俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど? 作:春の雪舞い散る
パジャマパーティー本番です
その⑤ ヤヱのパジャマは和装です
その後パジャマ? 着替えた一同… ヤヱはガハママに手伝ってもらって着付けした寝巻きですが
布団を敷いた客間で、寝そべりながら始まる第二ラウンドは男子達に対する苦情から始まりました
ヤヱ :隼人がアタシの弁当を物欲しそうに見るのは勘弁してほしいし葉山先生に失礼だ
そうヤヱが言うと
ガハママ :それを言ったら私もヤヱちゃんのご両親が… 特にお母様が羨ましいわ、娘にキッチンを任せられるんですもの
そう言って苦笑いするガハマさんに呆れて溜め息を吐くガハママさんでしたが
ヤヱ :イヤイヤ、アタシなんか未々沙希や雪乃の二人に比べたら… 実際二人には色々教わっているしな?
そう言って照れ隠しするヤヱに
ユミコ :それをヤヱに言われたら、あーし等なんかもっとダメだからヤヱにはもっと自信持ってもらわないとだし
ヒナ :そうだよ? あたしもそんなに下手じゃないとは思うけどね…
そう言ってヤヱを見るヒナに
ユキノン :ヤヱさんがスゴい所は基礎をしっかり学んでいるところと暇さえ有れば自作のレシピ帳を見て手順を頭に叩き込んでいるからで一度に何品もの料理を作れるし微妙に味付けも変えられる…
お弁当が良い例で戸塚家の味付けの戸塚君用と比企谷家の味付けのご両親に両者の味を融合して自分の味を模索した試作品の三種類を用意してますからね
それを朝食を作りながら毎朝こなしてますから、得られる経験値は半端なモノではないわ
そう言ってガハマさんを見たユキノンは
ユキノン : だからね、由比ヶ浜さん、以前貴女言った才能がないと言うはやはり違うと思うの…
まずは相手に 『 美味しいっ! 』 言ってもらえる料理を作る事
それには 『 これを入れたら美味しくなるはず 』 等と言うナンの根拠もない決めつけは止めなさい
そして、用語を正しく理解なさい… 特に少々と一ツマミを混同すると仕上がりが全く違ってしまう事にもなりかねませんからね?
時に冒険も必要でしょうけど… 三浦さん、テニス初心者にいきなりスピンサーブから教える指導者は居ますか?
ユミコ :そんな指導者はまず居ないよ… テニスに限らず基礎を教えない指導者はいないはず
あーし、スキーにはたまに行くんだけど最初に教えられたのは上手な転びかただったし
ガハマさん:え? 滑り方じゃないの?
わ
そう言って驚くガハマさんに
ユキノン :スキーは止まるのが難しいから止まれなくなった初心者には転んで止まる所から教えるのよ、由比ヶ浜さん
似たような感じだと柔道も投げ技ではなく受け身から習いますからね、怪我をしないためにね
そう言ってガハママさんが淹れてくれたお茶で一息吐いたユキノンは
その為には自分が好きだからと言う理由で何にでもモモ缶を入れるのは止しなさい
どんな物にでもそれを苦手にする人は居ますしモモはアレルギー食材なのよ?
好き嫌いだけの問題ではないのだから自分一人の好みを押し付けるのはよくないわ
このお寿司だってそう、ワサビがダメなヤヱさんの為にワサビ抜きを選んであるんですからね?
食材同士の相性も有りますからアレンジする場合は必ず試作品の試食をしなさい
そうでなければ改善もできないばかりかやがて貴女の料理を怖がって食べてくれる人がいなくなりますよ?
少なくとも自分で試食を繰り返し試行錯誤を重ねないと人に食べさせられる味には仕上がらないわ
そう言って今度はヤヱを見て
ユキノン :おまけに今は川崎さんに変わって幼い二人や大志君、中三男子と言うこれ又異なる要素を持つ人物の食事を川崎家の味付けを身に付けながら作れる器用さ
これは多分、プロの人でもそうそう真似られない事だと思うわね
一般的なプロの調理人は、味付けにブレがない代わりに客に合わせて味付けを変えたりはしないわね
自分の… お店の味に自信を持っていて、お客はその味を求めていくのだから変える必要がないとも言えるわね
そんなユキノンの言葉を夢うつつに一足先に聞きながら夢の世界の住人となった八重でした
エピローグ
ヤヱ :おはようございます
そう八重に挨拶され ( あぁ、これが朝娘がキッチンに立っている風景なのね? ) そう思うとやはりヤヱの母親が羨ましいガハママさん
ガハママ :おはよう、ヤヱちゃん
そう返事を返して、その後二人で朝食とお弁当の支度をしましたが… 改めて娘の料理を何とかしようと心に誓うガハママさんでした
そして、その日の女性陣と戸塚の弁当が、全員一緒であることに気付いた男子達がその訳を聞いたら
「 夕べうちで女子会やってね、朝うちのママとヤヱちゃんが皆の朝ご飯とお弁当を作ってくれたからなんだよ 」
って… ガハママさん、ガハマさんが朝キッチンに立っている風景は遠そうですね?