ネコさま大王国で引きこもってネコを愛でたい   作:清瀬

12 / 14
「」が通常の台詞
『』が《伝言(メッセージ)》使用時の台詞
ということでお願いします。


12話

約束の日、ミネルバはネコ部屋でネコを愛でつつ、胃の痛みと戦っていた。

アインズ・ウール・ゴウンは対人戦になれば、絶対に勝てない相手である。

友好的に話をしたいといっていたが、あのDQNギルド相手にどこまで信用していいものか。

どうにか同情を買うなりして、ネコさま大王国を維持しなければならない。

しかし、相手はあの非公式ラスボスみたいな魔王様である。

同情が通じるような相手でもないだろう。

褒め殺しが通じるようなチョロイ魔王様ならいいんだけど。

せめて、中の人は常識人であってほしい。

そんなことを考えつつ、そばで寝ているネコの肉球をぷにぷにしてると、シノブが時間を告げてきた。

ミネルバは移動後、城門の周りに幻術をかけた。

しばらく待つと半円状の闇が現れ、アウラとマーレが出てきた。

 

「こんにちは、私たちが会談場所まで案内するように命じられてます。

 さ、転移門(ゲート)を通って」

 

アウラが元気よく挨拶を行った。

ミネルバと付き人のシノブを転移門(ゲート)へ入る。

転移門(ゲート)を抜けた先には、ログハウスと、その奥に霊園らしきものがあった。

ログハウス前にいた、金髪縦ロールのメイドと和風メイドが一礼する。

 

「ようこそ、ナザリック地下大墳墓へ。

 ログハウス内に会談場所へと続く、転移の鏡を用意しております。

 どうぞ、中へ」

 

「こっちこっち」

 

メイドさんとアウラの案内に従い、鏡をくぐると空が現れた。

周囲を見渡すと、闘技場らしき施設と森が見える。

目の前には、会談用と思われる大理石のテーブルとそこに座る死の支配者(オーバーロード)がいた。

ただ座っているだけなのだが、その姿がとても支配者にふさわしいとミネルバは感じた。

また、数人のNPCと思われる存在が控えている。

 

「私の招待に応じてよく来てくれた。

 さぁ、席にかけてくれ」

 

死の支配者(オーバーロード)が支配者の風格を漂わせながら言った。

さすが、ランキング上位ギルドのギルドマスターは違う、とミネルバは思いつつ、席に着く。

 

「まずは名乗ろう。

 私がナザリック地下大墳墓が主人、アインズ・ウール・ゴウンだ。

 アインズと気軽に呼んでくれて構わない。

 後ろに控えるのは、階層守護者たちだ。

 左から……」

 

それぞれの名前を紹介されている途中に《伝言(メッセージ)》が届く。

 

『あ、ミネルバさん聞こえますか?目の前のアインズです』

 

『……え?雰囲気が随分違う』

 

愛想のいい声に面くらいつつも、無表情のまま返す。

 

『NPCたちがこういう支配者を望んでいるみたいなので演じてます。

 あまり気にしないでくださいね』

 

『わかった。

 こっちの口調も癖みたいなもの。

 あまり気にしないで』

 

アインズの性格はミネルバよりもよほど人当たりがよさそうだ。

大ギルドのマスターも大変なんだなと思いつつ、紹介が終わったのでミネルバも紹介し返す。

 

「私は、ネコさま大王国の現ギルドマスター、ミネルバ。

 後ろに控えるのが庭の管理人、シノブ」

 

『あ、すみません、支配者ロールの一環でミネルバさんのこと呼び捨てでもいいですか?』

 

ミネルバの目の前の骸骨から軽い感じの《伝言(メッセージ)》が届いた。

 

『構わない』

 

「確認するが、ミネルバ。

 おまえは、プレイヤーだな」

 

「そう。

 他の者が来なくなっても最後までネコさま大王国を維持し続け、こちらに転移してきたプレイヤー」

 

「……ミネルバもか」

 

同情してもらえるようにと考えて言ったのだが、声音からは考えていた以上に効いたように思えた。

 

「ネコさま大王国には、ギルド外の者にも内部を公開し、多くのプレイヤーが訪れていたと聞くが?」

 

「たしかに、ネコカフェをギルド外に向けて公開していた。

 多くのネコ好きプレイヤーがネコを愛でに城を訪れていたが、転移の前には訪れる人はいなかった」

 

「そうか」

 

「ネコたちを、私が独り占めできていると考えればそう悪いことではない」

 

ミネルバは空気を変えるように、そう言った。

アインズは咳払いをし、話題を変える。

 

「他のプレイヤーに《伝言(メッセージ)》などは試してみたか?」

 

「試したが無理だった」

 

「やはりか。

 こちらに来てから他のプレイヤーとあったのか?」

 

「城に引きこもってたけど、他のプレイヤーと思われる者からの接触はなかった。

 帝国に発表してもらったから、プレイヤーがいるなら接触が来るなとは思ってたけど、まさかあのアインズ・ウール・ゴウンに声をかけられるとは思ってもみなかった」

 

