機竜対抗試合が終了し、一時間ほどが経った頃
体力を使い果たし気を失ったルクスは医務室へ運ばれそこのベッドに寝かされていた。
「ん…、あれ?ここは?」
意識が戻ったルクスはベッドから身体を起こした。
「ったく、やっと起きやがった」
「おっ、やっと目が覚めたか。」
「大丈夫か?」
「うわっ…!!グレン!?それにリーズシャルテ姫にリヒト王子も…!?と言うかここは?それに何で三人が…!?」
意識が戻った瞬間視界に急に二人が入り込んだのでルクスは驚いた。
「人の顔を見てその反応はないだろったく…わざわざお前を医務室まで運んでやったんだぞ。それと、リーズシャルテ姫がずっとお前を介抱してやったんだからちゃんと礼を言えよな。」
「なっ…!!おい貴様!!それは言わなくも良いじゃないかぁっ!!」
グレンの言葉にリーシャは少し顔を赤く染めた。
「別に良いじゃん、姉さんはむしろ誇れることをしたんだからさ、堂々と胸を張れば良いよ。」
「それは…、そうなんだが…、男を介抱したのは小さい時にリヒトのケガを介抱した時以来だったし……、医者と一緒に介抱したと言っても少し恥ずかしかったし……。」
リーシャはモソモソと言葉を濁した。
「……?」
ルクスはよく聞き取れなかったのか首をかしげる。
すると、リーシャは顔を真っ赤にしてルクスに向き直った。
「と、とにかくだ!!ルクス・アーカディア、傷は痛むか?その…、一応ここの医師の腕は良い筈なんだが…。」
「えっと…、その…ありがとうございます。僕なんかを手当てしてくれて…」
「…はぁー…。」
ルクスの発言にリーシャは溜め息をついた。
「ルクス・アーカディア、いやルクス!お前は謙虚なのか傲慢なのかさっぱりわからんヤツだな。帝国の皇族はみんなそんな感じなのか?」
「さぁ…僕は小さい頃に王宮を追い出されたのでよく分かりません…」
「そういえばルクス」
「な、なんですかリヒト王子」
「リヒトでいいよ。幻神獣が襲来した時、姉さんを守ってくれただけでなく姉さんの攻撃のチャンスを作る為の囮になってくれたんだって?ありがとう、姉さんを守ってくれて」
「その事についてだが…、私からも礼を言わせてほしい。ありがとう。」
リヒトとリーシャは頭を下げた。
「2人とも、この馬鹿に礼を言ったって無駄だと思うぜ。どーせあんまりよく覚えてないって言うだろーからさ」
「「はっ?お…覚えてない?」」
グレンの言葉に流石は双子と言うべきか、リヒトとリーシャの言葉はハモった。
「こいつはすぐ思ったことを実行しちまうようなやつでな、どーせ今回も気づいたら行動していたって感じだろ?」
「あ、あはは…」
グレンの言葉にルクスは苦笑いを浮かべた。
するとリーシャが口を開いた。
「まあとにかくだ!ルクス、お前は私や生徒を守ってくれたんだ。それだけで納得してやろう!」
リーシャはルクスに笑みを浮かべた。
「………結構さっぱりした方なんですね。
姫様って。」
ルクスは少し意外そうな表情を浮かべた。
「そうだぞ、私は実力のあるものには寛大なお姫様なんだ。……よしルクス、それにグレンも。私はお前たちを全面的に信じよう、だから…、約束を守ってやる。」
「約束?」
ルクスは首を傾げる。
「言っただろ、私がお前たちに戦いを仕掛けた理由だ。
あ…、『あれ』を見られたからにはお前たちをそのまま逃がす訳にはいかなかったんだ!!」
「………?」
「『あれ』って…、!!!っ。」
グレンは心当たりがなかったが何か思い出したのか、ルクスは顔を真っ赤にする。
「す…っ!すみません!全部見ちゃって……!
