ハイスクールフリート 希望への水平線へ   作:夢の防人

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今回は真霜さん目線です。


第5話

さっきまで車のシートの感触じゃないことに気がついて目が覚める。いつの間にか家のベットに寝かされてたみたい。時間はまだ深夜三時を少し回ったぐらい。

 

告白が、ついさっきのように思える。確かに、お酒の勢いもあったかもしれない。けど、まさかあんなこといわれるなんて。

 

枕もとの人形を手に取る。初めて日向が私の誕生日に買ってくれた人形。

 

私のために、笑顔で贈ってくれた人形。

 

私は彼が好き。彼を本気で愛してる。

 

学校でも、一緒にいることは少ないけれど、それでも彼のことを見続けてた。

 

高嶺の花とかいわれているのも知ってた。たくさん告白もされた。

 

それでも、私の心が動くことは決してなかった。

 

約束してくれた日本一の景色。その景色を見せられなくてごめんと、申し訳なさそうな表情。けど、その裏で涙を流していたのを知っていた。私の前では、いつもの自分でいたい。そう聞いていたから。

 

けど、私にその姿を見せないせいで。彼は一人で背負い込んで、結局君は壊れてしまって。

 

誰にもそのことを伝えられなくて。私は仕事一筋で考える暇もなくて。気がついたら日向が・・・

 

そう考えるだけで人形を抱きしめる力が強くなる。そこに彼はいなくても。彼を少しでも感じていたい。ただそれだけ。

 

・・・会いたい。あの子を力いっぱい抱きしめてあげたい。そうだ、前に温泉に行きたいって言ってたし、休暇をとって二人で行くのも悪くないかもしれない。

 

そう、日向のため。全部日向のため。

 

「日向さえいれば・・・」

 

気づかないうちに私の中にどす黒い感情がわきあがる。その理由はひとつだけ。彼のことを愛しているのは、私だけじゃない。

 

岬明乃さんと知名もえかさん。晴風の事件の時より以前。彼の実家の孤児院で育った二人は、彼を兄として、気がつけば一人の男性としてみていた。彼も二人をかわいがっていた。その話を聞いてほほえましい私と、独り占めしたい私がいつもいた。

 

「日向・・・」

 

会いたい。抱きしめたい。抱きしめられたい。

 

そんな私の中の感情を、もう抑えるのは難しいって思うようになってきた。

 

だから、私のこの気持ちはしばらく抑えていよう。

 

けど、負けるつもりもない。私が、彼のことを一番よく知っているのだから。何も負い目は感じない。

 

私が、彼の止まり木になると決めたから。そのためになら、私は・・・

 

・・・なんて、そんなことを彼が望むだろうか。きっと望むことはないはず。

 

だから、今はただ、彼のそばに。それだけが私の幸せ。

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