午前の授業を終え、昼になり、午後の授業が始まり、ようやく今日のスクールタイムは終了した。
「では、放課後も鍛練を忘れないように、では、解散!」
ライグリィ教官の一言で帰りのホームルームは終了した。
リヒトはリーシャの元へと向かい、ルクスは既にクラスの女子生徒や他のクラスの女子生徒にもみくちゃにされていた。その横でアテムはそれ様子を面白そうに眺めており、グレンはルクスの横で心配そうに眺めていた。。
「ねぇねぇルクス君、ルクス君っていろんな人の依頼とかを引き受けているって本当?」
「あ……うん、それが僕の義務だからね。」
ルクスの下には複数の女性たちが集まっていた。
「それじゃあルクス君、私からのお願い、聞いてくれる!?」
「あ、うん!大丈夫だよ。」
「あーっ!ずるい!私!私のも聞いて!」
「私も!私も!」
それをよそに女子生徒達はどんどん詰め寄ってくる。
「はいはーい!みんなー、一度に言い寄っちゃルクっちも大変でしょ?依頼があったら私がまとめるよーっ!」
「雑用依頼はこの箱に入れてねーっ!
そうそう日付も書いてさ、後で順番にやってもらお?」
すると、どんどん女子生徒達は仕事の依頼を書いた紙を箱に入れていく。
「えええええっ!?」
いきなりの展開にルクスは叫び声を上げる。
「あっ、ルクっち昨日はありがとね?私はティルファー・リルミット!ティルファーで良いから!!」
そして唐突に自己紹介をするティルファー。
「そ…、それはどうも―…、じゃなくてその箱は――!?」
ルクスもあたふたしながら返事をする。
「大丈夫だよ、ここの学園のみんなお金持ちのお嬢様だし!これでルクっちの借金も早く返せるよ!」
「は、はぁ…。」
そして依頼箱は山盛りになり、人だかりも無くなっていった。
「へぇ〜お前って雑用なんかやってんのか?」
その様子を見てアテムがルクスに話しかけた。
「あ、うん。それが僕の義務なんだ。」
ルクス・アーカディアは『咎人』である。
旧帝国の王子として今は新王国の恩赦を受け国民のあらゆる雑用を引き受けることになっているため、彼は周りから雑用王子と呼ばれていた。
「ん?よく見たら日にちが被ってる依頼もあるな…なぁルクス、いくつか俺がやろっか?なんか面白そーだし」
「アテム……いや、いいよ。これは僕のやらなきゃいけないことだから…」
アテムの申し出は嬉しかったが自身の義務としてルクスは断った。
「そうか?お前がそこまでいうならしゃーねーな。」
そう言うとアテムはヘラヘラ笑いながら去っていった。
「ルクス、よかったらこの後俺と鍛錬しねーか?」
すると、横からグレンがルクスに話しかけた。
「うん、ゴメンねグレン。少し今日の分をやったらすぐ行くよ」
「そっか、じゃあ先に演習場に行ってるよ」
そう言うとグレンは腰の機攻殻剣(ソードデバイス)を手に当ててそのまま外へと向かおうとした。すると、
ガシッ
「……グーちゃん、ルーちゃんが来るまで私と一緒に練習しよ?」
いつの間にかフィーことフィルフィがグレンの横にいた。
「フィー……ったくわかったよ。そんじゃあ一緒に練習するか」
「うん、演習場はこっちだよ。」
フィルフィはルクス同様、幼少期に一緒に遊んだ親友同士である。昔あることからフィルフィを助けてからグレンは彼女にこのように懐かれているのだ。
ちなみにグレンの次にルクスに懐いているのだがそれでもグレンにはそれ以上の感情がフィルフィにはあるのはまた別の話……
「リヒト、お前には悪いんだが今から私はやらなければいけないことがあるんだ。適当にその辺を歩いていてくれないか?用事が済んだらお前たちを呼ぶからな。」
「…………?別にいいけど…………どうしたの?」
「そ、それは後でのお楽しみだ!!わかったな!?」
突然リーシャにそう言われたリヒトは様子のおかしい姉に疑問を抱きながら仕方なく周囲を散策し始めた。
「あらリヒト君、久しぶりね」
突然後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには以前出会ったクルルシファーが立っていた。
