光に集う竜   作:クロバット一世

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幻神獣戦決着です


5話 闘い終結

機竜使いが敵として警戒に値するのは、同じ機竜使いだけではない。いや、それよりもよほど気をつけなくてはならない、人の天敵が今の世界にはいた。

 

幻神獣《アビス》。

 

十余年前、機竜が発見された遺跡から時折現れるようになった、謎の幻獣。その種類は無数にあり、見つけた人間や動物を見境なく襲うと言われている。獣と違うのは、その尋常ならざる強さと不可解な生態、そして特殊能力だ。故にほとんどの大国では、遺跡の近くや砦や関所、城塞都市を厳重にも置き、機竜使いを配備して不測の事態に備えている。

この城塞都市も王都と遺跡の間にある、防衛拠点も兼ねた都市なのだ。

 

だがーー。

 

「きゃあああぁっ!?」

 

「な、何でこんなところにいきなり幻神獣が――!」

 

「あれって……、本に載ってたガーゴイル型!?どうして警報が鳴ってないのよ!?」

 

「落ち着け!下級階層の生徒は機攻殻剣を抜くな!慌てずまとまって、校舎へ待避しろ!」

 

観客席の女生徒たちから、次々と悲鳴が上がる。機竜使いの士官候補生とはいえ実戦を経験した生徒は少ない。

幻神獣は出現率こそ低いのだが、基本的に機竜使いの数倍の戦闘力を備えている。しかも、本来は城塞都市から数十㎞も離れた遺跡から飛んでくるのだから、周囲の砦や関所から連絡が来ているのが普通なのだ。

更に観客席という密集地帯で機竜を展開しようとすれば、召喚までに手間を取るのは目に見えている。ふいに街中で猛獣と出くわしたとき、悠長に目の前で銃の弾込めなどできるわけがない。

観客席の障壁を張るために配置されていた機竜使いの八名ですら、この未曾有の出来事に、まるで身動きが取れずにいた。

 

そして、

 

ギィイアアアアイイエェェエエアアアァァ!!

 

さらに後ろから同じガーゴイル型の幻神獣が更に二匹、乱入してきた。

 

「一体、何が……?」

 

女教官のライグリィは、生徒をまとめつつ上空を睨み、腰の機攻殻剣に手をかける。

幻神獣の習性は肉食動物のそれに似ている。攻撃を仕掛けたものに反撃し、逃げようとした獲物を追う傾向が強い。地上から迂闊に手を出せば上空にいる幻神獣が反応し、眼下の観客席に攻撃を仕掛けるかもしれない。

故にライグリィは判断を迷う。

 

だが、今一匹の幻神獣の目の前にはリーズシャルテがいる。

 

教師として、一人の大人として、生徒を守らなければならない。

その時、幻神獣が突如吼えだす。

 

 

ギィイアアアアイイエェェエエアアアァァ!!

 

 

しまった!?と思ったときには幻神獣の両翼の一部から、羽根型の光弾がばらまかれていた。

 

射出方向は眼下。すなわち、この演習場の、

 

 

 

 

ーーー観客席。

 

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 

 

教官と生徒たちが、息を飲んだ、その瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蹂躙せよ、怒り狂いし破壊の竜。愚者を滅ぼす雷霆と化せ《レビディオラ》」

 

 

 

青白い雷が全ての光弾を焼き払った。

 

 

 

「アテム!!」

 

 

 

ルクスとリヒト、グレンが観客席に目をやると、アテムが濃紫色の装甲と金色の翼を持つ機竜《レビディオラ》を纏って光弾を青白い雷で焼き払っていた。。

 

「……何で幻神獣がこんなところにいるんだ?普通遺跡の周りにいるやつだろ、仮にこっちに来たとしても報告があるはずだぞ?」

 

普通こんなことは有り得ないのだが…、過去にもこういった出来事を見たことがあるのでそこまで驚く事でもない。まぁ、観客席にいる他の生徒やリーズシャルテは別だろうが。

 

その時、

 

ギィイアアアアイイエェェエエアアアァァ!!

