×二年→一年とちょっと○
追記:題名つけるの忘れてました。
修正しました。
苗字
ゼロを送り出し、動く者は束だけとなった束アイランド。
一人になった束は、ドイツにいる友人に電話をかけ、「十二時間後にドイツの○○に来てね~」と一方的に告げ、パタリと携帯電話を折り畳、まずにまた別の人物に掛けた。
……ガチャ
「ねぇ、エックス君?」
『なんだい? タバネ』
「クロワールちゃん……死んでないよねぇ?」
問いかけるように言ったが、束は何かを確信していた。
『……なぜ、そう思うんだい?』
「だって、何者かがこっちの『クロワール』に不正アクセスしてるんだもん。コアネットワークを介して、ね」
相手方はごまかせると思ってたみたいだけど、と呟いて、話を続ける。
「今、コアネットワークに自由にアクセスできるのは、世界に存在する『自我を持ったIS』と私と、エックス君たちみたいなサイバー空間の住人だけ。
さらにその中でゼロくんのことを考えている人物といったら、君と、クロワールちゃん、あとドクターシエル辺りかな? あ、でもドクターシエルは今いろいろ忙しいだろうから除外で、エックス君はずっとこの電話から会話を聞いてたよね。
そうすると、クロワールちゃんしかいないんだよ」
――『クロワール』にこんな(・・・)細工ができるのは。
そういって、束は空間投影型ディスプレイを見る。エックスも、携帯のカメラ越しに見た。
―――ワンオフアビリティー:『裂光覇(れっこうは)』
『これはオリジナルボディの技だね』
「普通、ゼロくんの攻撃一辺倒の戦歴なら、『アースクラッシュ』とか、『滅閃光(めっせんこう)』とかの攻撃系のワンオフに目覚めるはずなのに、これはシールドエネルギー回復技、しかもエネルギーの供給元のアドレスは文字化けしてて意味不明、なんかやばそうだったからロックかけてるけど、でもしっかりバイパスは通ってる」
前述の通り、『クロワール』はゼロの戦闘データを擬似経験データとして累積することで、短期間での一次移行(ファーストシフト)を完了した。
だが、不正アクセスは、最適化の一瞬の隙を突いて無理矢理自己進化プログラムを異なる方向に進化させ、発現するであろう能力を書き換えた。
回復系なのは、まるでゼロの身を案じているかのようだ。と束は感じた。
「私が思うに、文字化けアドレスは何かの目印で、自動的にコアネットワークに開いたサイバー空間に繋がるゲートを操作して、エックス君たちの世界からエネルギーを送ってきてるんじゃないかと思うんだけど……」
『でも、今のあの世界に、エネルギーの余裕は1ジュールたりとも存在しないよ』
そもそも、理不尽なレプリロイド弾圧が始まったのも、ひとえにエネルギー不足が原因なのだ。
「だから、死んだと思われてるクロワールちゃんが、エネルギーを作って送ってるんじゃないかってね」
束の話を聞いたエックスは一瞬の沈黙ののち、言葉を発した。
『……さすがは『天才』と呼ばれるだけのことはあるね。このことはゼロに伝えるかはすごく迷って、結局伝えなかったんだけど大体あってる。けど一つだけ間違ってることがあるよ…
…ボクはゼロに嘘はついていない。クロワールは死んだ。ゼロの知ってる彼女はもう戻らない』
「それってどういう……?」
『ボクは、ゼロにはゆっくり休んで欲しいから、あの世界の新しい問題なんて話すつもりはないけど、君には話しておくよ……本当のことを」
君ならゼロに余計な情報を与えたりはしないだろうから。
とエックスは念押してから語り始めた。
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一方、ドイツ軍施設
「で? あのバカと同じ声でしゃべる貴様の正体はなんなんだ?」
ゼロは、織斑千冬によって尋問を受けていた。
「タバネの指示で、オリムラチフユの身辺警護に派遣された。ゼロ・シノノノという」
「織斑千冬は私だが……そんな連絡は受けていない。それに、篠ノ之家は四人家族でお前のような金髪の親戚はいなかったと記憶しているが?」
千冬は、あのシャトルのデザインといい、登場の仕方といい、束の仕業であることに微塵の疑念も無かったが、目の前に座るどこか無機質な印象を受ける金長髪の女性が、篠ノ野家の一員だとはどうしても思えなかった。
