∞→0・ストラトス   作:なむさんばがらす

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最近、「God knows」がロクゼロの歌に聞こえる……
一番シエル
二番レヴィアタン
三番両方
ってな感じに歌ってるように聴くと……

じわ(今話)「ただの妄想だな。流してくれ」


結末

時は、オータム撤退の少し前。

エムは、スコープ越しに金髪の女の後姿を眺めていた。

 

この襲撃で唯一、殺しても良い存在だった。

なぜなら本来、この女は施設には在籍していない。あるお方の強い希望により、滞在を強引にねじ込んだ存在なのだ。仮に殺しても、テロリストの仕業では先方も追及の仕様がないだろう。と内通者から報告を受けていた。

 

滞在目的も、「織斑千冬の護衛」であり、任務を全うして死んだ。とでも言っておけばごまかしも効く。

 

 

オータムが手を上げた。

それを合図に、エムは引き金を引く。

女の身には重過ぎる反動を無理矢理抑えて、徹甲弾を撃ち出した。

 

 

「おい、エム。何で肩なんか狙いやがった? 返答次第ではただじゃおかねぇ!!」

 

「……化け物じみた反射でとっさに回避されたのかもしれない。少なくとも、私は肩なんぞ狙っていない」

 

オータムとの合流ポイントで落ち合うや否や、胸倉を掴まれ追求される。

 

――この剣幕では、真実を話しても信用されないだろう。

そう思い、嘘をついた。

 

それぐらい荒唐無稽な話だったのだ。

 

一度心臓に入った(・・・)弾が肩から直角に抜ける(・・・)なんて

 

さらに、心臓と思しき部分が奇妙な光を放つ球体だったなど、笑い話にもならない。

 

だが、

もしかするならば、

あれ(・・)が見間違いではなかったのならば……

 

……あれはISコアであり、弾丸はそこで兆弾した。と考えると、辻褄が合う。

 

辻褄は合う、が……

 

「奴は……一体何なんだ?」

 

エムは奇しくも、織斑千冬と同じ類の疑問を口にしていた。

 

 

 

 

――演習場

 

いきなり現れた幼馴染(束)は爆弾発現をしたかと思えば、こんなことを言い出した。

 

『ちーちゃんへの説明はあと!

とりあえずゼロくんの今の姿をドイツの人間に見られるのはマズいから、先に転送する よ。四十秒で支度しな!!』

 

ゼロは私物を一切持ってきていないため支度など必要ない。あのバカ(束)は言外に四十秒で別れの挨拶を済ませろ。と言っているようだ。

 

なんともまぁ、急な話だ。

私は、このような場面で、何か粋な言葉が吐けるわけでもないので、ゼロの言うに任せることにし、無言で待った。

 

「……」

 

五秒……

 

「……」

 

十秒……

 

「……」

 

十五びょ…

 

「……ええい、馬鹿馬鹿しい!!」

 

くそ、失念していた。コイツは私をはるかに超える口下手な奴だった。

寡黙だ。といえば聞こえはいいが、こんなときまで無言なのはいかがなものかと思う。

 

「ゼロ! お前がいて助かった。感謝している」

 

私が沈黙に痺れを切らして、ゼロに話しかける。

 

「……チフユ、こちらも世話になった。礼を言う」

 

「ああ。……そういえば、『平和』の何たるかを教えそびれてしまったな。許せ」

 

「……問題ない」

 

「最後に一つだけ聞かせろ。お前は何だ? お前の答えが知りたい」

 

「俺は……ゼロだ」

 

「……そうか、お前らしい」

 

奴には、人間だろうと何だろうと、関係ないのだな。

 

その言葉を最後に、ゼロは光に包まれ、跡形もなく消えた。

 

電話が鳴る。あのバカ(束)からだ。

 

『さぁ……ゼロくんの昔話を始めようか』

 

『といっても僕らにとっては昔話でも、君たちにとっては……未来の話かもしれない』

 

束とは別の、男の声がする。

だが、私は気にも留めずに二人の話を聞いた。

 

