光に集う竜   作:クロバット一世

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1巻終了です


10話 共に背負う業

 

「さっきの話・・・聞かせてもらったぜ・・・お前だったんだな・・・姉さんにあの傷を負わせたんだな・・・俺は・・・お前を絶対に許せねぇ!!」

 

リヒトは怒りを露わにした。リーシャの体に傷を負わせ、心に傷を負わせた目の前のベルベットが許せなかったのだ。

 

「はっ図に乗るなよ放浪王子が・・・貴様を殺したあとにお姫様もあの世に送ってやるぞ!!」

 

ベルベットはブレードを構えるとリヒトへと斬りかかった。しかし、リヒトは《ゼルレウス》を操作して攻撃を躱しベルベットに反撃した。

 

「ぐぅぅ・・・貴様・・・この俺を舐めるなぁ!!」

 

機竜を傷つけられたことにベルベットは怒りに顔を染めた。

 

「そうしてられるのも今のうちだぞ!!すぐに目にものを見せてやる!!」

 

「やってみろ!!テメェを絶対に倒してやる!!」

 

リヒトとベルベットは再び衝突した。

 

 

 

ザシュッガキィッガァァンッ!!

 

 

両者の激しい攻防が続いた。

 

 

しかし、スピードとスペックで勝るリヒトの方に分があるのか徐々に圧倒してきた。

 

「ぐぅぅ・・・正直ここまでやるとはな・・・だがここまでだ・・・お前では絶対にこの俺様には勝つことは出来ん」

 

しかし、ベルベットはまったく動じておらず笑みを浮かべたままだった。

 

(・・・なんだこの奴の余裕は・・・?おそらく・・・奴にはあるんだ・・・この状況を逆転する何かが・・・)

 

リヒトは確信していた。目の前の男には何かが切り札がある・・・そして奴はその切り札に絶対の自信があるのだと、しかし、リヒトとて馬鹿ではない。切り札があるのなら使われる前にトドメを刺す。

 

「なら・・・その切り札を使わせないまでだぁ!!」

 

リヒトは《ゼルレウス》の最大速度でベルベットへと斬りかかった。ベルベットはブレードを構えているが速度で勝る俺の《ゼルレウス》の方が速く動ける。決まった・・・そう思った次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目だリヒトォ!!避けろぉぉ!!」

 

リーシャの大声がリヒトに聞こえたその瞬間、突然何かを感じ体を捻ると、

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

ベルベットのブレードの斬撃がリヒトの横腹を掠めていた。

 

 

「リヒトォ!!」

 

「ぐっ・・・なんだ今のは・・・速すぎる・・・」

 

ベルベットはあの時確かにまだブレードを振りかざした状態のままだったはずだ。しかし、ベルベットはありえない速度でブレードを振り下ろしリヒトの体を掠めた。

 

「ほう・・・よく躱したな放浪王子、先ほどのお姫様はこれになすすべも無くやられたというのにな・・・この、『神速制御(クイックドロウ)』にな・・・」

 

「そうか・・・これが・・・これで姉さんがやられたのか

・・・」

 

『神速制御』は新王国に伝わる「機竜使いの三大奥義」が一つ。

肉体制御での操作に加え、精神操作の制御。一連の動作に異なる二系統の操作を完璧に合わせ、一動作のみ、目にも止まらぬ攻撃を繰り出す絶技。

 

「ふふふ・・・この技の前には神装機竜などおそるるに足らず!!これで貴様も終わりにしてやる!!」

 

ベルベットは再びリヒトへと攻撃を続け、リヒトは、さらに追い詰められていた。

 

先ほどの攻撃はなんとかかすめるだけで済んだがそれでも次々と繰り出される攻撃に加え、さらに『神速制御』の高速斬撃で苦戦しだした。

 

「ハハハハハッ、滑稽だな放浪王子!!所詮貴様らなどこの俺様の敵では無いのダァ!!!・・・ん?」

 

瞬間、ベルベットは何かを見つけた。その視線の先には先ほど攻撃を掠めたリヒトの横腹だった。そこは攻撃によって損傷しており衣服が破れていた。しかし、何より目に映ったのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

その横腹に刻まれている旧帝国の紋章であった。

 

「どうなっている・・・なぜ貴様にそれが刻まれている?俺は貴様に焼印を押した覚えはないし・・・それに貴様が捕らえられたのなら俺が知っているはずだぞ・・・第一随分と変な場所に押されている・・・っ!!まさか・・・いや、でもそうとしか・・・」

