英「そこまでする理由は何だ! オイ、黙ってんじゃねぇ!!」
父の胸倉を掴み、壁に思い切り押し付ける。
肺から酸素が抜け、乾いた咳を何度もする。
父「最初は…ゴホッ。 出来心だったんだ…」
英「出来心とかふざけんな!! 万引き犯じゃねぇんだからよぉ!!」
より一層壁に押し付ける。
いや、むしろ叩きつけるという表現があっているかもしれない。
父「私が…死んでも償えないのは分かってる…」
英「そんなこと聞いてねえ! なんで瀬良や雛を狙った!?」
父「お前の…才能を開花…ゴホッ。 …させるためだ」
その一言で英助の手は我慢ができなくなり、引き篭りなりの最高の力で思い切り顔を殴った。
殴られても父の表情に変わりはない。
英「…オイ。 俺がいつ俺自身の才能を開かせてくれってたのんだよ? あぁ!?」
父「……」
英「黙り込んでんじゃねえ!!」
もう一度父に拳がめり込む。
父「…本当に…すまない。」
英「そんなんで許せると思ってんのか!? てめぇは…」
「てめぇは息子が初めて好きになった奴を再起不能レベルまで叩き落したんだぞッ!!」
今は英助の才能が花開いて救えているからまだいいものの、英助が機械オンチだった場合一生戻らなかったかもしれない。
父「…」
英「…父親として最低だな。 もう二度と顔見せに来るな」
父「…私を殺そうとは思わないのか」
せっかく怒りが静まってきたところなのに、父の発言は英助の怒りを煽った。
英「ああ! 殺したいさ! 今すぐにでもなぁ!!」
父「じゃあなんで…」
今度は蹴りを入れる。
英「お前を殺したら…。 お前と一緒だろうがッッ!!」
「そんなことして喜ぶ奴なんざ一人もいないんだよ!!」
そう吐き捨て、部屋を後にする。
残された父親は、一言つぶやき、自分の携帯からある番号をかけた。
「本当にお前はやさしいんだな…英助」
1、1、0。
と。
建物を出ると、少し見覚えのある風景が目に入る。
おそらく、商店街の裏路地だろう。
中学生の頃瀬良と作った隠れ家は残っているのかな…
あやふやな記憶を頼りに、隠れ家を探す。
目当ての場所は…
あった。
そこには家からパクった座布団や、枯れ腐った木のテーブルがまだ残っていた。
もう繊維もくそもない座布団に座り、ミシミシと音を立てるテーブルに拳を叩きつける。
英「う…」
「うぁぁぁぁぁあああああああッッ!!」
自分が探していた犯人が父親であり、その父親のせいで大切な人が二回も傷ついた。
その真実だけで、英助の心はもう傷だらけだった。
英「クソがッ!! ふざけんな!! 俺は…俺は…!!」
「どうすりゃいいんだよ…。」
そこで意識は途切れた。