「オレのパーソナルデータ……『コセキ』というようだが、それはタバネがなんとかしてくれたらしい。それに、ドイツ政府にも許可は取ったと言っていた」
「わかった。今確認する」
千冬はそういって、脇に控えている軍関係者に目配せ、確認を取ってくるように促す。千冬ににらまれた、マジックミラーの奥の関係者達があわてて退室していくのが手に取るようにわかった。
数分後、数枚の書類をもった伝令兵が現れ、千冬に書類の束を渡し、退室した。
千冬は、その書類をぱらぱらとめくり、ゼロの言ったことの真偽を確かめる。
どうやら、ゼロは遠い親戚筋に当たる人間で、数が月前に両親が急逝、行くあてのない彼女が篠ノ野家の養子に入った。ということになっているらしい。
連絡が遅れた理由としては、束に言い負かされた政府高官が腹いせに通達を目いっぱい遅らせていた。というのが真相だった。
「よし、お前が嘘を言っていないことは確認できた。また、この書類には、お前の滞在目的が『織斑千冬の警護および被IS教導』とあるが、ISは持っているのか?」
「あぁ」
といって、中指にはめられた紅いリングを見せるゼロ。
もちろん、ISコアはゼロの左胸に収納されているため、リングはごまかしのための偽者なのだが、千冬に知る由は無い。
「なら、第一演習場に来い。まず腕前を見る」
「了解」
ゼロはマジックミラーの向こうに一瞥をくれた後、千冬と連れ立って退室した。
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軍施設・第一演習場
程なくして、演習場にたどり着いたゼロと千冬、演習場には既に、千冬が教官をしている黒ウサギ隊(シュヴァルツェア・ハーゼ)のメンバーが集合していた
「今日から共に私の教導を受けることになった……」
「ゼロ・シノノノだ」
眼帯をつけた少女達の視線は冷ややかだ。なぜなら彼女達は遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)であり、同族意識が強い。異分子であるゼロを、そうホイホイと許容することは出来なかった。
「参考までに聞くが、ISの搭乗時間は何時間だ?」
「30分弱だ」
それを聞いた千冬は、自分が相手をするまでも無い。と思った。
だが、同時に言い知れぬ不安も覚えた。
もし、ゼロがIS初心者の動きしか出来ないのなら、あのバカ(束)が気に入るわけが無い。
迷った千冬は、折衷案をとる。
「話にならんな。クラリッサ、相手をしてやれ」
現時点でのこの隊のエースを当てることにしたのだ。
「ですが教官。ここはラウラに任せて、『奴は我がシュヴァルツェア・ハーゼの中でも最弱ッ……!!』ってなるところだと思いまs…」
スパァン!!
千冬の手にあった書類束から小気味良い音が鳴る。
「口答えするな。さっさと始めろ」
「申し訳ありません。教官」
叩かれたクラリッサは、涙目になりながらISを展開、演習場の中央部に飛んだ。
彼女が纏っているISは、ドイツ第三世代IS『シュヴァルツェア・ツヴァイク』
第三世代と銘打ちながら、まだ武装のほとんどが開発途上であり、第二世代型の後付装備(イコライザ)を使って戦っている状態である。
対するゼロも、『クロワール』を展開し演習場中央部へ行き、構える。
千冬はずいぶんと小柄なISだな、と感じた。
通常、ISを纏うと目線の高さが通常の1.5倍ほどになる。だが、ゼロのISはほとんど身長に変化が無い。
当然、ゼロがクラリッサを見上げる形になる。
普通の人間なら、自分よりも大きい対象に幾分かの恐怖心を覚える物だが、ゼロにはそれは無い。
千冬にはゼロがまるで、自分より大きい物と戦うのが日常であったかのように見えた。
「では、始め!!」
だんだんと大きくなる不安を尻目に、千冬は試合開始の号令を発した。
シノノノ家の一員となった(両親未許可)ゼロ、彼の明日はどっちだ!!
クロワールの真相は……もっと後かな(べ、別に予想コメ期待なんていってないんだからねっ!!)
さっそく、前回の次回予告が嘘になったような・・・
戦闘は次回ですごめんなさい。
では、じわまで気長にお待ちください。