将来自宅警備員に彼女ができる話 完結   作:sinnsia

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10話

眩暈がする。

あまりの息苦しさに倒れてしまいそうだ。

 

でもコレを届けない限り俺は倒れてはいけない。

 

周りから見れば相当危険な状態の人間に見えるだろう。

でもそんなこと気にしたら駄目だ。

 

何度か転びそうになり、そして本当に転んだり。

肘や膝に擦り傷が出来る。

 

雛の家まで遠くは無いはずなのにつくまでの時間が異常に長く感じる。

 

 

英「はぁっ…はぁっ…」

 

普段から運動をしない俺にとっては全力ダッシュなど10秒も持たない。

だが家はもう目の前だ。

 

階段に躓きながらもチャイムを鳴らす。

家の奥からゆっくりとした足音が聞こえる。

 

雛「はい…って英助!? ごほっ…」

 

英「倒れてないな…これ…聴け!」

 

雛の耳に無理矢理イヤホンを付けさせ、MP3を流す。

 

雛「え…? 何コレ。 体の調子が良くなってく…」

 

熱で赤みを帯びていた雛の顔は少しずつ戻っていき、いつもの顔色に戻ってきた。

 

英「よかった…」

 

雛の回復を見届けると、途端に視界が暗くなっていく。

どうやら活動限界らしい。

 

玄関先で見事に頭から倒れた。

 

雛「ちょ、ちょっと! 英助!?」

 

_____

___

_

 

 

何かが転がっている音がする。

これは…何だ?

 

目を開けると寝そべっているのにも関わらず天井が動いている。

近くには白衣のナース達がこちらを見下ろしている。

 

英「…あれ?」

 

ナ「大丈夫ですか!?」

 

英「あ、はい。 ていうか何で俺搬送されてるんですか?」

 

ナ「突然倒れたとのことで連絡がありました」

 

えーっと…うん。そうそう。

雛を治してそこから記憶が無いのはぶっ倒れたからだろう。

 

 

英「すいません、ここの病院に瀬良さんって女性いますか?」

 

ナ「瀬良さん…。 瀬良さん…。 いますね」

 

英「俺もう元気だからそこに送ってくれませんか? あと携帯ってあります?」

 

ナースは流石に止めてきたが携帯をもらいうけ担架から飛び降りる。

 

ナ「あ、待ってください!」

 

呼び止めるナースを無視して受付へ走る。

腕についていた器具がはがれて多少痛いが気にしない。

 

受付の人に聞くと304号室らしい。

 

階段をのぼり、急いで304号室へ。

頭がズキズキと痛む。

おそらくメールの効果が残っているのだろう。

 

部屋のドアノブを握り、ドアを開ける。

中に転がり込むように入ると、眠ったまま目を覚まさずにいる瀬良の姿。

 

後ろから足音が聞こえる。

たぶん医者かナースだろう。

 

連れ去られる前に携帯を取り出して彼女にイヤホンをつけMP3を流す。

 

医「君! 何をして…」

 

医者が部屋に駆けつけるとベッドに倒れこんでいる少年と、眠りから覚めた患者が居た。

 

医「…えっ?」

 

瀬「ここは…どこですか?」

 

彼女は今までどうなっていたのかも分からず、なぜ自分がここにいるかも分からなかった。

彼女が目線を下げると少し成長はしているものの懐かしいと思う面影の少年が居た。

 

瀬「英助君…?」

 

英「Zzz…」

 

医者が呆然としている後ろからバタバタという足音とともに雛が飛び込んできた。

 

雛「英助っ!」

 

英「Zzz…」

 

だが起きない。

ただその姿を見て安心する。

 

雛「はぁ…いきなり倒れたと思ったら逃げ出してまで何しにきたんだか…」

 

呆れ返ってはいるもののその顔は嬉しそうだった。

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