相変わらず不定期ですみません
「…ヒト…ん、リヒ…くん…」
「…ん……?」
リヒトは自分を呼ぶ声が聞こえて目を開くとそこには美しい長髪の少女、クルルシファーがいた。
「よかった…気がついたようね」
「クルルシファー…そうだ、確かディアボロスの爆発に巻き込まれて…」
「あなたが守ってくれたおかげで私は平気だったみたいね。あなたは問題ない?」
クルルシファーが無事だと知り、リヒトはホッと一安心した。
「俺も大丈夫だよ。でもあの後何が…」
「私も詳しくは分からないけど………爆発に反応するように『箱庭(ガーデン)』が淡く輝いてたのを見たわ………どうやらその直後周囲の人や物が内側に引き込まれたみたいね」
「それって………まさかっ!?」
リヒトが周囲を見渡すと巨大な大木が生い茂り川の流れる幻想的な場所であった。
「ここが………『箱庭(ガーデン)』?」
「ええ、どういう理屈かは知らないけど、ここは外の時間と連動して暗くなるらしいわね…このままだともうじき夜になるわ…今日はこの辺りで休息を取りましょうか」
「………そうだな、下手に動くより明るくなってから動こう」
クルルシファーの提案にリヒトも賛成しその日はその場で野営をすることにした。
「ここって…遺跡の中なんだよな?」
「そうみたいね。運よく開門のタイミングに入れたみたいね」
焚き火を焚きながらリヒトはクルルシファーと今後の動きについて話し合っていた。
「他のみんなとは離れ離れになっちゃったみたいだけど…どうしようか?」
「明日は中央の祭壇に向かいましょう。そこにみんな集まっているはずよ」
「いや…でも…」
正直リヒトはクルルシファーに無茶をさせたくなかった。先ほどのディアボロスとの戦闘の時といい明らかに様子がおかしかった。いや、そもそもなぜクルルシファーが遺跡の中心にそこまでこだわるのかという疑問もある。クルルシファーの目的はあくまで婚約の計画の解消だったはずだ。しかし、彼女の遺跡調査へのこだわりは別の目的があるようで仕方がなかったのだ。
「…そうね、それじゃあ貴方は明日、『箱庭(ガーデン)』の門の開閉時間に合わせてこの場所から脱出して構わないわ。私はひとりで行ってくるから」
リヒトの心配をよそにクルルシファーは調査を続けようとしているようであった。
「それこそできねえよ!!だったら俺も一緒に行く!!だから危険な行動はするな!!」
リヒトはそんな彼女に声を荒げて叫んでしまった。
「………っ!……そう言ってくれるなら助かるわ。じゃあ明日に備えて先に休ませてもらうわね」
思わず叫んでしまったリヒトに驚きつつもクルルシファーは少し顔を赤く染めてお礼を言った。
「……おもわず叫んじゃったな……俺ってこんなタイプの男だっけ?」
クルルシファーがテントに入っていったあと、リヒトは自分がクルルシファーに怒鳴ったことに驚いていた。
「明日……クルルシファーに謝らないとな……」
リヒトは反省しながら焚き火に枯れ木をくべた。
遺跡で一夜を明かした2人は昨日決めた通り、遺跡中心の祭壇を目指して歩いていた。
機竜を使えば早いが、疲労が抜けきらないのに加え、緊急時のために体力を温存する必要から徒歩で祭壇を目指していた。
「クルルシファー……昨日は……その……ごめん」
リヒトは昨日のことを改めてクルルシファーに謝った。
「貴方が謝ることじゃないわ。こっちこそ勝手なことばかりでごめんなさい」
互いが謝った後再び黙り込んでしまったのでリヒトは話題を変えることにした。
「そういえば……クルルシファーはなんで『黒き英雄』を探してたんだ?俺が探している理由は前に話したけど……クルルシファーからは聞いてなかったからさ」
