↑黒ウサギ隊って変換したらこうなった。
少し悲しくなった。
では、少し遅れたじわです。
~伏線編~
風雲!! 束城の一日
無数のディスプレイの瞬きと、HDDの回転音やロボットアームの動作音に支配された空間で、束はあるものを作っていた。
『タバネ。一体何を作っているんだい?』
突然、彼女の携帯がしゃべり始め、束はそれに答える。
「……暇そうだねエックス君、あんまり連絡できないんじゃなかったの?」
『一日五分ぐらいは平気さ。最初の質問に戻るけど、それは何?』
話半分にエックスの言葉を聞きながら、束は作業に没頭する。
作業台の上には、何か白い発炎筒のようなサイズの棒状の物体から、幾本ものコードが延び、周囲にはロボットアームが絶えず蠢いていた。
「ちょっと小遣い稼ぎしようかな、って思ってゼロくんの武器の劣化版をセット販売しようとしてるんだ」
販売といっても、束が表に出るわけではない。
束は、株式会社『世界名作劇場』(通称WMT社)というIS専門の、グローバル(国際的)かつニッチ(小規模)であれ、という良く分からない標榜を掲げる会社を裏から経営し、この機械島の改造費用や、研究費用を捻出していた。
「だって、エネルギー系の銃のマガジン(弾倉)代わりになるエネルギーブレードなんて、良く考えるとすごく便利なんだよ」
スナイパーライフルなどの長物を使っている場合、接近戦のためにわざわざ武装を展開する必要がなくなる、ただ弾倉を取って振り回せばよいからだ。
『エネルギー系の武装ってだけでこの世界では最先端だよね。特許とか大丈夫?』
「試験採用してるのは今のところイギリスとドイツしかないね。イギリスはレーザー、ドイツはプラズマだったかな? 一応両国の研究所に特許料払ってるから、プラズマ版とレーザー版両方作ろうと思ってる」
今では、両国はそれぞれビット兵器とAICの研究にいそしんでいるため、エネルギー兵器関連の特許は極秘、というわけではなくお金さえ払えば、技術として使用できるのであった。
ほかに実用レベルに達している最新技術と言ったら、ロシアのナノマシン、中国の空気砲(空間圧兵器)ぐらいである。
『そ、そうなんだ……』
エネルギー系の武器であふれていた世界の出身であるエックスはプラズマとレーザーの区別など分からないため、曖昧にうなずくだけだった。
程なくして、件の新商品が完成する。
「出来た。商品名は、Zシリーズ第一弾『ゼットセイバー・レプリカ』」
『シリーズ物!? セット販売じゃなかったのか!?』
「いやぁ。これ作ってるうちに、急に思いついたからさぁ……よくあるじゃん? 創刊号だけ安い、景品つきの雑誌。あれと同じ感じにしようと思って」
『いや、僕にいわれてもわかんないんだけど……』
束は異世界人相手ゆえのネタの通じなさに歯噛みした。
「だから、第一弾の剣だけ安くして、後から販売する銃とか槍とかに、剣を装填しないと使えないようにして、結局全部買ってもらう。って言うシステム」
『あこぎな商売だね』
「否定はしないよ。でも、こっちも特許料払ってるから、儲けを出すには少し割高にせざるを得ないんだ。だからそれを『あこぎ』というか『商業戦略』というかは人それぞれなんだよ」
束にそういわれ、エックスは納得した。
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本編
私を追いかけてきたであろう教官が私を呼びとめ、話しかけてくる。
「何故自主模擬戦にでない? 実力を試すチャンスだぞ?」
「……私は落ちこぼれですから」
こんな私ががんばったとて、高が知れている。
「それはその目の事か? それとも軍での評価のことか?」
「どっちもです! 他の隊員は自主的にオンオフできるのに、私だけ……それにISも……」
戦闘機戦なら、戦車戦なら、歩兵戦なら
圧倒的に私が勝っていた。
でも、この眼(越界の瞳)の不適合が起こった時から、私は落ちこぼれて行った。
ISの操縦には感覚的な部分が多く、搭乗者の才能や適正も重要な要素になっていたためだ。
「ここ最近の成績は振るわないようだが、なに心配するな。一ヶ月で部隊内最強の地位へと戻れるだろう。なにせ、私が教えるのだからな」
私の諦めたような表情に対し、教官は笑顔で言い放った。
その力強い笑顔が、私には救いの光のように見えた。