…――でも、綺麗でしたよ?」
「んなっ……馬鹿!!」
ルクスのデリカラーのかけらも無い言葉にグレンは慌てたが時すでに遅く
「お…、思い出させるな!…このアホ王子!!」
リーシャは恥ずかしさのあまり、近くにあった軽い金属製の花瓶をルクスの頭に直撃させる。
「あだっ!」
直撃して花瓶がコーンと鳴り、ベッドの上に落ちた。
「私が言いたいのはっ……―。」
するとリーシャはスカートをスルスルと脱ぎ始める。
「えっ…ちょっ…何を…っ?」
突然のことにグレンは取り乱したがリヒトが暗い表情をしたのに気づいた。
「その…、これがお前たちに決闘を挑んだ本当の理由だ……。あの時…、風呂場でこれを見られたから―…。」
「っ!!それって……」
グレンは何かに気づき一気に顔を強張らせた。
一方ルクスはリーシャの突然の行動に固まってしまっていた。
「……おいっ!黙るな!!私だって恥ずかしいんだ!!
確認したなら早く何か言ったらどうだ!!!」
「うえぇっ!?
…えっと、その、とってもよく似合ってますよ。
その白い下着――…。」
またルクスはデリカシーのない発言をした。
「なっ、なっ…!!!」
恥ずかしさのあまり顔を赤くして言葉を失うリーシャ。
「う…、うわぁぁっ!?黙れこのどエロ!何処を見てるんだ!死ねっ!!!」
「ど、どこをっ!?」
「お前はどうしてそんなに馬鹿なんだ!!そっちじゃなくて!!よく見ろその上だよ!!」
グレンはルクスの後頭部にげんこつを食らわせながら怒鳴った。
「痛っ!?う、上って…っ!!それってまさか…その紋章は…」
ルクスはリーシャの下腹部にあるマークを凝視する。
「もしかして旧帝国の…!?」
「やっと気づいたか…」
「悪いな、こいつは俺より馬鹿なんだ。」
リーシャはスカートを戻しながらため息をついた。
「さっきの反応からまだ誰にも話していないんだな?」
リーシャは話しながらルクスのベッドの正面の椅子に腰掛ける。
ルクスはコクッと首を縦にふった。
「でも、一体どうして…?」
ルクスはその紋章の事について聞く。
「…それはまだ教えられない。
だけどこの事はリヒトとお前たちにしか話していないんだ、だからお願いだ、この紋章の事は誰にも言わないでほしいっ―…!!」
「俺からも頼む…どうかこのことだけは…」
2人はそう言いながら頭を下げた。
「大丈夫です。誰にも言いませんよ。」
「だから心配すんな。」
「!!、本当か!」
リーシャはガタッと椅子から立ち上がる。
「はい。」
「この機攻殻剣(ソードデバイス)に誓うぜ。」
「……よかった。」
2人の言葉に安堵したのか、リーシャは再び椅子に座る。
「よし!ではこの件は一件落着だ。
お前たち2人は正式に明日からこの学園に来てもらうぞ?」
「……あ、そう言えばそんな話でしたね…。」
「それじゃああらためて自己紹介といこうか」
リヒトは笑みを浮かべながらルクスに手を差し伸べた。
「リヒト・アティスマータだ。リヒトって呼んでくれればいいよ」
「よろしくリヒト。」
そういうと、ルクスはリヒトの手を握った。
「グレン・ハーヴェイだ。よろしく頼む」
そう言いながらグレンもリヒトと手を握った。
こうして彼らの間に起こった騒動は幕を閉じた。
「なるほどな、そういうことか。」
ドアの前ではアテムが彼らの会話を聞いていた。
「ここから先の詮索は野暮みたいだな。」
そういうと、アテムは静かにそこから去って行った。
次の日―、クラス担当の教官、ライグリィ・ハルバートは教卓に両手をつけ、
「いきなりだが、4人の編入生を紹介する。
入ってくれ。」
