ピピピ・・・目覚ましのアラームが耳元で鳴り響く。っていうかなんでついてるんだろ。
眠い目をこすって部屋を確認・・・ひどい散らかりよう。真冬のやつ、片付けないで帰りやがったな。真雪さんにまたいいつけてやろう。
・・・しかし、これからしばらく有給とは言え暇かもしれない。そんなことを考えているとメールが。・・・真霜姉さんから?
『今日暇だったらお昼でもどうかしら?それと、お母さんが相談があるんだって。』
相談?ってお昼・・・緊張するなぁ。まだ時間はあるし、なにか買っておこうかな。
車を走らせ待ち合わせの横浜へ。
・・・宗谷家は、代々ブルーマーメイドを輩出してきた名家だ。それは今でも受け継がれている。そんな家に、僕は高校三年間居候として住まわせてもらっていた。なんでも母と現横須賀女子海洋学校校長の宗谷真雪さんは古くからの知り合いだったかららしい。そこで真霜さんとであった。当時はまだ海洋高校の3年生。真冬と僕はまだ一年生。一番下のましろちゃんに至ってはまだ小学生。そんな僕を真霜さんはとても可愛がってくれた。
横須賀女子と横須賀男子という兄弟校はお互いの噂なども頻繁で、真霜姉さんがとても人気で告白も全て断っている難攻不落の存在。そして学年主席という高嶺の花。
対して僕は、平均程度の成績。野球部にも所属したがあまりぱっとした成績ではなかった。そう。雲の上の存在に、僕は特別な感情を抱いてしまった。
真冬にも気づかれたが、それでも真霜姉さんのことを忘れたことはなかった。そんな中、真霜さんはブルーマーメイドの中でも更に上の存在に。僕も同じ位置に立ったものの、同期の活躍の中で埋もれてしまっている。周りは気にすることはない、というけれど。
「会うのは・・・・晴風の時以来かな。」
沈没した晴風の処分方法でホワイトドルフィンにも協力要請があり、僕が横須賀へ向かったのも早三ヶ月前。そんなことを考えていたら待ち合わせ場所に到着していた。
「えっと・・・まだいないみたい、か。」
リクライニングを倒しふと思い返す。・・・もしも真霜姉さんが、なんて可能性の低い想像。けど、そうなってほしい自分がいる。なる・・・といい・・・・
・・・・・・・・・・
ドアを叩く音で目が覚めた。いつの間にか寝てたらしい。窓の外を見ると私服の真霜姉さんが。ドアの鍵を開けて中にはいってもらう。
「少し遅れちゃったからいないかなって思ったら中で寝て・・・こんな暑い日に女性を外で待たせるなんて。」
「ごめん姉さん・・・最近ほら、色々いそがしくて。」
「ふーん・・・で、どこに行く?」
「うーん、真霜姉さんにお任せします。あまりこっちに来ることもなくって。」
ああ・・・本当は調べてきたんです。けど男友達と行くことが多いからそういう系しかないんです・・・!なんて無念すぎるこの男。
「じゃあいつものお店にしましょうか?」
「いつものファミレスですね?」
そう、この人実はファミレス好き。学生のときもよく付き合わされたものだ。
再び横浜から横須賀へ車を走らせる。途中には新横浜シースタジアムが。
「そういえば野球は?」
「最近はたまに集まるぐらいかな。」
そういえば、試合のときはいつも先輩が見に来てくれたっけ。どうせでないからって一度断ったとき、『大事な後輩が出るかもしれないんだからいくわよ!』なんていってたっけ。結局甲子園いけなかったけど・・・
ふと隣の真霜先輩を見る。窓を少し開けて髪をなびかせる姿にドキッとする。・・・彼氏いるのかな。
「そういえば、姉さん彼氏は?僕らの中でも相変わらず人気ですだけど。」
「うーん、私の近くにいる人がちゃんとしたら・・・かな?」
つい心が締め付けられる。やっぱりいるんだ。好きな人。
けど、近くにいる人?・・・真霜姉さん、そっちの趣味があったのか・・・なんて考えてたら軽く殴られた。僕運転中。
そんなことを考えながら、車は横須賀への道を走り続けた。