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ラウラと話をした日から数日後、千冬は訓練の進捗具合を報告するためにどうしても軍施設を離れる必要があった。
訓練は休み、ということにして朝早くからスモークガラスを張った護送車に乗り込む。
もちろん、ゼロも一緒だ。千冬の隣の席に座っている。
千冬はドイツ政府から国賓待遇で扱われているため、ドイツ政府曰く『万全の警護体制』のもと軍施設を出た。
車でたった数分間の移動、だが、そこで事件は起きた。
「どうした。 何か問題か?」
千冬は、不意に停止した護送車の窓から周囲を眺め、運転手に尋ねる。
運転手は千冬に「ちょっと待て」と片手でゼスチャーし無線を耳にあててドイツ語で状況の確認をしている。
運転手の対応に千冬は嫌な予感を感じつつも。男の報告を待った。
だが突然、運転席の男が声を荒げ、無線機を放り出して車から飛び出した。
「……ッ!! チフユ!!」
前方から何かが飛来するのを見たゼロが叫び、千冬の上に覆いかぶさった。
直後、護送車を襲った衝撃から、千冬は何が飛来したのかを悟る。
―RPGだ。
ロケットランチャーの直撃を受けた護送車は跡形もなく吹っ飛び、千冬はゼロに覆いかぶされたまま道路に放り出される。
ゼロが吹っ飛ばされている間にISを展開したおかげで、千冬はゼロに抱えられるようにして軟着陸する。
「チフユ、ケガはないか?」
抱きかかえられた状態のまま、息がかかる距離でゼロの顔を見てしまった千冬は、ゼロの機械のように整った顔立ちに、同姓であるにもかかわらず、どきりとした。
「大丈夫だから早く降ろせ!」
ブリュンヒルデともあろう自分が助けられてしまったという気恥ずかしさとあいまって、千冬は顔が赤くなるのが分かり、それを見られたくなくて、急いでゼロの腕を振りほどき距離をとった。
そこまでして、ようやく千冬は周囲の状況を理解する。
護衛車両軍は約半数がタイヤなどに大口径の銃弾を喰らい走行不能、四分の一がRPGによって大破させられていた。
そして今も生き残った者達と襲撃者達が車をバリケード代わりに絶え間ない銃撃戦を繰り広げている。
そんな中、ゼロはどこかとISの機能で通話しているようだ。
「タバネ、状況を」
『呼ばれて飛び出て括弧略ぅ~。みんなのアイドル★ミ束さんだよ♪』
「……タバネ、状況を」
千冬も知っている彼女の声が漏れ聞こえ、飛びぬけたテンションとそれに対応しきれず頑スルーを決め込んだゼロをみて少し落ち着いた千冬だった。
『ちーちゃんも聞いてるだろうから話しちゃうけど、あの武装集団の目的はちーちゃんの抹殺だよ。多分、ドイツが干渉してるどこかの紛争地帯が出どころで、ドイツのIS部隊が強くなると困る人たちじゃないかな?』
「で、オレは何をすればいい?」
『指示待ち族とは感心しないね。……見敵必殺(サーチアンドデストロイ)、と言いたいところだけど、とりあえずちーちゃんの避難が最優先、ルート出すからそれに沿って進んで、阻む敵はなぎ払っていいから。あ、でも人間は事後処理が面倒だからなるべく殺さない方向で』
「……了解した」
ゼロが通話を終え、千冬に向き直った。
「聞いていたと思うが、オレはお前を連れてここから軍施設まで退避する。飛ぶからしっかり捕まっていろ」
「おい! 待っ……」
ゼロは千冬の返事も聞かず、着地した時と同じ体制になるように千冬を抱きかかえ飛翔する。
『ターゲットが逃走したぞ!!』
『地対空ミサイルを使え! 逃がすな!!』
襲撃者達が数人、筒のようなものを肩に担いだ。
「フリーガーファウストだと!?」
振り返った千冬が驚く、地対空ミサイルとは言っても、なにせ50年近くも前の兵器だからだ。
だが、古いのは見てくれだけで、中身はきちんと赤外線誘導とVT信管を備えた近代型で、放たれたすべての弾頭がゼロに向かって飛んでくる。
「……バーニングショット」
ミサイルに気付いたゼロはバスターショットを構え、チャージして発射する。
炎属性を纏った弾丸がフレアー(赤外線欺瞞装置)の代わりを果たしミサイルを誘引、空中で大爆発を起こした。
襲撃者側もこれは予想していなかったのか、次弾の装填に手間取っていて、その隙にゼロは十分な距離をとり、無事に軍施設まで退避することができた。
千冬はゼロが奮戦している間、ずっとゼロの横顔を見ていた。
彼女から言わせれば、見ているのではなく、抱きかかえられているせいで、どうやっても視界に入ってしまうだけなのだが、ゼロの強い意志の光の灯った瞳に見とれていたというのもあながち嘘ではなかった。
