光に集う竜   作:クロバット一世

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久しぶりに投稿です!!


13話 遺跡調査前日

 

ここは城塞都市の一番街区にある、貴族たちの住居区。その一つである豪邸に二人の男が集まっていた。

 

 

 

「それで、どうだ? 俺がやった《アジ・ダハーカ》の調子は」

 

漆黒のローブで身を包み、フードで顔を隠している男が尋ねる。

 

「ああ、最高だよ。この《アジ・ダハーカ》さえあれば、俺はどんな機竜使いにも負けることはない」

 

金髪の男、バルゼリット・クロイツァーがその問いに答えた。

 

「さすがは我が盟友だな、では例の件もほうもよろしく頼むぞ」

 

「ああ、あのユミルの伯爵令嬢を娶る話だな? だが、なぜあの女なんだ?」

 

バルゼリットがフードの男に聞くと男は笑いながら答えた。

 

「あの女は『鍵』なんだよ。『遺跡(ルイン)』の最深部に行くためのな」

 

「……っ、それは本当なのか?」

 

「そうだ、そして俺はお前にそれを託したいのだよ。だから必ず手に入れてくれ」

 

「任せておけ。少々面倒なことになってはいるが、この《アジ・ダハーカ》の力で手に入れて見せよう」

 

腰に差している機攻殻剣(ソード・デバイス)に手を置き、バルゼリットは笑う。

 

「《アジ・ダハーカ》を使うということは決闘か何かか?」

 

「ああ、今あの女には『恋人』がいる。その男との決闘があるのだよ。だが俺の勝ちは決まっているようなものだ、だから安心しろ我が友よ」

 

「実に頼もしいな、ちなみに相手の名は何と言う?」

 

「リヒト王子殿下だ、まぁあんな小童に俺が負けることはない」

 

その言葉にフードの男は笑みを浮かべた。

 

「……そうか、それは好都合だな……それならもう一つ頼まれてくれないか?」

 

「……?」

 

「決闘の際に上手いこと奴の機竜を回収してくれるか?上手いこと王子を始末して「賊に奪われた」ってことにしてくれれば出来るだろ?」

 

「……出来ないことはないが…なぜ奴の機竜なんだ?お前のところには他にも機竜があるだろ?」

 

バルゼリットが問いかけるとフードの男は舌打ちをして不機嫌になった。

 

「あれはいずれ俺のものになるはずの機竜だったんだ。それを『あいつ』が……いや、この話はまた今度にしよう」

 

フードの男の声色が変わる。少し苛立ちの色が入っていた。

 

「我が盟友よ、奴の詳しい情報と神装能力の情報を買う気はないか?」

 

「そうだな、買うとしよう。その情報持っていて損はなさそうだからな」

 

「では、明日にでも持ってくるとしよう。では今日のところは失礼する」

 

「ああ、また会おう。我が友よ」

 

その言葉をバルゼリットが発した後、フードの男は姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「準備は良いかリヒト?」

 

「いつでも良いぜ姉さん」

 

学園敷地内にある装甲機竜の演習場、そこでは《ティアマト》を纏ったリーシャと《ゼルレウス》を纏ったリヒトが向かい合っていた。

 

バルゼリットとの決闘が決まって数日後、リヒトは決闘に備えてリーシャと訓練として試合をすることになった。

 

『両者、戦闘準備!!、模擬戦開始!!!』

 

「いくぞリヒト!!」

 

「上等だ!!今日は勝たせてもらうぜ!!」

 

試合開始の合図とともにリヒトはリーシャに向かって《七星剣(グランシャリオ)》を構えてリーシャへと向かっていった。

 

リーシャも機竜息砲(キャノン)をリヒトに向けて放つがリヒトは砲撃を躱して斬りかかるがリーシャも障壁を張り斬撃を防いだ。

 

「この……ならっ!!」

 

剣戟を防がれたリヒトはすぐに次の手を打った。

すると、リヒトの《ゼルレウス》の翼から10機の小型の水晶体が現れ《ゼルレウス》の周囲に展開した。

 

「これでどうだ!!」

 

リヒトの合図とともに水晶体は障壁の一点にレーザーを放った。

 

