例えばこんな篠ノ之箒   作:々々

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箒ちゃん可愛い可愛いするアイディアが浮かばない。






原作1巻 その肆

 何やかんや有り、一夏が学級長に決まった。一夏の訓練に関してはIS関連の技術についてはセシリアが、戦闘については箒が受け持つこととなった。箒としては、白夜に頼まれた分も終わり、セシリアが一夏に惚れている事に気付いていたので全て任せるつもりだったが、セシリアが接近戦が苦手な事もあり引き続き一夏を鍛えることとなった。

 

 本人には秘密の状態で計画が進んでいる一夏の学級長就任お祝いパーティーが翌日に迫った金曜日の放課後、職員室で書類整理をしていた千冬の元に箒がやって来た。机の上の生徒、特に箒には見せられない、白夜に対する各国の抗議が書かれた資料を優先的に仕舞う。

 

「織斑先生少しお時間いいですか?」

 

「勿論構わない」

 

 近くにある丸椅子を引き寄せ、それに箒を座らせる。

 

「どうした篠ノ之」

 

「外泊届けを出しに来ました」

 

 手に持っていられる紙を差し出す。

 

「宿泊先は、雨宮の部屋か。なんだ?恋しくなったのか?」

 

「いえ、毎年この日に風邪を引くので看病をしたいと思いまして。特に夜になると体調が酷くなるので側付き添っておきたくて」

 

「何だツマランな。まあいい、その様な理由なら行っていいぞ。同室の鷹月への連絡を忘れるなよ」

 

「ありがとうございます」

 

 箒は職員室を出て、タオルなどを取りに行った。

 

「……アイツも変わったな」

 

「織斑先生お疲れ様です」

 

 一人呟く千冬に真耶がコーヒーを持って来た。

 

「対応の方はどうだ?」

 

「各国に納得して頂けました。しかしですね……」

 

「表向きは、だろうな」

 

「はい。返事の感じからもそう思われます。各国が彼の事を気に掛けるのは分かりますが」

 

 二人が思い出すのは数日前の白夜と箒の事だった。彼らの戦闘は一般人が理解できるレベルを超えていた。神業とも言えるほど高度な技術を互いに出し合い、ましてや箒は心眼を開いた。

 

「あれは凄かったですね。代表候補生だった頃を思い出しました」

 

「私もだ。篠ノ之から聞いた話だとあれでまだ本気じゃ無いらしい」

 

「凄いですね。あの若さでここまで強いとなると相当厳しい鍛錬を乗り越えて来たんでしょうね」

 

「しかしそれだけでは各国からこんなに警戒されると筈が無い。何かしら秘密があるのだろうな。私としてはこれ以上仕事が増えなければどうでもいいのだがな」

 

 あははと真耶が乾いた笑い出すのは仕方がない事だった。

 

 

 

「……んっ」

 

 苦しそうな声を出して目を開ける。いつも以上に体が怠く時計で時間を確認することも出来ない。今日休むことは予め伝えてあり、昨日の業務が終わった時点で体の調子が悪くなっているのに気付いていた。

 

(今まではは箒ちゃんが看病してくれていましたが流石にIS学園では無理でしょうね。思うように身体も動きませんし、もう一度寝ましょうかね)

 

 ほーっと天井を見て目を閉じようとする。

 

「目を覚ましたか白夜」

 

 台所からエプロン姿の箒が出てきた。

 

「箒、ちゃん?どうして?」

 

「苦しいなら喋らなくてもいい。温くなったタオルを今取り替えるから待っていろ」

 

 白夜の額に置かれたタオルを取り洗面台の今さっき変えてきた水に浸す。

 

「毎年同じ日に風邪を引くから看病をするのは当然だ。今年は離れているから無理だと考えていたが、同じ所に住んでいるからな」 

 

 適度にタオルを絞り、再び額に乗せる。

 

「お粥を作ったのだが食欲はあるか?」

 

 首を小さく縦に動かす。

 

「なら温めてくる。少し待っていてくれ」

 

 小さな土鍋を持ってくる。額のタオルを取り、上半身を優しく起こす。

 

「今お粥を冷やすから、その間にこれを」

 

 ストローを挿したスポーツドリンクを渡す。

 

「…ん」

 

 ゆっくりと口をつけて中身を飲む。久々の水分に乾いた喉が潤っていく。

 

「ふぅ、ふぅ。多分大丈夫だ、あーん」

 

「…ぁん」

 

(確か箒に初めて教えた料理はお粥でしたね)

 

 風邪を引いた箒に初めてお粥を作り、風邪治った後直ぐに初めて剣以外で頼まれたがお粥と作り方だった、ということを思い出した。 

 

「笑顔を浮かべてどうしたんだ?」

 