「あ…………クルルシファーさん、お久しぶりです。」
「ちょうどよかったわ、貴方とお話ししたかったところだし」
そう言いながら優しく微笑む彼女はとても美しくリヒトはつい見惚れてしまった。
「な、何かご用ですか?」
「ちょっと王子の貴方に聞きたいことがあって…」
そう言うとクルルシファーはリヒトに近づき彼の耳元で
「…ねぇ、『黒き英雄』って知ってる?」
真剣な顔でそう尋ねてきた。
「…………っ!!それって…………」
「たった1機で――帝国の装甲機竜(ドラグライド)をほぼ全て破壊して、敗北へと追い込んだ怪物。所属も目的も不明。使い手は――新王国にさえ、確認されていない。故に旧帝国にとっては滅びの悪魔、新王国にとっては、伝説の英雄として語り継がれている」
「…………えぇ、知ってます。」
リヒトは顔を強張らせて呟いた。
「その反応…………もしかして貴方も」
「はい…俺もその『黒き英雄』を探してるんです。」
その言葉にクルルシファーは少し残念そうな顔をした。
「…………そう、他国に留学していた貴方なら何か知ってると思ったんだけど…」
「悪い、役に立たなくて…」
「ところで貴方は何故『黒き英雄』を追ってるの?」
クルルシファーの質問にリヒトは少し黙ったが質問に答えた。
「『黒き英雄』を超えたいから」
あの日、俺は見た。数えきれないほどの旧帝国の装甲機竜を薙ぎ倒す漆黒の機竜を。姉さんを救いたくても救う力が無かった自分にとって『黒き英雄』はまさにあの時の自分が欲した力そのものだった。だからこそ俺は強くなりたかった。いつか『黒き英雄』を超える機竜使い(ドラグナイト)になって大切な人たちを、姉さんを護れるようになりたいと…………
「そう、わかったわ。それじゃあお互い何かわかったら報告し合いましょ?」
そう言うと、クルルシファーはリヒトに背を向けて去っていった。
「リヒト、もう良いぞ。こっちに来い。」
しばらくしてリーシャがルクスを連れてリヒトを迎えにきたのでリヒトはリーシャについていった。
「おっリヒトにルクス、お前も来いって言われてたのか?」
すると、途中でアテムとグレンに合流した。
そしてとある一室に連れられ扉を開けると、
「「「編入―、おめでとう!!!!!」」」
クラスメイト達が一斉にリヒト達を祝福した。
「えっ!?、えっ!?」
状況を飲み込めないルクスは「えっ!?」という顔をしている。
「…まあ、私たちが寄り合って企画した簡易的なものだがね。君たちをもてなすには粗末かも知れないが、我慢してくれたまえ。」
シャリスは少し苦笑いをする。
「うんうんっ!料理はみんなの手作りだけど、私の作ったヤツは探さないでね!スッゴいヘタだから!!」
「No、ティルファー、それはこの場で言うべきではないと思います。」
ノクトはティルファーに冷静なツッコミを入れている。
「いやいや、女子の手料理なんて男にとっちゃ極上のおもてなしだ。ありがとな」
アテムはヘラヘラ笑いながら感謝の言葉を述べた。
「グーちゃん、ルーちゃん、これから一緒だね」
フィルフィが暖かい目でグレンとルクスを見つめていた。
「そうだな、また3人揃う日が来るなんて嬉しいぜ。な、ルクス」
「うん、僕も嬉しいよ」
グレンとルクスはフィルフィに優しい笑みを見せた。
「リ、リヒト…その、だな、…―私ははっきり言ってこういうパーティーみたいな行事は苦手なんだ。だから…、お前たちが喜ぶかよく分からん。でも一応、やっといた方がいいかと思ってな。」
リーシャとは照れながらリヒトに聞いてきた。
「ありがとう、スゲー嬉しいよ姉さん」
「そ、そうか!!それは良かった。」
リヒトの言葉にリーシャは嬉しそうに笑った。
「では新しい仲間の編入を祝って…乾杯!!」
「乾杯!!」
会場の生徒やリヒトたちはリーシャに続いた。
こうして開かれた歓迎会は夜遅くまで続いた。
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