「それで?こんなところに呼び出したのは人に聞かれたくない何かがあったから?」
海面上昇により沈んだ旧横須賀市街。その上に浮かぶ人口島の一つ、海上安全整備局が以前利用していた灯台。そこに僕はいた。
「・・・岬明乃さん。知名もえかさん。…あとはわかるわね?」
「・・・もえかはともかく、明乃は…危ないとは思う。けど、だからって退学処分だなんて整備局は何を考えているんだよ。」
そう、古庄先輩から聞かされた驚愕の事実。岬明乃を退学保留処分とするという通知。理由はそう、度重なる艦長の職務放棄と晴風沈没への責任だった。最後の武蔵救出作戦も、本隊に任せるべきだったのを自ら強行、強行接舷をし船員の安全を損なった。…というのが言い分だったものの、真霜姉さんや真冬。古庄先輩の抗議により保留処分となったのだ。
「知名さんを晴風の艦長に・・・というのが最大限の譲歩だったわ。岬さんの様子は?」
「ご想像の通りだよ。ショックは大きい。ましろちゃんたちがなんとか支えてるけど・・・今の状態じゃ、真実を伝えられないよ。」
「そうね・・・補修っていっても軽い勉強会にするんでしょ?」
「まぁね。」
正直、晴風の修繕が終われば再び海洋実習に出ることにはなるだろう。整備局曰く、武蔵の修繕は予想以上にかかるらしい。となればもえかが艦長となって実習を行う可能性は高い。もともと、今季の主席入学生のもえかは、整備局からも飛び級の申し出があったぐらい優秀だった。明乃も悪くはない。けど、それでも自分の信じる道が行き過ぎてしまっている。だから少々危険があった。・・・それを教えたのは僕だけど。
「まぁ、本人たちがどこまで問題点を自覚しているかだよ。僕たちが色々指摘しても、結局は自分が認識しないと意味がないからね。」
「・・・ほんと、変わったね。優しくて、誰よりも先を見通して。」
「変わらないといけなかったんだよ。僕の場合はね。」
そんな会話をしてると、遠くから船の汽笛がなり響いた。
「いけない。もうこんな時間。」
「姉さんもたまには休みとりなよー?まぁ、僕もだけど。」
「そうね・・・二人で休暇の時期合わせて旅行にでも行きましょ?」
旅行・・・そういえばそんなこと話してたっけ。すっかり忘れてた。
「そうだね。夏だし・・・海とか?」
「あら、私の水着みたいの?」
「見慣れてるからどうdみたいです!わー!真霜姉さんの水着だぁ!」
今僕がどんな状態かって?笑顔の真霜姉さんが僕の顔をアイアンクローしながら空いてる手をグーにして振りかぶってるんだ。ははっ、顔はやめてほしいなぁ!
「まぁ、ブルーマーメイド祭も近いんだから・・・」
「・・・そういえば。その件で一度男子高にきてくれとか言われてたんだよね。なんだろ。」
・・・そんなことを思いながらふと、今は各地で活躍しているはずの同期の姿が目に浮かんだ。林檎はさっきメールで美甘ちゃんにまた何かしたらしく夕飯抜きらしい。ざまぁみろ。