プロローグ
明久side
「はぁ、はぁ! 急がないと!!」
僕、吉井明久は走っていた。
昨日は、「ちょっとした面倒事」に有ったおかげで寝不足になっていていつの間に家のベットで眠ってしまっていたらしい。
で、ついさっき起きて時計を見てみたら時間が8時10分だった。
因みに、今日から僕は文月学園の2年生だ。そして、今日がその2年生最初の日で授業開始時間が8時30分。
僕の家からここまで全力疾走で学校間についたのが8時25分だった。正直、遅刻するのを覚悟していた。
「おはよう、吉井」
「あ、鉄……西村先生。おはようございます」
僕は校門の前に立って居た鉄人こと、西村先生に挨拶する。
「吉井。今、先生の聞き間違いでなければ鉄人と言いかけなかった?」
「いえ、西村先生。気のせいです」
「そうか……それと吉井、これを」
西村先生はそう言って箱から封筒を取り出し、僕に渡してくる。その封筒には『吉井明久』と書かれていた。
「振り分け試験の結果だ……だが、お前は」
「それ以上言わなくて良いですよ。これは僕のせいですし」
西村先生は少し申し訳なさそうに顔を背けながら謝ってくる。
西村先生は悪くない、悪いのは振り分け試験を受けなかった僕なんだから。
「吉井……俺達は、もう一度だけ振り分け試験をお前に受けさせたかったが」
「気にしないでくださいって、学園の事情は分かっているつもりです。僕だけを特別扱いしたら示しがつかないんですよね?」
「……そうだ、だから済まなかった」
「そう何度も謝らないでくださいってば。先生がそう何度も【ただの生徒】に簡単に頭を下げないでください」
「ただの生徒なものか! お前は、この学園の、いやこの街を……」
「ただの生徒ですよ。ただ、ちょっとバカでお人好しな『観察処分者』ですよ」
僕はそう言って西村先生に告げて教室に向かう。
封筒の中の紙には《Fクラス》と書かれていた
西村先生side
吉井が学校に来た。俺としては、とても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
吉井明久、成績不良で問題行動ばかりを起こす『観察処分者』という≪学園の恥≫≪バカの代名詞≫など、不名誉な称号を欲しいままにしている。しかし、それは本当の奴ではない、本当の吉井明久は成績優秀で文武両道、この学園の誇りにしてこの学園が誇る優等生。
しかし、吉井はそれを表には出さない。出せば……この学園のみんなを「危険にさらす」からである。
この真実を知っているのはこの学園にいる者だったら教師を除けば吉井の友人たち、そして吉井に「助けてもらった事のある」生徒のみだ。
そもそも、あいつが振り分け試験を受けれなかったのだったあいつが……「戦ってくれたから」なのに俺達は、吉井に何もしてやれない!!
「吉井……俺達は、お前の手助けだったらいくらでもしてやる。だから……」
俺の呟きは誰にも聞かれることなく、空に消えた