 

しばらく考えていたベルベットだがすぐに何かに気づいた。

 

「リヒト・アティスマータ・・・貴様・・・その烙印は自分でつけたのだな!!」

 

「・・・ああそうさ・・・これは・・・自分への戒めだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『姉さん!!』

 

『・・・リヒト・・・・・・』

 

あの日・・・《ゼルレウス》を手にし、リーシャの元へとたどり着いたリヒトはすぐにリーシャの様子に気づいた。リーシャはリヒトを見ると体を震わせ背を向けたのだ。

 

『どうしたんだよ姉さん・・・すぐにここから・・・』

 

『来ないでくれ!!』

 

リヒトがリーシャの手を掴むとリーシャは力一杯リヒトの手を振りほどいた。しかし、その時、リーシャの腹部の烙印がリヒトの目に入ってしまった。

 

『・・・姉さん・・・それは・・・』

 

『見ないでくれリヒト・・・私は・・・お前と一緒にいる資格などない・・・』

 

リヒトはあとから知ったのだが・・・リーシャは旧帝国に囚われた時、暗殺者として生きるか自害するか選ばされた時、死を選ばなかったという・・・そのことと烙印による心の傷がとても深く刻まれていた・・・

 

『・・・・・・』

 

リヒトは周囲を見渡すと、そこには黒い旧帝国の紋章が書かれた焼きごてがあった。焼きごては先端が火の中に偶然くべられており真っ赤になっていた。リヒトは意を決してそれを掴むと・・・

 

『ふんっ!!』

 

ジュウウウウウウ

 

自らの横腹へと押し付けた。

 

『ぐ・・・がぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

『リヒトっ!?何を・・・』

 

リーシャは止めようとしたがリヒトはやめず、しばらくするとその焼きごてを離した。

 

『ふーっふーっ・・・姉さん・・・姉さんの苦しみ・・・俺にも分けてよ・・・僕たち姉弟じゃん・・・楽しいことも・・・辛いことも・・・独り占めは・・・無しだよ・・・』

 

リヒトは激痛に耐えながらリーシャに微笑みかけた。

その笑顔を見てリーシャは涙がどんどん溢れてきた。

 

『リヒト・・・う・・・うわぁぁぁぁぁ!!』

 

リーシャはリヒトの胸で泣きじゃくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの日から・・・この傷を見るたびに・・・思い出すんだよ。姉さんの心に深い傷を負わせてしまった自分の情けなさ・・・自分の弱さが・・・いやでも思い出しちまうんだよ・・・だから・・・俺は誓ったんだ・・・姉さんを守ると・・・この国をみんなが幸せに暮らせる世界にするって・・・誓ったんだ!!」

 

リヒトは紋章を撫でながら、ベルベットを見てそう叫んだ。

 

「はっ、愚かな小僧め・・・この俺に手も足も出ないくせに、一体何を守るというんだ!!」

 

ベルベットは再び構えるとリヒトへと向かってきた。

 

「あの世で姉弟仲良く手を繋いでいろ!!『神速制御』!!」

 

ベルベットは渾身の一撃で『神速制御』を放った。

 

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・光となれ____『流星(ミーティア)』」

 

瞬間____リヒトの姿は消え、ベルベットの機竜は粉々に砕け散った。

 

「がっ・・・な・・・何故だ・・・」

 

ふと後ろを見ると、そこには剣を振り下ろしたリヒトが静かに立っていた。

 

「いくらあんたが高速で動いても・・・光の速度には敵わない・・・」

 

 

『流星』・・・それがリヒトの神装機竜《ゼルレウス》の神装である。その能力は簡単にいうと『一瞬だけ光速で動ける』というものである。刹那にも満たないほんの一瞬だけ光速になり敵を切り裂く、故に何者にも捉えることは出来ない必殺の一撃である。

 

「くっ・・・くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

ベルベットは叫びながら落ちていった。

 

ふと後ろを見るとルクスがすでに敵を全滅させていた。

 

全ての敵を倒しきったルクスは地面に降り立つと、リーシャへ歩み寄る。

 

「帰りましょう。リーシャ様」

 

リーシャはその手を取り、震える声で。

 

「・・・がとう。・・・リヒト、ルクス・・・ありがとう、」

 

涙で濡れた顔で笑顔を見せていた――――――――

 