これが《ゼルレウス》の特殊武装その三、《綺羅星(ステラ)》。これは、リーシャの《ティアマト》の特殊武装《空挺要塞(レギオン)》と同様の自立型のBT兵器である。《空挺要塞》と違って素早く動かすことは出来ないが代わりに蓄えてあるエネルギーを用いてレーザーを放つことができる。

 

だが、

 

「甘いっ!!」

 

リーシャはすぐに《空挺要塞(レギオン)》を展開し、《綺羅星(ステラ)》を弾き、障壁を消すとリヒトを蹴り飛ばした。

 

「次はこいつだ!!」

 

そのままリーシャは手元に《七つの竜頭(セブンスヘッズ)》を出しリヒトに向けた。

 

「やべっ…《星光の竜尾(スターライトテイル)》!!」

 

慌てたリヒトは自身の特殊武装《星光の竜尾》を左肩に装着した。

瞬間、両者から光線が放たれた。

 

 

 

 

 

「いっつ…」

 

「ふん、今日は私の勝ちだなリヒト!!」

 

試合が終わり医務室ではリヒトが手当をされていた。

 

あの後、リヒトはリーシャの砲撃に力負けし、結果リヒトの負けとなってしまった。

 

「はぁ…距離を取られて流れをそっちにもってかれたのが痛かったな…」

 

「全く…お前さては遠距離攻撃の特訓サボってたたろ?いくら近接戦闘が得意で遠距離攻撃が苦手だからって特訓は続けないとダメだぞ」

 

そう、リヒトは実を言うと射撃などはあまり得意では無いのである。だから特殊武装の《星光の竜尾》を放つときも取り付けた左肩のパーツで安定させて撃つようにしていると言うわけだ。

 

「いや…サボってたわけじゃ無いんだ…最近どうしても完成されたい技があってその特訓でさ…」

 

「はぁ…まぁ良い、だが今度の相手はあの『王国の覇者』だ、楽に勝てる相手じゃないと思っておかないとダメだぞ」

 

「分かってるって姉さん」

 

バルゼリットは神装機竜《アジ・ダハーカ》の使い手にして、王都のトーナメントでの成績から『王国の覇者』と呼ばれるほどの腕前である。リヒトが神装機竜の使い手でも決して油断してはならない相手なのだ。

しかし、だからと言って負けるつもりは毛頭ない、リヒトはそう覚悟を決めた。

 

「そう言えばもうじき遺跡調査が行われるからお前の機竜もこの期にちゃんとメンテしてやる、なんなら強化してやるぞ!!例えば…」

 

「ドリルは却下」

 

リヒトの言葉にリーシャはガッカリした。

 

 

 

 

 

 

 

その夜、王都『ロードガリア』の城内ではある会議が行われていた。七人の男女がそれぞれ席に座り、円を描くように向かい合う。上座に座るのは女王と宰相、そして軍の副司令官。残りの四人は四大貴族の公爵たちだ。国の権力者たちが一堂に集まっているこの部屋には異様な沈黙が続いていた。

 

「……。我らが一同に呼び出されるとは、久しぶりですな」

四大貴族の老輩であるゾグァ・シャルトストがそう切り出す。

 

「そうだな、新王国設立以来ではないか? そなたたちの顔、危うく忘れるところだったぞ」

 

中年の男が軽口を叩く。バグライザー・ガシュトフだ。

 

「この場に我々が呼ばれたということは、女王陛下は我々の助けを必要としている。そういうことだろうか?」

 

四大貴族の中で一番若いであろう壮齢の男、ディスト・ラルグリスが女王陛下に問いかける。

 

女王は頷き、宰相であるナルフ・ファイブリオンを促した。

 

「今回集まってもらったのは、ヘイブルグ共和国からの申し立ての件についてだ」

 

「ヘイブルグだと? あの国に大量の装甲機竜を流している『闇商人』とか言う胡散臭い男の話か?」

 

 

「いや、今回はその話ではない。『終焉神獣(ラグナレク)』についてだ」

 

バグライザーの問いかけにナルフが答える。

 

『終焉神獣(ラグナレク)』という言葉を聞いた瞬間、部屋の空気が変わった。

 

「『終焉神獣(ラグナレク)』……、話には聞いたことがあったが本当にいるとはな」

 

 