教官の言葉に、リーシャとゼストを除いた他の生徒達は少しざわついていた。
「どんな子だろうね?」「いきなりだね。」等の声が回りから聞こえてきた。
すると、教室に、リヒト、ルクス、アテム、グレンの4人が入ってきた。
「と言うわけで、彼らが今日からこの学園に通うことになったリヒト・アティスマータ、ルクス・アーカディア、アテム・ライバート、グレン・ハーヴェイだ。
皆、慣れない事も有るだろうが、仲良くしてくれ。」
すると、教室は一瞬静寂に包まれ、教室内は先程とは違うざわめきで満たされた。
しかし、彼らはそれに負けることなく自己紹介をこなした。リヒトたちが自己紹介を終えると、
「私がこのクラスの担当教官ライグリィ・ハルバートだ。よろしく頼む。」
「はっ、はいっ!」
緊張と戸惑いがごちゃ混ぜになりながらもルクスはライグリィに返事をした。
「それじゃあ席はどこか空いているところを座れ」
ライグリィの指示に従ってリヒトたちは席に向かって言った。
ルクスはリーシャに呼びかけられそこへ向かって行った。
同様にリヒトもその近くがまだ空いていたのでそこへと座った。
アテムはすでに仲良くなっているティルファーの元へと向かっていた。
グレンもどこか空いている席を探していると、
「あ、グーちゃんだ。」
突如声が聞こえ、そこを振り向くと、窓際の一番最後の席に座っていたピンク色の髪の毛の少女であった。
「…お前、フィルフィか?」
彼女はフィルフィ・アイングラム、ルクスとグレンの幼馴染であった。
「うん、そうだよ。」
自分の名前をグレンに呼ばれたのが嬉しかったのか、再開を喜んでいるのか、フィルフィは嬉しそうな表情を浮かべた。
「えっ!?フィルフィいるの!?」
「ルーちゃんも久しぶり。」
ルクスも幼馴染に気づきこちらを振り向いていた。
「なんだ、二人は知り合いか?」
先程のグレンとフィルフィのやりとりを聞いていた教官はグレンに聞く。
「あっ、はい幼馴染です」
「そうか…、ちょうどアイングラムの隣の席が空いているな、よし!今日からそこに座れ。」
教官も色々と察しているのだろう、グレンの席をフィルフィの隣の席に指定した。
「よし、全員の席も決まったことだし、これから授業を始める!!」
そして授業が始まった。ルクスもリヒトもリーシャたちから教科書を見せてもらい、アテムもティルファーに見せてもらっていた。
「フィルフィ、俺にも教科書見せてくれ」
そう言ってグレンもフィルフィに教科書を見せてもらえるように頼むが
「…………(プイッ)」
フィルフィは少し拗ねたように顔を背けた。
「えっ…?フィルフィ?」
「……フィーでしょ?」
どうやらグレンの呼び方が変わっていることが気に入らないようだ。
「えっ…イヤイヤイヤ、確かにちっちゃい時はそう呼んでたけど…流石に今は…」
「…………」
フィルフィからは反応がない
「えっと…フィルフィさん…教科書みせて…」
「…………」
反応はない
「あの〜……」
「…………」
反応はない
「あーもう!!わかったよフィー!!わかったから教科書見せてくれ!!」
とうとうグレンは顔を真っ赤にして折れた。すると、
スッ
「はい、グーちゃん。」
嬉しそうな顔でフィルフィが教科書を渡してきた。
その時、
「かわい〜」
「フィーだって〜」
「あの2人そういう関係なんだ〜」
それを見ていた生徒数名がキャーキャー言っていた。
その日、グレンは授業の間ずっと顔から湯気を出していた。
遅くなりました!!
「光に集う竜」投稿です!!
また少しずつですが書いていきますのでよろしくおねがいします!!