リヒトはルクスのことを伏せながらクルルシファーに『黒き英雄』のことを聞いてみた。
「……私が今祭壇に向かっているのと同じ理由よ。どうしてもあることを知りたいの」
「あること?」
「私の"機竜適正値"が異様に高いことは誰かから聞いたことはないかしら?」
「そうなのか?俺は初耳だったけど」
装甲機竜(ドラグライド)は本来どんな人間が無茶しても連続運転には限度がある。
リヒト自身も男性としては高い適正値があるが姉のリーシャにはやや劣る。
「でも……『黒き英雄』は一晩で帝国軍を壊滅させた……それほどの人間なら……その機竜使い(ドラグナイト)には限界がほとんどない……きっと私と同じように……そういうことよ」
「クルルシファー……」
彼女の何かを願うその顔にリヒトはそれ以上聞くことが出来なかった。
そして、数十分ほど歩いたところで目的地である祭壇にたどり着いた。
白い円柱が立ち並び、中央の台には銀の宝玉。まさしく祭壇といえる。
「それじゃ、ここでみんなを待――」
リヒトがそう告げた瞬間
『ガ、ガガガ…!《鍵》の存在を認識しました。特殊コードの開錠を行います。問題がなければ、転送を始めます』
「なっ…これは一体……!」
突如、竜声のような直接脳内に響く声。
蓮、ルクス、クルルシファーはとっさにそれぞれの機攻殻剣に手を伸ばすも、床に描かれた紋章が光り、リヒト達を包んだ。
光が収まると、景色は一変。
青白い金属板に覆われ、瓦礫が散乱する回廊。
ここが――話に聞いていた遺跡の内部のようだ。
「ここが、私の――」
「ちょ、クルルシファー?待って…」
クルルシファーはせくように足を動かし、近くにあった奇妙なオブジェに触れると、オブジェが光だし、声が聞こえた。
『鍵の認証を確認。レベル権限により、第二管制室の施錠を解除します』
「そう。やっぱり、私は――」
その傍らオブジェから聞こえた声に眉をひそめるクルルシファー。
が、すぐに顔を上げ近くの壁に触れる。触れた壁がスライドする。
「ここは…」
念のため、リヒトがクルルシファーを制して先行して部屋に入る。
現れた部屋は個室、といっても中にあるのは棚のみ。
棚には『ボックス』と呼ばれる古文書や機竜の武装などを入れた箱が並んでいた。
しかし、この『ボックス』だが、時間をかけて無理やり開けるしか方法がない。
(姉さんの工房ならあるいは……)
そう考えていると
クルルシファーがそっと端に手をかざし、撫でるように指を動かすと『ボックス』が開いた。
「え?」
「違う…もっと、探さないと――ッ!?」
呟きながら『ボックス』を開けていくクルルシファーだったが、3個ほど開けたところでその細身がよろめき倒れそうになる。
「ちょっ……クルルシファー待てって……」
慌ててクルルシファーを支えようとリヒトは手を伸ばしたその時、
ズズンッ!!
『危険です。振動により、内部が崩落します。安全な部屋に退避してください』
直後、振動が強くなりクルルシファーに瓦礫が落ちてきた。
「クルルシファー!!」
リヒトはとっさにクルルシファーを助けるも個室の入り口が瓦礫でふさがれてしまった。
「また……迷惑をかけてしまったわね……」
「……まったくさ……昨日の今日で言うのもなんだけど無茶しすぎだって。なんでそこまで……」
「……数少ない、チャンスだったのよ」
「遺跡の調査権は俺もわかる。けど、命あってこそだろ。何をそんなに焦っているんだ」
「私が、誰なのかを知りたかった」
「うん?それはどういう――」
「私は、この世界の人間じゃない、遺跡の――生き残りなのよ」
「え?」
「少し、話を聞いてもらえないかしら」
顔を見せないように俯いたまま、クルルシファーは話し始める。
自分自身の過去を…………
本当に不定期ですみません……