俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど?   作:春の雪舞い散る

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熱に浮かれた彩加のバースデー

涙のバースデー

 

 今日は戸塚の十七回目の誕生日

 

 ここ2~3日ぎくしゃくしてる戸塚の為に頑張ってタルトを焼いたしプレゼントも用意してあるのに体は動かない

 

 なんだろう… 視界がほやける

 

 体がますます重いしなんか寒いな

 

 朝ご飯、食べて学校行なきゃ… 食欲無いけど

 

 ボーッとして働かない頭で何とか登校したけど雨足の強い雨の中、長距離歩いたアタシはずぶ濡れで教室の中を水浸しにしている…

 

 そもそも自分の体が濡れていることは勿論、震えていることにすら気付かなくてたまたま早く来た彩加が倒れているアタシに気付きびしょ濡れのアタシを保健室に連れていってくれた

 

 原因不明の高熱を出して、こんこんと眠るアタシだけど熱は一向に下がる気配がなくついに救急車で搬送される事になった

 

 元々、低体温のアタシが40℃を越えついに42℃に達しているのに息ひとつ乱れることなく穏やかな寝息を立てて寝ているアタシ

 

 ただ時折涙を流し

 

 「彩加ごめん… ごめん、彩加… 」

 

 そう呟いてたそうだ

 

 

 アタシの状態は原因は勿論不明で主治医の葉山先生にすらTSの影響だろうとしか言い様がなかったらしい

 

 強いて面会謝絶にする必要もないのは感染症の疑いはなく水分補給、栄養補給のための点滴以外は特に何かしてるわけでもないし目覚める気配もない

 

 だから見舞いの客がアタシを疲れさせる心配もない

 

 眠り続ける私の枕元に今、奉仕部の二人と彩加、葉山グループのメンバーから隼人と優美子に平塚先生が来てくれているらしい

 

 

 そう、アタシはきっと夢を見ていたに違いない

 

 裸のアタシと八は宙に浮いて病室内を見ていた

 

 ー初めましてとでも言うべきか?ー

 

 そう面倒くさそうに言う八に

 

 ー アタシ的には今更って気もするけどこうして話すのは初めてだから初めまして… なんだろうな… ー

 

 そう溜め息混じりに言うと

 

 ー まぁそうなるわな ー

 

 そう言われて取り敢えず謝ろうとしたら

 

 ー 謝るな、俺がボッチに耐えられたのは俺が一人じゃない、いつも知らない誰かが傍に居てくれてる

 

 お前の存在にはずっと小さい頃から気付いていた

 

 空想でも妄想でもない誰か ( お前 ) がいてくれてるって思えたから寂しくなかったんだしそもそもお前の責任じゃねえだろ? こーなったのはよ

 

 それにお前のお陰で楽させてもらってるんだから俺が文句言ったらバチが当たるしな

 

 だからお互い変な気遣いは無しでこれからも小町の事を頼むし応援するから戸塚とも仲良くしろよなっ♪ ー

 

 そう言って八はアタシの前から姿を消したけどアタシの長い夢が終わった訳じゃなかった

 

 

 五日間眠りっぱなしだったけど目を覚ますと熱もあっという間に平熱に下がり体力、筋力、体重に食欲が落ちた以外は大した影響はない ( 自己診断 ) からさっさと退院したかったのに身体がアタシの言う事を聞いてくれなかった

 

 起き上がる事すらできないアタシは都合二週間の入院を余儀なくされたから

 

 医師や看護師に大人しくしてないと入院が長引く、そう言われても今すぐ退院したいアタシは全く聞く耳を持ち合わせていなくて… ベッドから抜け出そうとしては何度でも床に落ちているのに全く懲りてない

 

 それを見兼ねた雪乃が彩加にそう話すと

 

 「 僕の誕生日に熱を出した事に罪悪感を感じてるから早く退院したいって焦ってるんだと思う…

 

 教えてくれてありがとう、雪ノ下さん… 明日今の八重ちゃんが大人しく療養生活を送ってくれるもを持ってくるから… 」

 

 そう言われて厳しい表情のまま

 

 「 ええ、わかったわ… 八重さんにちゃんと渡してもらいます 」

 

 そう言って頷き合う二人だった

 

 

 そのノートを手渡されたアタシが泣きながら抱き締めていたのは熱の余波だろうか?所々記憶が曖昧なアタシが知らない話だ

 

 いずれにしてもそのノートを読みふけるアタシがベッドから抜け出ようとするのをやめ食事にも手を出すようになり周囲をホッとさせたのだけは間違いなかった

 

 


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