アンジュ・ヴィエルジュ *Skyblue Elements*   作:トライブ

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~その想いは世界を超えて~

「彼が、アルファー・ワイズ……」

「そう、この世界における史上最高の天才科学者だ」

 白の世界。青の世界への(ハイロゥ)が開いているコロニー『フィオナ』。

 その中でも、人間やアンドロイドが住む区画の一角に、その建物は建っていた。

 『アルファー・ワイズ記念博物館』。

 白の世界で最も名高いと言っても過言ではない科学者の功績を遺すために建てられた博物館である。天才的な発明の数々や、様々な偉業。このコロニーに生まれた者ならば、10歳にもなってこの場所に来たことがない者は1人とて存在しないだろう。

 4人の少女と1人の男性が、その内部、アルファー・ワイズの肖像画の前に立っていた。横の説明によれば、彼は世界接続を目前に、何者かに殺害されたらしい。若くしての死であった。

「なんだか、親しみやすそうな人だなぁ」

 明るい茶色の髪の少女が言った。

「そうかしら? 子供っぽいって言うんじゃないの?」

 頭の上から猫の耳が生えている少女が言った。

「それを親しみやすいって言うんですよ」

 頭の上に光の輪を浮かべ、背中に白い羽が生えた少女が言った。

「そだよ。アルファー様をバカにしちゃいけないんだよ! ほら!」

 額にバイザーをかけ、右腕が機械になっている少女が言った。

 その少女が、隣りのスペースに置かれたものを指さした。

 巨大な戦闘機。一見普通のそれと同じに見えるが、これこそが彼の最大級の偉業。かつてこの世界の統治者が暴走した時、それを真正面から止めたもの。ただの戦闘機に見えて、その実とんでもない力を秘めた超科学の結晶体。これの呼び方は多々ある。《破滅を撒く船》《超戦闘機》《殺戮者》など。だが、最も有名で且つ、他の名を寄せ付けない名がある。

 

 彼の親友により戴いた名を、《アルファーの信念号(ビリーヴ・オブ・アルファー)》という。

 

 暴走から立ち直った統治者は、彼に最大級の賛辞を送り、この博物館は建てられた。

「これ……まだ動くの?」

「E.G.M.A.を止めた時に壊れたって書いてあるわよ」

「この鋼の塊はそんなに凄いものなのですか?」

「ちょー凄いよ! なんてったって、E.G.M.A.様を止めたんだからね!」

 そんな少女らを見守る男性は、

「お前たちも順調に歩けるようになって来たな。復帰も近いだろう」

 と4人を気遣って言ったが、彼女らは反発した。

「でも、体力は落ちてる。もう少しリハビリしたいわ。ねぇ、みんな」

 後ろで3人が頷くと、彼は困ったように頭を掻いた。

「ったく、彼も苦しんでるんだぞ。僕だって、彼に隠し続けるのは心苦しい。っと、そういえば、今日はこの間、彼がやったバトルの映像を持ってきたんだ」

「本当!? あの子たち、大丈夫だった?」

「ああ。今回はカレンも出たぞ」

「カレンが? なら安心だけど……」

 その言葉に、4人の少女は色めき立ったが、ここが博物館の中だと思い出し、すぐに落ち着きを取り戻した。

「病院に戻ったら見るわ。ありがとう、デルタさん」

 セーレ・メイデンは落ち着いて言った。

「でも、今はもう少し歩きたいです。こんな情けない姿、彼には見せたくないのです」

 プリエは柔らかく微笑みながら言った。

「そだね。私ももっとこの腕に慣れておきたいな」

 バイタルコードΩ23ミミはにこやかに言った。

 最後に、

「……春樹くん、大丈夫かな。早く会いたいな」

 前島美波は、明るく笑って言った。

 

 そんな4人を、デルタは優しく見守っていた。

 

 

 彼女らが青蘭を離れて、既に半年が経っている。

 

 

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