 

更に十体のガーゴイル型の幻神獣が闘技場へ向かってきた。

 

「なっ…幻神獣があんなに…」

 

一匹でも脅威とである幻神獣が一三匹、 リヒト達も動揺していたが

 

「…おまえら、そっちの三匹頼めるか?」

 

アテムはまるで獲物を見つけた猛獣のような目で幻神獣を見つめながらそう言った。

 

「なっ…馬鹿を言うなお前!!幻神獣十匹を一人で相手にするなんて無茶だ!!」

 

どうにか《ティアマト》を落ち着かせたリーシャがアテムの言葉に慌てて彼を止めたが、

 

「リヒト、グレン、それとルクスにお姫様、お前らの闘い、スゲーいい勝負だったぜ。けどよぉ…あんなの見せられたら俺も闘いたくなってきちまったんだよ…だから、あいつらは俺によこせよ、最近まともな相手がいなくてウズウズしてんだからよぉ…あ〜闘いてぇ!!だから…邪魔すんじゃねーよ、そんじゃ行ってくる!!」

 

そのままアテムは十体のガーゴイルへと《レビディオラ》を纏って突進していった。

 

「リヒト、どうする!?あいつ一人にやらせるのは無茶だと思うのだが…」

 

リーシャは隣にいたリヒトに声をかけた。

 

「いや、まだ観客席の人たちの避難が進んでない。まずはあの三体を倒して避難が済んだらそのまま俺たちがアテムの援護に行く!!」

 

リヒトは《ゼルレウス》の長剣を構えて幻神獣の方を見た。

 

「でもどうすんだ?ルクスとリーシャさんは互いに消耗が激しい、俺は幻神獣一匹か二匹ならなんとかなるけど…」

 

「大丈夫だよグレン、僕にも考えがある。だからリヒトさんとグレンは二匹頼むよ」

 

グレンの問いかけに対するルクスの答えには迷いがなかった。それを見たグレンはふと笑うと

 

「どうやら問題ないみたいだな、だけど無茶はすんなよな。言っても無駄だと思うけど」

 

「よし、そんじゃ行くか」

 

考えがまとまり、彼らはそれぞれの相手へと向かっていった。

 

 

 

 

 

「ヤハハ、なんだよ結構集まってくれたじゃねーか」

 

その頃アテムは十体の幻神獣に囲まれながらも嬉々とした顔でガーゴイルを見つめていた。十匹のガーゴイルという脅威の前でも決して動じずアテムは笑みを浮かべその時、《レビディオラ》の周囲から青白い雷が現れ、

 

「さぁ、俺を楽しませてくれよなぁ!!!」

 

雷の竜が牙を剥いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

グレンはガーゴイル型の幻神獣に攻撃を仕掛けるが、ガーゴイルはその翼を使ってグレンの《大地の牙(アースファング)》の攻撃を躱していった。そして、翼から羽型の光弾を撃ちだしてきた。

 

「うぉっあぶね!!」

 

しかし、グレンも障壁を張ってガードをし、直撃を防いだ。

 

「ヤロォ…チョロチョロしやがって…俺のアカムトルムは破壊力はとんでもねーけど小回りはあんまり利かねーからな、やっぱり強力な一撃で一気に行くかか…」

 

グレンはそう言うと右手をガーゴイルの方へと向けた。

 

「ギギィ…」

 

ガーゴイルは野生の本能なのか、その右手に危機感を覚えたらしく、左右に避ける準備をした。

 

「いい判断だ…でも悪りーが意味ねーぞ。何故ならこいつは…」

 

ズガァァァァアン!!!

 

「周りもろともお前を仕留めるからな」

 

突然の衝撃砲をガーゴイルは咄嗟に避けようとしたがしかし、グレンの砲撃はガーゴイルと、周囲の瓦礫と一緒に吹き飛ばしてしまった。

 

 

《アカムトルム》の特殊武装《災厄の咆哮(ショックブラスト)》はただ衝撃砲を放つのではなく、チャージしてその威力と攻撃範囲を操れるのである。それによってグレンは幻神獣が回避できない広範囲へと衝撃砲を放ったのである。これには幻神獣もなすすべなく地面へと落下していった。

 

「こんなの人には撃てねーけど…」

 

そのままグレンは《大地の牙(アースファング)》を構えて突進して

 

ザシュッ

 

ガーゴイルの肉体を貫き、

 

ドガァァァァン

 

「てめーらなら加減しなくて済む」

 

爆発によってガーゴイルの体は完全に消滅した。

 

