俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど? 作:春の雪舞い散る
② ワンにゃんショー
「そう言えば貴女達もよく来てたのかしら?」
雪乃にそう聞かれたアタシは
「いや、アタシは始めてだ…八と小町は毎年来てたがな…カマクラと出会ったのもワンにゃんショーだったしな」
アタシの言葉に少し寂しそうに笑う小町
「ペンギン…か、ラテン語で肥満を意味するんだよな…」
アタシがボソッと呟くと
「お姉ちゃん、せっかくのシリアスムードが台無しだよ?」
そう言って呆れる小町だが
(どうにもならない事を悩んでも仕方ねぇんだぞ?小町…俺が…俺達が元の俺に戻ることはないしそれを望むってことは八重を否定することなんだからな…)
そんなアタシのモノではない思考…心の声に気をとられていたら
「全く…八重さん、貴女と言う人は空気を読まないわね?」
そんな事を言われて
「空気を読めない貴女には言われたくないよ…」
そう思ったアタシだった
アタシが適当に猫を構うなか一心不乱に猫と戯れる雪乃
それを見てたら
(焦る必要はねぇし誰かと自分を比較する必要もない)
再び声が聞こえてきたから周囲を見回しだけど当然該当者は見当たらない
「……?、?、?」
無言で周囲を見回し首をコテンと倒すのを不審そうに見ていた小町が
「お姉ちゃん、あたしは六時にアマゾンの荷物が届きますから先に帰るのです」
敬礼をしながらそんな変な口調で言う小町に
「晩ご飯はどうするの?」
そうアタシが聞いたら
「冷凍庫の作りおき解凍したら結構なんでもあるからそれ食べておくからあたしの事は心配しなくても良いからね?」
そんな事を言われて
「ん、あまり遅くならないようにするから気を付けて帰りなよ」
取り敢えず心の中にわき起こった疑問は横においてそう言って小町を見送った
それから暫くして猫を堪能したらしい雪乃が
「もうすぐ由比ヶ浜さんの誕生日らしいのよ…だから私達もプレゼントでもって思ったのだけど…」
そう言われて驚いたアタシは
「誕生日って友達もプレゼントを贈るものなか?」
そう雪乃に聞いたら
「八重さん、それはなんの冗談のつもりなのかしら?」
そう言って冷ややかな目でアタシを見る雪乃に
「そうなんだ、知らなかったな…そんな事すらもね…八にはプレゼントを贈る相手も送ってくれる相手も居なかったんだよな…
そもそも誕生日自体教えてもらえてないし誰も覚えてないんだろうからな…」
そう最後の一文は口の中だけで呟き
「だから友達へのプレゼントって何を送ったらいいんだよ?アタシなんにも知らないぞ?その手の常識なんてモノはな」
そう投げやりに言うと
「それなら二人で一緒に買いにいかないこと?」
そう言われて黙って頷き買い物にいくことにした
「なぁ、こういった場合ってなんかタブーとかってあるのか?」
邪気のないアタシの問い掛けに
「特なにか決まっているわけではないけど八重さんの場合だと料理が趣味だからと言ってスパイスセットを貰ってもあまり喜べないのではないかしら?」
そう言われて
「あぁ、確かに…鷹の爪や胡椒は自分が食べる分以外は普通に使うから要らない訳じゃないけど…うん、確かに貰って微妙だよね」