あの後、自分の部屋に母が入ってきて驚いたのは言うまでもない。
なんせ知らないうちにメイドさんが部屋に居るんだからな。
今、俺はメイド服から私服に着替えさせたカナを連れ、電車に揺られている。
行き先は、もちろん父親の入っているところ。
あの伝言がなければ絶対に行くことがなかっただろう。
英「くっそ…遠いな…」
カ「仕方ありませんよ英助。 それなりのところへ行かなければならないのですから」
英「まったく…何やってんだか…」
おそらく乗り継ぎ含め、2時間は経っているだろう。
もう少しで目的地だ。
特にそれ以降は話すことはなく、そのまま電車に揺られていった。
目的地のアナウンスが流れ、俺たちは電車を後にした。
多少手続きは面倒だったものの、時間はかからなかった。
そして、一面はさんで父親と対面する。
もちろん後ろにはカナだ。
英「よう。 元気にしてるか? 【親父】」
彼は驚いたように目を見開き、そして
父「元気だとも…英助…」
泣きながらそう返事をした。
カ「父上様。 私をこの世界にお招きいただきありがとうございます」
父「えっと、カナ…だったか。 身体は大丈夫なのかい?」
カ「すべては英助のおかげです。 ですよね、英助」
英「勝手に治ったのはお前だろ? 俺はデータ復元みたいなのしただけだ」
たぶん、普通の人が聞けば次元が違う話だろう。
ただ、この父と息子はできるのだ。
英「なんであんなことしたかは聞かないが、さっさと帰ってこいよ」
父「すまなかった…」
英「いちいち謝るなっつうの!! もういい。 帰るぞ、カナ」
カ「あ、英助っ! …すみませんが、私は英助を追います」
父「ああ、気にしないでくれ。 声が聞けただけでもがんばれるよ」
カナは深々と頭を下げ、英助のあとを付いて行った。
一人残った父親は、凄く清々しい顔をしていた。
父「アイツが…【親父】だなんて…。 カナは何を吹き込んだのか…」
帰り道。
カ「いいんですか? あんな帰りかたして」
英「いいんだよ。 あれで充分だ」
カ(これでも、英助なりに思いやってあげてるのですね…。 私は感動しましたよ…)
また電車に2時間程度揺られながら家へと戻ってゆく。
英「くっそ…もう眠いぞ…」
カ「着いたら起こしますから、寝てていいですよ」
英「悪ぃな…じゃ、頼む…」
夕方にしては人が少ない電車で、英助は眠り始めた。
カ「昔とずいぶん変わったものですね…英助…」
その頃、家では。
母「ごめんねー…英助でかけちゃってるの。 カナさんと一緒に」
雛「カナと一緒…? ってどういうことですか?」
母「なんだかね、お父さんが何かしたみたい♪」
雛「はい?」
こんな感じだった。