「だから明乃!僕らは整備局から指定があるから費用はそっちもちなんだって!」
「でもおにいちゃん、マイレージ相当溜まってたよね?」
「なんでそれを・・・!?」
マイレージ。普段からの移動によってポイントが溜まるこのシステムは履歴が月1で家に送られてくる。まさか明乃が見ていたなんて・・・
「ねえお兄ちゃん。私ほしいスキッパーがあるんだけど・・・」
「自分のがあrうん、わかったから無言で手を振り上げないで?ね?」
「せんせー、もっと機材増やしてほしいんですけど!」
「とりあえず高級食材なんてほしいよね~?」
「ね~?」
生徒たちから色んなおねだりがやってきました。
「あら?日向ってば最近お金を使わないからお金がかなり溜まってるとか?」
「姉さん!?」
それを聞いた生徒たちの目が変わった。彼女たちは猛獣だ。僕の全神経が悲鳴を上げている。
「はいはい。日向くんを困らせない。一応貸切にはなっているけれど、海洋学校の生徒として恥ずかしくない時間を過ごしてください。」
古庄先輩・・・!ん?なんかいやな笑顔。
「というわけで今度飲みにいきましょうね?驕りで。」
ちくしょう!!!
・・・・・・・
そんなわけで生徒たちはみな思い思いの時間を過ごしていた。・・寝てるのがほとんどだけど。
「先生、顔色悪そうですけど何かお持ちしましょうか?」
ソファーで休んでた僕に黒木さんが心配そうな顔で近寄ってくる。
「うん、大丈夫。それより黒木さんはいいの?さっきまで眠そうな顔してたけど。」
「私はちょっと寝れましたから。それより、先生こそ寝れてないんじゃ?」
「僕は船の中で寝るよ。心配ありがと。」
そうですか?とばかりに黒木さんは柳原さんのところへ足早に向かう。そういえば二人は幼馴染なんだっけ。同性の幼馴染とかいいなぁ。
「おーっ!日向眠そうじゃねぇか!」
「真冬。少しその口黙らせててくれない?」
この幼馴染の空気の読めなさは半端じゃない。
「ほらっ。パンぐらいなら食えるか?」
その幼馴染はなぜか同じぐらい機転が利く。悔しいことに。
「サンキュ。」
「それにしてもよー・・・ましろがもう高校生だなんてびっくりだよな。」
「根性したら今度はセクハラで訴えるって。僕はしーらない。」
こんなやり取りも学生時代からまったく変わらない。あの時は平賀たちもいたけど。
「まだ時間はあるんだしさ。少し思い出話でもしようぜ。」
真冬のそんな一声で、僕の記憶は学生時代への戻っていった。
懐かしくも、思い深いあのときへ。