内容は、おおむね、ゼロとエックスが束に語ったものと変わらなかった

 

話を聞くうちに、千冬は、驚きとは別の感情がこみ上げてきた。

 

後悔だった。

 

私は、名目上ゼロの教官だったが、なにも教えてやることが出来なかった。

武器を取らず、誰かを殺さずに生きてゆける世界こそが、平和だというのに

 

もし、『次』があったのなら……

 

……私は、全身全霊で、ヤツに『平和』の何たるかを教えてやろうと思う。

 

『具体的には、積極的にデートに連れて行ったり、とか~?』

 

「バカッ、何を言っているんだバカ!」

 

私に、春など……そういう方面において、人並みの幸せなど訪れるはずがない。

 

……弟一人、守れなかったのだ。これ以上、背負うものは増やしては、取りこぼしてしまうかもしれない。

 

それが、怖い。

 

 

『ま、ゼロくんはあっちの世界でも想われてる(・・・・・)から、ライバルは多いよね』

 

どちらにしろがんばってくれたまへ、オッズは八一(8:1)でシエルだから。と突っ込みどころ満載の台詞を漏らし、束は電話を切った。

 

私は、ゼロが抜けたことによる自分の仕事量の増加に辟易しながら、ドイツ軍が駆けつける軍靴の音を遠くに聞いていた。

 

・・

・・

・・

 

「ねぇ、ゼロくん、何か言い残すことはあるかな?」

 

笑顔の束の手にはドリル(天元突破式)があり、こめかみには青筋、今にもゼロを鉄クズにしたいお(^ω^♯)という意志に満ち満ちている。

 

「……待て、話せばわかる」

 

「私の故郷で、その言葉ををこの状況で言った人は皆、帰らぬ人になったよ」

 

――問答無用、ってね?

ドリルが回転し、整備台に縛り付けられたゼロは、視界いっぱいに広がる螺旋を見ながら、意識を手放した。

 

『……タバネ、財布は大丈夫?』

 

スリープモードにしたゼロを黙々と修理する束に、もはや束アイランドの常連と化したエックスが聞く。

 

何せ離島だ。レアメタルなどが海底にしこたま眠っている海域だったため、内部回路を直すことは出来たのだが、今回は根本的な部分を損傷しているため、チタン、鉄、アルミなどどいった基本的なマテリアルが必要になった。

 

当然、どこからか運んでくる必要があるのだが……

 

「なんとかね。…………あんにゃろー!! こっちが下手に出れば付け上がりやがって!! 全修理代の九割が輸送費だなんてふざけるのも大概にして欲しいよ。あいつらの情報、警察にリークしようかなぁ!?」

 

足がつかないよう非合法の輸送業者をいくつも経由しているため、価格が数十倍になっているのである。

 

束は思い出し怒り、とも言うべき憤りを、ゼロの修理作業に没頭することでぶつける。

 

ドリルは脅しであり、『修理代は高いからあんま壊すな』というのを伝えたかったらしい束だが、効果は薄そうだった。

 

『ははは……』

 

束の剣幕に若干引き気味のエックスだった。

 

「でも、今回の損傷は、装甲をケチった私のせいだからね。あまり強くは言えないんだ」

 

そもそも、もとの世界では、ゼロはアーマーをはずすことがなかったために、オリジナルならあったはずのアーマーの下の装甲が廉価版(コピー)の設計図ではオミットされている。

アーマーをつけてさえいれば、見かけ上の装甲値は変わらないからである。

 

束がそのアーマーをISとして格納してしまったため、問題点が浮き彫りになった。

 

「今度は、体表の数ミリ下に常にエネルギーバリアを張って見てもいいかもしれない」

 

『そうだね。時に、稼ぐアテはあるのかい?』

 

「実はね……ごにょごにょ」

 

そんな話をしながら、ゼロの修理は着々と進んでいた。




注:一夏は生きてます。

数日中に~とか前話で行っておきながら一週間ぐらいかかったじわ……ごめんなさい石投げないで!!

じわからは新章突入かな?

では、じわまで気長にお待ちください。
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