『終焉神獣(ラグナレク)』―――それぞれの『遺跡ルイン』に一体だけ存在するという伝説の『幻神獣(アビス)』。通常の『幻神獣(アビス)』とはまるで次元が違うものであり、八年前に一体だけ地上に出現した際、多くの街や村を消し去ったと言われている。

 

「旧帝国が『遺跡(ルイン)』を強引に調査した結果、世に『終焉神獣(ラグナレク)』が解き放たれたという証拠をヘイブルグ共和国が揃えてきたと?」

ディストの言葉にナルフは頷く。

 

「そもそも、なぜその情報が漏れたのだ? 情報は執政院が秘匿していたはずだが」

 

「それが、五年前のクーデターの際に執政官の一人が他国に逃れたらしい。その執政官がどうやら情報を流したようなのだ」

 

「今回のヘイブルグ共和国の申し立てを断れば全世界を敵に回すことになるでしょう」

 

「故に何か対策を、ということか」

 

「だが、その『終焉神獣(ラグナレク)』はもう討伐されたのではなかったか?」

 

「いや、あれはただ石化し休眠状態になっただけらしい。そしてその石化が徐々に解けてきていると書簡が届いたのだ」

 

「それで、解き放った責任として我々に迎え撃てと?」

 

「そうなります。ですが、当時の旧帝国の軍事力でようやく眠らせた『終焉神獣(ラグナレク)』を今の新王国の軍だけで戦うのは危険です」

 

「そうでしょうな。やはり神装機竜の使い手が部隊を率いてもらわんと」

 

ゾグァの言葉で結論が出た後、暫しの沈黙が訪れる。

 

皆が沈黙するのも仕方がない。『終焉神獣(ラグナレク)』の討伐にはかなりの危険が伴う。今の新王国に討伐へ向かわせられる神装機竜使い手はそういないのだ。

 

すると、

 

「ならば、私の息子を行かせようではないか」

 

沈黙を破り、話を切り出したのはワーグ・クロイツァーだった。

 

今まで口を開かず、ただ話の行方を聞いていたワーグの突然の発言に一堂が視線を向ける。

 

「我が息子は、神装機竜《アジ・ダハーカ》の使い手だ。さらには王都のトーナメントでも三位の実力を持っている。十分に部隊を率いることができるはずだ」

 

ワーグはそう言いながら不敵な笑みを浮かべた。女王であるラフィはその様子に警戒する。

 

クロイツァー家には悪い噂が絶えない。クーデター前、旧帝国を乗っ取ろうと画策していたという噂もあったほどだ。

 

「神装機竜使いと言えば、リーズシャルテ王女やリヒト王子がおりますが、お二人を危険にさらすわけにもいきますまい。この件は我が息子にどうかお任せを」

 

ワーグは女王に頭を下げつつ申し出た。

 

「………。そうですね、わかりました」

 

ラフィは渋々その申し出を了承する。

 

「ありがとうございます女王陛下。ですが、『終焉神獣(ラグナレク)』討伐には我が息子や神装機竜、資金や私兵などを失う可能性がある任務になります。そのため私はある報酬を兵や資金の他に頂きたいのですがよろしいでしょうか?」

 

「その報酬とは一体―――」

 

「新王国における軍の全権ですよ。我が息子がこの任務を成功させた暁には、私にその権利を頂きたいのです」

 

ワーグは高らかにそう告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、バルゼリットとやらは貴様の思い通りに動いていると言うわけか」

 

真夜中の路地、ここでは全身傷だらけの大男がフードの男と話をしていた、

 

「ああ、その通りだ。まったく、利用されているとも知らずにバカなやつだよ」

 

フードの男は己の手のひらで踊らされてるバルゼリットを思い浮かべ笑みを浮かべた。

 

「まったくだな、だがバカにはバカなりに利用価値がある。」

 

「ああそうだ。それにうまくいけば俺の求めていた機竜がようやく手に入るのだからな…後は『アレ』の情報だか…この国にあるのは確かだ。見つけてくれるな?」

 

「それに関しては任せておけ、『アレ』は必ず手に入れてやる」

 

そう言うと傷だらけの大男は静かに去っていった。

 

(そうとも…『アレ』は必ず手に入れる。俺たち兄弟の悲願のために…せいぜい貴様はそれまで利用させてもらうからな…)

 

フードの男へと視線を人知れず向けながら

 

 

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