俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど? 作:春の雪舞い散る
③ 終戦
奉仕部の部室に集まったのは由比ヶ浜に数少ない事情を知る者の一人の戸塚、何だかんだとアタシの周りを彷徨く材木、三浦に姫菜
葉山は右足右腕を痛め病院行っており他の三人の男子は部活中
因みにテニス部は今日の勝負を見た者や噂を聞いた者達の入部希望者の対応に追われパニック状態らしいが寝てるのはアタシの知らない話
「 TS病って時々ニュースで聞くけどよくわからないから何だか教えろし! 」
そう聞かれた雪乃が
「 TS病、トランスセクシャル… つまり性別が変わることを指して魚類等には環境の変化で当たり前に起こる現象だけど人間の場合何万から十数万に一人
しかも生命には関わらないものの治療困難な難病とされてるけど比企谷八幡が患っているのはその中でも珍しい通称TS能力者でさらに厄介な事に二重人格者
だから比企谷八幡は八重さんの存在は知らず夢遊病を患っていると知らされているそうよ
個人差はあるけど文献によれば過去には自在に性別を変えたとされる伝説の人もいてTS能力と呼ばれる所以らしいんだけど比企谷八幡の場合彼が眠ると八重さんが目覚めると言う二重生活を送っていたそうよ 」
そう言って用意しておいたお茶で口を湿らせてから
「 因みに八重さんの様にTS発症の遅い人は変わった性別の二次性徴が遅くなるらしいとも言われてるそうだから男子はそこをあまり掘り下げないように 」
そう言って戸塚と材木座に釘を指し
「 それが今のところ私や平塚、鵜飼の両教諭が主治医や八重さん本人から聞いた話よ 」
それを聞いた由比ヶ浜結衣が
「 それじゃあ八重ちゃんはあたしの事も最初から知ってたの? 」
震える声で聞く結衣に雪乃は
「 ボッチの八、八重さんは比企谷八幡をそう呼んでるのだけどボッチの敵になりそうなリア王と女王以外は気にする必要はないって言って由比ヶ浜さんと海老名さんと言ったかしら?
八重さんにとって貴女達は葉山くんと三浦さんの傍で見掛ける顔、くらいにしか認識してなかったそうよ 」
と、言うと
「 僕も顔は知ってるけど… 多分あの時もそうかな?何かぶつかる直前にマッカン、マッカンって言ってたのが聞こえてた記憶があるしマッカンの売ってる自販機に向かってかか一目散に駆けてったからね? 」
そう言って苦笑いの戸塚に
「 え? 彩ちゃんラブの八重ちゃんが彩ちゃんよりマッカン優先? 」
そう言われて
「 え、八重ちゃんが僕の事を? 」
顔を真っ赤にして驚く戸塚に
「 色恋に疎い我でも気付くほどにな、戸塚氏よ? 」
そう材木座に
「 八重さんに命が惜しかったら戸塚くんの事でからかうなと言われてるはずよね? 」
そう言われ結衣からも
「 そのすぐ後に失言してよっぽど命が要らないらしいなっ!って怒らせてたよね? 」
そう言われて顔を青くする材木座に
「 貴方も、ラノベ作家目指すならもう少し乙女心を知りなさい
八重さんは未だ性自覚の無い幼い子供のそれで未だ完全に女の子になりきれないその心はどちらかと言えば男の子寄りだけど多分それが今の状態…
それは多分八重さんの心身の変化の兆しかもしれないと言われけど目覚め始めている恋心と体の二次性徴の始まり… が、その証し… それが主治医の診たてで先生の仮説の正しさを証明したようね?」
そう呟く雪乃に
「 で、八重だっけ? この先も授業でなきゃ卒業はおろか進級も難しいんじゃないの? 」
そう言われた雪乃が
「 現在TS病患者の認定申請中だからそれが済めば後は学校との話し合いだけになるのだけど…
以前に一度だけ聞いた事ですが
『 比企谷八重として学校に通いたいし、普通に生活してみたい 』
そう泣きながらそう言ってたわ
でもその反面八重さんは自分の事を化け物、寄生虫と言って元からのボッチ体質が悪化して教室に行くのを怖がってるのよ
女子の制服やジャージを着て過ごす八重さんに学校に未練がないわけはない
いえむしろ通いたいからこそ大人しく保健室で女子が小学校から習ってきた保健体育の保健の授業を保健室で受けこの部室で一人こつこつと自習を続けてるのよ?」
そう言って溜め息を吐き
「 今回みたいに怒りが恐怖心を押さえている時は良いけど普段はネガティブ思考の持ち主だから余計にね… 」
そう言って話を締めくくる雪乃に
「 なら簡単じゃん、あーしと姫菜、結衣に戸塚、アンタだって八重に気があるんだろ? それに戸部の奴も八重が気に入ったみたいだから教室内はこの五人で守ってやりゃ良いんじゃないの? 」
そう言われて
「 うん、多分初恋… 一目惚れなんだって思うよ 」
戸塚がそう言い
「 うん、でもあたし八重ちゃんに嫌われてるみたいなとこあるから… 」
そうそう寂しそうに笑う結衣に雪乃が
「 それについては私はそのわけを聞いてるから教えてあげるわ
由比ヶ浜さん、八重さんは貴女の大きすぎるそれが嫌いと言うか憎いかとか羨ましいのよ 」
そう言って雪乃が指差した場所を診た戸塚は顔を真っ赤にしてすぐに顔をそらし、ガン見した材木座は海老名と三浦の二人にど突かれそれを見ていたら
「 材木ざまぁっ! 」
間違いなくそう言ったのは想像に難くない事だ
こうしてアタシは週明けから比企谷八重として学校に通うことになった