このときから、もしゼロが男だったら自分は惚れていたかもしれない。と千冬は思い始めるのである。
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ISの操縦とは、自転車と似ている。
いっぱしに動けるようになるまでは個人差――それこそ感覚や要領のよさがモノをいうからだ。
だが、それなりに操縦できるようになれば、感覚や要領よりも、勝つための戦略や戦術、立ち回りといった論理的な部分が重要視される。
ゼロが教官に就任してから数ヶ月、ラウラはこの日、部隊最強に返り咲いた。
「フン。かつてのエースとて、この程度か」
「……むぅ。ちょっとAICがうまいからって……」
お互いのISの武装がすべて完成した状態での模擬戦はラウラの圧勝だった。
開始早々、クラリッサがAICに捕まり、肩部カノン砲で一方的にやられた。
どちらのISにもAICは積んであったのだが、クラリッサはAIC操作がヘタクソだったのである。
AIC――つまりアクティブイナーシャルキャンセラー(なぜかドイツ開発なのに英語表記)とは、相手に向けて意識を集中させる必要があり、相手の動きを見ると反射的に行動する必要のある近接主体のクラリッサとは相性が悪く、逆に砲撃や遠・中距離攻撃に長けるラウラのほうが、相手そのものに意識を集中し、慣性停止結界を発動させるには都合が良いのだ。
「どうでしたか! 教官!」
「見事だ。だが、あくまで個人戦だ。競技者としては優れているのであろうが、軍属である以上、仲間との連携、旧世代の兵器との連携が出来なければ話にならん」
千冬に褒めて欲しかったラウラだったが、千冬はあえて突き放すように言う。
ラウラは個人戦では最強だったが、タッグマッチ、3on3といった団体戦になるととたんに振るわなくなるのだった。
「それは……私についてこれるヤツがいないだけで……」
「本当にそう思って言ってるのか? 失望したぞ。ラウラ・ボーデヴィッヒ」
ラウラの言い訳を突っぱねる千冬、ラウラにはわけが分からない、と目を白黒させた。
「そんな! 何がいけなかったのですか教官!」
「……訓練後の自主模擬戦に出ればおのずと分かるだろう」
ラウラは隊の中で唯一、ゼロの模擬戦には一度も参加しなかった。
なぜなら彼女は、教官(千冬)以外の有象無象共の教えなど、聞きたくもないと思ったからだった。
――教官のように強くなる。
その目標に、他人は不要だった。
ラウラの苦虫を噛み潰したような表情を読み取った千冬。
「そんなに嫌か? なら、訓練を見て私がアドバイスを出そう。これなら文句はないだろう」
今、ラウラの原動力ともなっている『織斑教官』への憧れを知っている千冬は、仕方なく妥協することにした。
それを聞いたラウラの表情が先ほどとは打って変わって明るい物になる。効果覿面だったようだ。
そして、訓練は終了し、自主模擬戦が始まる。
隊員達の人垣が出来る前に、千冬はゼロに尋ねた。
「ゼロ、ちょっといいか?」
「……なんだ」
「今日の模擬戦、ラウラも参加させてもらいたいのだが」
「問題はないが、組わけはどうする」
通常、ゼロの模擬戦は三人一組で行なわれる。ここに彼女が加わると、人数のキリが悪くなる。
「ラウラの試合だけ、一対四の変則マッチを組んでもらってもいいか?」
ゼロVSラウラ+隊員三名の組み合わせだ。
詳細を千冬から聞き、別にかまわない。といったゼロがさっそく試合の組み分けを行なう。
千冬はそれを見ながら、この数ヶ月でずいぶん手馴れたものだ。と素直に感心した。
そして、ラウラ所属のチームは一番最初にゼロと戦うことになった。
ラウラのチームメイトにはクラリッサもおり、まわりで観戦する隊員たちは、エース二人がどこまでゼロに喰らいつけるのか、と固唾を呑んで見ている。
「双方準備はいいな? では、試合開始!!」
あうあ、最近書く時間がない~
やっつけなので文書が荒いところがあるかもしれません。ご容赦ください。
今回じわが遅れたのは、千冬襲撃の件を無理矢理挿入したからなのです。
結論として、イチカほど露骨ではないにせよ。数人の女性がゼロに(個人差はあれど)好意を抱く。というレベルで恋愛要素を盛り込んでいこうかな~と思ってしまう今日この頃。
しかし、私は優柔不断なので、これで確定、というわけではありません。
では、じわまで気長にお待ちください。