「いえ、昔の事を思い出しましてね。あんなに小さかった箒ちゃんが大きくなったなと感傷に浸っていました」

 

「昔の話は……」

 

「少し位は良いじゃないですか。ここに来てから一緒にいる時間も減ってしまいましたし。何より」

 

 何より生まれて初めて出来た家族ですから。

 

「何より、なんだ?」

 

「何でもありませんよ。箒ちゃんのお粥が美味しいのでもう一口下さい」

 

「食欲があるのはいい事だな」

 

 小さな土鍋だったので食べ切る迄にそれ程の時間はかからなかった。食べ終わった白夜はそのままもう一眠りしようとしたが、汗をかいていた為身体を拭いてもらう事になった。上半身だけ服を脱ぐ、鍛えられた肉体は白い肌に似合わず様々な傷跡が残っていた。

 

「いつ見ても勿体無いな」

 

 背中の傷跡に触れる。

 

「武の道を極めるのですからこれくらいの事は造作もありませんよ。それに今と違って治療を存分に受けられませんでしたし。出来れば箒ちゃんには跡の残らないように鍛えてきましたからね、このような傷とは無縁ですからね」

 

「私はそんなこと気にしないのだが」

 

「そんな事を言ったら駄目ですよ。箒ちゃんは綺麗な肌をしているのですから、武の道に生きるにしても生きないにしろ肌を大切にしてくださいね」

 

「う、うるさい!ほら!終わったぞ!!」

 

 剣や内面の事で褒められる事は多かったが、外見の事を惚れめられた事は少なく耐性が無いため、顔を真っ赤にした。背中を拭いていた為、白夜には知られずに済んだ。

 

 白夜を寝かせ布団を被せる。

 

「夜も遅いですし、今日はありがとう御座いました。箒ちゃんも夜更しはいけませんから、自室に戻ったら直ぐに寝るのですよ?」

 

「何を言ってる?私はここに残るぞ。白夜のかかる風邪は感染力が低いから私には移らんしな、病人を放ってはおれん」

 

「だから箒ちゃん…」

 

「病人は黙って看病されていろ」

 

 その後も箒に帰るよう白夜は言ったが、風邪薬を飲んだためすぐに寝てしまった。そして、自分から帰るように言ってたにも関わらず、箒の手を握っていた。

 

「これでは何処にも行くことが出来ぬではないか」

 

 自由な方の手で白夜の体の汗を拭く。

 

「偶にしか見ることが出来無いが、やっぱり綺麗な顔をしている」

 

 表情が笑顔で無い白夜を見れる時は寝ている時しかない。眠っている顔は起きている時とは違い、童顔なため雰囲気が違う。その頬に触れる。

 

「起きている時は恥ずかしくて出来無いが、寝ている時くらいは」

 

 柔らかい感触が伝わってくる。弱っている白夜など年に一度しか無いため、この光景が童顔なのも相まって箒の前母性を刺激する。

 

「いつになれば白夜に本当の気持ちを伝える事が出来るのだろうな」

 

 他の人の前では敬語を使って一定の距離を取っている風に見せてはいたが、二人っきりになるとやはり元の口調に戻っていた。

 

 手がギュッと強く握られる。

 

「私は何処にも行かない。安心してくれ白夜」

 

 その表情は完璧に恋する乙女のものだった。

 

 愛する者の手を握ったまま箒も眠りに落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前に広がるのは真っ赤な血の色。

 

 

 手に握られるは人の血を吸い過ぎ重くなった刀。

 

 

 周りに人は無い。

 

 

 刀を持った少年が一人。

 

 

 ざっくばらんに切られた黒髪は血でべたつき。

 

 

 着て服は殆ど原型を失っていた。

 

 

 またこの夢なのか。()()は思う。

 

 

 見るにも悲惨すぎる光景を只々傍観することしか出来無い。

 

 

 そこと立つ少年の目は光を失っている。

 

 

 暫くすると少年が倒れる。

 

 

 それと同時に少女は何も見えなくなり、夢を見たことを忘れる。

 

 

 これを思い出すのはこの夢を見る時だけ。

 

 

 もし覚えてたならば、夢に見た少年が彼女の近くにいる男だと気づいてしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん。私も寝てしまっていたのか」

 

 箒が目を覚ます。手を握ったまま不安定な状態で眠ってしまった為、白夜に上から覆いかぶさるように寝てしまっていた。

 

「箒ちゃんもう起きてしまったのですか?」

 

 既に白夜は起きており、それどころか箒の頭を撫でていた。

 

「看病してくれたお礼です。昔はこうやると凄く喜んでいましたね。ふふふ、今の顔を見ると今でも嬉しそうですね」

 

 照れている顔を見せないように顔をうずめるが、埋めた先は白夜の胸なので、白夜から見れば甘えてくるように見えていたとか。

 

 

 

 

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