 

 

 

 

「ハァァァァァア!!」

 

リヒトとガーゴイルは空中で戦闘を続けていた。リヒトの《ゼルレウス》の機動力とスピードは機竜の中でもトップクラスの力を秘めており、ガーゴイルの攻撃も容易く見切っていた。

 

「ギギィ!!」

 

ガーゴイルはリヒトへと羽根型の光弾を連続して放ったが、

 

「甘い!!」

 

リヒトはそれらを見切り、ガーゴイルへ《七星剣(グランシャリオ)》の剣撃を浴びせた。

 

「ギィィィィイ!!」

 

ガーゴイルもさすがに堪えたらしく、リヒトの剣撃を警戒して空中へと逃げた。しかし、それはリヒト相手には愚策であった。

 

 

「《星光の竜尾(スターライトキャノン)》、解放」

 

 

 

すると、リヒトの《星光の竜尾(スターライトキャノン)》の先端が外れたと思うと巨大な砲身が現れた。

 

《星光の竜尾(スターライトキャノン)》の先端部分は砲撃の威力と精度を調整する役割がある。しかし、この武装の真の力はその先端部分を外し、主砲へと変換することで圧倒的破壊力重視の砲撃を放つことができるのである。

 

砲身に光のエネルギーがチャージされていく、ガーゴイルは本能で危険を察知し、逃走を図るが、もう既に手遅れである。ガーゴイルが空中へと逃げ、リヒトがこの武装を使用した時点でガーゴイルの敗北は決定していたのだ。

 

 

 

「…発射」

 

 

 

リヒトの声とともに巨大な光線が発射されガーゴイルは断末魔をあげることも出来ずに消滅した。

 

「ふぅ、こっちは終わったか、他のみんなは…」

 

「こっちは終わったぞ」

 

リヒトが周囲を見渡していると、グレンがリヒトへと声をかけた。

 

「グレン、無事だったか。ルクスたちの方は…」

 

そう言いながらルクスたちの方を見ると、

 

「ギッ…!?エ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!」

 

ルクスに射程距離に誘導されたガーゴイルがリーシャの《七つの竜頭(セブンスヘッズ)》によって撃破されていた。

 

「姉さんよかった、無事みたいで」

 

リヒトは安心してリーシャの方へと向かっていった。

 

「リヒトか、当然だ、前にも言っただろ?私はお前のお姉ちゃんだぞ?これくらい当然だ…まぁ、今回はルクスに助けられたがな…」

 

ふとリーシャの視線を見ると疲弊し気を失っているルクスが他の機竜使いに運ばれていった。

 

「さて、俺たちはアテムの援護に…」

 

 

 

 

「その必要は無いぜ」

 

 

 

 

『っ!!』

 

 

 

 

全員が声の方へと振り向くと無傷のアテムが《レビディオラ》を纏って降りてきた。

 

「アテム!!お前、ガーゴイルは…?」

 

「ま、肩慣らし程度にはなったな」

 

慌ててリヒトが闘技場の上へと行くと、

 

「っな!?これは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十体のガーゴイルが黒焦げになって山積みにされていた。

 

「これを…あの短時間に一人で…この男、やっぱり強い…」

 

リヒトは目の前の男の強さに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!!まさかあれだけのガーゴイルを倒しちまうなんてよぉ〜女王のやつ、厄介な連中を連れてきやがって…次は絶対ズタボロに…」

 

「うるさいよメル、周りに気付かれると厄介だよ」

 

「んだよバル兄!!文句あんのかよ!!」

 

「……静かにしろお前たち、この程度想定内だ…それに奴ら程度、邪魔するなら踏み潰せばいいだけだろ…」

 

「うっ…わかったよ」

 

「…悪い兄さん」

 

暗い路地裏に三人の男たちがいた。一人はボサボサの髪に小柄な体躯で顔に包帯を巻いた少年、二人めは薄い金髪を後ろで束ねた冷たい目をした男、そして三人めは全身傷だらけの筋骨隆々の大男であった。

 

 

 

「俺たちは必ず『アレ』を手に入れ…我らの悲願を果たしてみせる」

 

 

 

リヒト達へと暗雲が近づいてきた。

 

 

 





決闘終了!!

そして敵キャラ登場!!彼らの正体は…?








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