「あっづい・・・」目の前にいる比較的大柄な坊主頭・・・伊良子林檎がアイスをほおばりながらひどい声でうちわを仰ぐ。
横須賀男子海洋学校。海上の華『ブルーマーメイド』以外にも、海で活躍する男性はいる。それが『ホワイトドルフィン』だ。潜水艦乗りや地上勤務、ブルマーの艦船の修理・修繕などを学ぶこの学校。校舎は隣接しているためかお互いに信頼関係が結べている学校。その学食。
「日向ー・・・帰り寮に戻る前に中央で飯食ってこうぜ。」
「お前はその前に補修残ってるんじゃないの?ほら、この前サボった調理実務。」
「うげっ、マジか・・・」
「あら?日向に林檎。」
突如後ろから女性の声。
「なんだ、福内じゃないか。一人なんて珍しい。」
後ろにいたのは福内典子。ブルーマーメイド比叡クラスの艦長だった。いつもは他の同級生と一緒にいることが多いのだが、今日はどうやら一人らしい。
「ここいい?」
「もちろん。ってまーた海鮮丼?飽きないなぁ・・・」
「いいじゃない。せっかく横須賀にいるんだもの。バチなんてあたらないでしょ?」
そういいつつ箸で海鮮丼に手をつける福内だった。ちなみに女子と男子の学食は様々な場所にあるものの、今いるこの大食堂は2校のちょうど中間に位置しており両校の生徒たちの憩いの場となっている。
「あっ、そうそう。日向と林檎に頼みたいことがあるんだけど・・・」
「頼み?お前が珍しいな。」
「実はね・・・」
彼女の話を要約するとこういうことらしい。いつものメンバーで夏休みにBBQをしたいのだが、男子側にも声をかけてほしいらしい。
「まぁ、この夏休みほとんど実家に帰ってるしなぁ。」
「俺らは地元だから関係ないけど。いつものメンバーだろ?」
「ええ。本当は私が幹事だからなんとかしたいんだけど・・運悪く生徒会でカンズメなの。ほら、文化祭。あれがうまく進まなくて。」
文化祭は3日間行われる横須賀の街のイベントの一つだ。両校が様々な催しなどを行うこのイベントを楽しみに多くの観光客が足を運ぶぐらいに。そして両校への期待も毎年高まるわけで・・・
「もー!ぜんっぜん!決まらないじゃない!」
福内のストレスが溜まっていたというわけだ。
「そっちはあらかた決まってるらしいじゃない。」
「確か潜水艦体験とかだったかな。さすがに潜行はできないけど、二日間で20回だっけか。抽選でやるらしい。」
「後はクラス対抗カレー対決か。これは毎年のことだけどどこも殺気だってるしな。」
「まぁブルマーの方が注目されてるんだししょうがないよね。」
「この人でなしー!」
ひどい暴言だ。泣きそう。
「ほ、ほら。今日夕飯付き合うからさ。」
「おごりなら。」
林檎のやつ顔ふせやがった!?この野郎僕にだけ行かせるつもりだな!?
「あっ、それじゃあまた後でねっ!」
林檎よ。そんな顔で肩をたたくな。・・・余計な出費だなぁ・・・