母「英助! おきなさい! お友達がきてるわよ!」
友達…?
俺学校で友達作ったっけ?
俺の名前は鏑木 英助(かぶらぎ えいすけ)。
学校へ行っても誰とも喋らず、ただ勉強するためにしか外出することはなく、スポーツもしない。
不思議と体つきはしっかりしていて、ボッチだからといっていじめられることもなかった。
話しかけるほうが珍しい。
英「どちら様…?」
母「女の子! 待たせちゃ悪いから早くしなさい!」
女子…?
あれ、そんなゲーム展開にした覚えはないぞ?
酒も飲んでない!
?「あ、お母さん、上に行って起こしてもいいですか?」
母「ごめんなさいねぇ…お願いするわ」
この声…
どっかで聞いたことあるようなないような…
トントンと階段を上がる音がする。
俺はまだ眠いんだ…
時計時計…って6時!?
早過ぎないか?
目を擦ってフトンから出ようとした時、部屋のドアが開いた。
?「鏑木君ね! さっさと学校にいきましょう!」
英「えーっと…どちら様?」
まったく記憶がない。
昨日だって学校行く→席に着く→HR始まるまで寝る→HR過ごす→授業の準備→授業→昼飯→昼休みは寝る→授業
のように誰とも話さず生活したはず。
いろいろと考えていたら、デコピンが飛んできた。
英「あたっ! ちょ、何すんの!?」
?「生徒会会長の名前ぐらい覚えなさいよ! 小峰 雛(こみね ひな)!」
小峰…小峰…
あ、アレか。
男子がうるさいから耳栓して寝ようと思ってた時に俺の高校で1番モテるけど全男子振ったとかいう噂つきの…
英「うん、噂でしか聞いてねぇや。 集会とか寝てるし。 なんだっけ、全男子振ったんじゃなかったっけ?」
雛「振ってないわよ。 皆一目惚れとかいう変な理由だから友達からって言っただけ。 それ以来近寄ってもこない」
って言うことは男子の被害妄想か。
お疲れ様。
でもなんで俺の家に?
英「なんでこんな薄暗い生活してる奴の家にくるんだよ…」
雛「ん? コレって…数量限定でしか発売できなかったゲーム!? なんでもってるのよ!?」
英「ちょ、それ高かったんだからな! お年玉全部それに費やしたんだからな!」
雛「噂以上ね…ここにきてよかった…」
ん?
噂ってなんだ?
俺が極度のゲーマーなんてことが学校に広まったとか?
雛「あ、ほかにも知らない続編とかある! アナタすごいわね…」
英「なぁ、噂ってなんだ?」
雛「えーっと…確か聞いた時は鏑木君は有名どころからマイナーなところまですべてのゲームを知り尽くしてるとか…」
なんで?
なんで分かった!?
雛「噂なんて気にしなくていいわよ。 それよりちょっと借りていい?」
英「大切に扱えよ。 全部初回限定版わざわざ頼んでるんだから」
雛「うっそ!?」
付いてきたアイテムは全部未開封で押入れの中のダンボールに入れてある。
ゲーム目的だからな。
なんで限定版にしたかって?
よく限定映像ディスクとか拡張ディスクとか入ってるから。
英「なぁ…小峰」
雛「何よ」
英「お前って…ゲーム大好き人間?」
雛「そうだけど?」
反論無し!?
まぁここまでオープンにゲーム話してればそうなるか…
雛「ここにきたのはゲームを見るためだけじゃないしね」
英「…?」
雛「鏑木君くらいしかゲーム話せそうな人いないのよ。 女子はゲームしないほうが多いし」
へー…
皆携帯でピコピコしてるほうが多いのか…
雛「かといってアナタ以外の男子と関わるのめんどくさいし」
皆打ちのめされてるからな…
自分から関わりに行って家でゲームなんてしてたら何されるかわからん。
英「んで、警備員まっしぐらの俺を選んだと」
雛「まぁ、ゲーム仲間欲しかったし。 それに…」
英「それに?」
雛「アナタはほかの男子とは違って私の理想の男性に近いわ。 いざとなれば頑張ってくれそうだし」
ってことは俺は話してもいないのに好意を抱かれているのか?
そんなバカな!
女子にチョコレート貰ったことがないし、女子にも話しかけない。
そして寝て勉強しか学校ですることがない俺がか…?
雛「まずはゲーム好きの彼氏ってところまでいけたらいいんだけど。 PCあれば絶対詰まないし」
英「俺を彼氏って正気か? いいこと一つもねぇぞ?」
雛「私にはメリットがあるの。 それにデメリットなんて一つもない」
ゲームをいろいろ見ていた小峰はこちらへ近づいてきて、手を差し出した。
雛「で、彼氏になってくれるの?」
英「別にいいけどよ…女子から変な目で見られても知らねーぞ?」
俺だって彼女は欲しい。
だが行動力がない。 会話力もあるとはいえない。 あるのはゲーム知識と学力。
顔だって普通だし、クマができることもしばしば。
雛「もともと生徒会長っていうレベルにいるから変な目で見られてるわ」
英「覚悟の上ならいいけど…」
そういって俺は小峰の手を握り返した。
一人は制服。 もう一人は寝巻き。
そしてあたりにはゲームが多少積んであるという状況で
俺は学校一の女子が彼女になった。