「うーん。ここは……」

小さな呻き声と共に、ルクスは目を覚ました。何やら薬品と花の匂いが鼻孔をくすぐる。

 

「……っ!? 起きた!? 兄さん!」

アイリが涙を浮かべながらルクスの顔を覗きこんだ。一滴の涙がこぼれ、ルクスの顔に落ちる。

 

「ここは―――?」

ズキッと痛む頭を手でおさえつつ起き上がる。

 

「やっと起きたか、ここは学園の医務室だ。あの後援護に来た俺とアテムがリーシャ様と一緒にお前とリヒト王子を学園まで運んできたんだよ」

 

そこにはアテムが溜息を吐きながらソファーに座っていた。

 

「そっか、あの後僕は・・・」

 

「自業自得だバカ、お前の『暴食(リロード・オン・ファイア)』は強力な反面体への負担が半端ないんだ。連続で使えば当然そうなる」

 

ルクスは他の一般女性よりはるかに高い機竜適正を持っている。しかし、そんな彼でも連発するのはリスクが高いのが《バハムート》の神装『暴食』なのである。

 

「あはは・・・」

 

ルクスは苦笑いを浮べた。彼らが自分を心配してくれていることはわかっている。だから謝ろうとした時、

 

「兄さんはやっぱり大馬鹿です・・・」

 

アイリはそう言って、ルクスの太ももがある辺りに顔を埋めた。

 

「私がどれだけ心配したかわかってるんですか? また目覚めなかったらどうしようって何回も思ったんですよ・・・」

 

普段の澄ました態度をやめて、声を潤ませてアイリは呟く。

 

「お前が起きる少し前までアイリずっと泣いててさ、慰めるの大変だったんだからな」

 

「そっか・・・。ごめんねアイリ」

 

グレンからそう言われた後、落ち着くまでアイリの頭を撫でていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイリたちが出て1人になったルクスは1人夕日を見ていると、リヒトが入って来た。

 

「リヒト・・・」

 

「よぉルクス、元気そうで良かったぜ」

 

リヒトは近くのソファーに座るとルクスに話しかけた。

 

「母さんから聞いたよ。お前が『黒き英雄』でまちがいないんだな」

 

「うん、ゴメン。黙っていて・・・」

 

ルクスは気まずそうに謝った。

 

「いや、むしろ感謝したいくらいだ。お前が一緒にいてくれたおかげで姉さんを助けられた。ありがとう」

 

リヒトはそういうとルクスに頭を下げた。

そして顔を上げると笑みを浮かべ

 

「改めて・・・リヒト・アティスマータはルクス、お前を認めるよ・・・そして、約束してほしい・・・これからもこの国のために一緒に戦ってくれ」

 

リヒトの頼みを聞いたルクスは笑みを浮かべると

 

「もちろん、僕の方からも宜しくお願いします」

 

こうして、2人は互いを認め合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーるほどねぇ・・・こいつで幻神獣を操ってるわけか・・・」

 

学園の一室、ここではベルベットが使っていた幻神獣を操る力のある笛を管理してあった。そして、アテムはそれを入念に眺めていた。

 

「ちょっとまずいことになったかもな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい雇い主さんよぉ〜お前がけしかけたあのベルベットってやつ全然使えねぇじゃん。だから俺たち兄弟が行くっていったのによぉ〜」

 

人気の無い路地では2つの影がいた。

 

1つは小柄な体で顔に包帯を巻いた少年だった。

 

「ふふふ・・・見つけた・・・見つけたぞ・・・あれはまさに俺のものだ・・・」

 

もう1人は黒いローブを深々と被った人物だった。

 

「おい聞いてんのかテメェ・・・」

 

「ん?あぁ聞いてたさ・・・まぁ落ち着け・・・今回はちょっとした余興みたいなもんさ・・・お前たちの仕事はちゃんと用意してある。だからまだ出るな」

 

「ちっ・・・わかったよ」

 

そういうと顔に包帯を巻いた小柄な男はそのまま立ち去っていった。

 

「《ゼルレウス》・・・やっと俺の元に来るのか・・・あれはこの俺にこそふさわしい・・・ふふふ・・・ふはははは・・・」

闇の中で邪悪な笑い声が響いていた。

 

 

 






久々にこちらを投稿して見ました。

ちなみにリヒトは現在の力はルクスより弱く設定しています。

物語の中で徐々に強くして行く予定です。






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