真っ赤!鼻血まで出してさー!きゃはははっ!!ウーケーるー!!」
「アハハハハハハ!見た見た!初心ー!ちょーぜつ初心ー!あの傲慢の王が実は初心でしたーって!?笑えるー!」
「「ウブフェルじゃん!!キャハハハハハハ――――!!」」
あーあ、ルシフェルさん大丈夫かなぁ?これで暫くイシュタムちゃんに弄られそうだよね!
・ギガ・ヴィーナスフライトラップ
作中に登場する(現時点で唯一の)オリカ。愛称は「ヴィーちゃん」。本来の姿はバケモノサイズのハエトリ草だが、普段は野薔薇の部屋にある植木鉢に寄生し、本来よりも小さいが、それでも少し大きなハエトリ草の姿で観葉植物として実体化している。鳴き声は「んきゃ」「んにゃー」。
見た目とは裏腹にまだまだ子供で、無邪気な性格をしており、主人である野薔薇を「ママ」と呼び慕う。創造主たるスターヴ・ヴェノムやその主たるユーリも慕っている。
・スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ユーリのエースカードにして、毒と飢え、多数の口を持つドラゴン。見た目は少しキモ…怖く、性格や口調は主人のユーリと似ているものの、面倒見が良い性格をしている。上記の通りヴィーちゃんを作り出した張本龍で、彼の父親的存在でもある。眷属である捕食植物達もヴェノムを慕っている。時折ユーリの服の趣味についていけないが、それでも主人を見守る主思いなドラゴンである。
・堕天使 ルシフェル
堕天使カードのまとめ役兼王。通称は「傲慢の王」。見た目通り堕天使らしくイケメンで、女性心を擽る。しかし実際はツンデレ且つ初心で、イシュタムからは「ツンぴゅあルシフェル」などといわれる事も。主人である野薔薇に対し、ツンデレ全開だが、彼女のカードである事を何気に誇りに思っている事から、好いてはいるらしい。堕天使カードで唯一彼女に「様」付けしないのは彼だけ。
・堕天使 イシュタム
堕天使の1人で、色っぽい容姿を持ちながらも面倒見が良いお姉さん的存在。一応ルシフェルを「様」付けで呼んでいるが、何かとからかっている。スターヴ・ヴェノムとは気が合うのか、共にルシフェルをからかう事も。