「我がギルドのどのような話を聞いていたんだ?」

 

「ワールドアイテムを一番多く所持していたギルド。

 ギルドに攻めてきた1500人を返り討ちにした最強ギルド。

 かつての世界では、アインズ・ウール・ゴウンの名を知らないものはいなかったと思う」

 

ミネルバはユグドラシル一DQNギルド。

プレイヤーに直接精神的な攻撃を仕掛ける悪趣味な仕掛け満載のギルド拠点。

といった、悪名高い内容は伏せて話した。

守護者が誇らしげにアインズを見ている。

 

「そうか。やはり我らがギルドの名は世界に轟いていたか」

 

嬉しそう笑いながらアインズが言う。

喜びが大げさすぎて、演技だろうとミネルバは思っている。

 

「さて、ネコさま大王国として、今後の方針などはあるのか?」

 

急に平坦な口調に戻ったアインズが訪ねた。

 

「ネコを愛でて、静かに暮らしたい。

 ネコカフェをまた一般公開したいけど、それは優先度が低め。

 ……逆に、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの方針を聞きたい」

 

あのDQNギルドがどんな方針なのか。

さすがに、《伝言(メッセージ)》の口調からして、危ないことはしないとは思うが、聞いておく必要はあるだろう。

 

「アインズ・ウール・ゴウンの名を冠した国を作ろうと思っている。

 最終的には、アインズ・ウール・ゴウンを不変の伝説にすることが目標だがね」

 

「……建国?」

 

想像以上の大きな目標に、ミネルバの目が見開かれる。

 

「アインズ・ウール・ゴウンは有名だったからな。

 他にプレイヤーがいるなら、そんな国があれば接触を図ろうとするだろう。

 あるいは、こちらに来たかもしれない知り合いが訪ねてくるかもしれない」

 

『アインズさん、社長とか市長とかの経験あるの?』

 

『ただの営業ですよ。

 NPCたちに基本任せるつもりです。

 優れた頭脳持ちであるって設定が活きてますから』

 

「なるほど。

 どのような国にしたいか教えてほしい」

 

「どのような国か……」

 

アインズが黙り、意味ありげに空を見る。

 

『え……、アインズさん、まさか何も考えてない?』

 

『い、いえ、そんなことないですよ?

 ただ、なんといっていいものかと……』

 

アインズの焦った声が伝言(メッセージ)で伝わってくる。

 

「そうだな……。

 私にとってナザリックのものたちが一番大切だ。

 ナザリックの皆を愛しているといってもいい」

 

アインズの後ろに控えるものが大きく反応する。

特にアルベドとシャルティアの反応が特にすごい。

 

「しかし、アインズ・ウール・ゴウンの名を冠する国だ。

 そこに住まう者にも、多少の慈悲はくれてやるべきだと考える」

 

アインズは両腕を広げる。

ミネルバには、支配者としてとても堂に入った動きに見えた。

 

「ならば、理想郷を作ってやろう。

 彼らが永遠に被支配者でいたいと思えるような優しい夢の国を」

 

『人に優しい国を作るってこと?

 魔王ロールしながらだと言いにくいこと聞いてごめん』

 

『い、いえ、お気になさらず。

 あ、人間だけだと異形種が暮らしにくいですから、様々な種族が共存できる社会が理想ですね』

 

「無論、私の前に跪くのは人間だけではない。

 数多の種族が等しく跪くのだ」

 

アインズの後ろに控える者たちが恍惚とした表情で主を見ている。

実際、アインズは目を見張るような立ち振る舞いをする。

支配者としての一種の才能なのだろうか。

 

「なるほど、よく理解できた」

 

「さて、ミネルバよ。

 我らナザリックと協力関係を結ばないか?」

 

「具体的には何を協力する?」

 

ミネルバとしては国作るから手伝えと言われても、絶対無理と断るしかない。

 

「情報面だな。プレイヤーなりこの世界の強者の情報なり。

 あるいはこの世界独自の魔法やアイテムなど。

 こちらは王国の情報を主に集めているから、お互いにメリットがあるはずだが」

 

「基本、こっちは引きこもりだから帝国に流してもらった情報で、ネコさま大王国側で確認まではしてないけど大丈夫?」

 

「問題ないとも」

 

その後、情報交換を行った。

議題としては、やはり王国で暴れまわったヤルダバオトに関しての情報を多くやり取りした。

もし、足取りをつかめたら、優先的に始末しようと言ってくれたので、一安心だ。




・アインズ様
ミネルバの状況に自身を重ねつつも、3日間座り方から喋り方までイロイロ練習した成果はちょっとは出てたかなーと思ってます。

・情報交換の内容。
モモンの正体やシャルティアの洗脳、ヤルダバオトのマッチポンプについては語らず。
傾城傾国については、昔、精神効果無効のプレイヤーっぽい人すら洗脳したアイテムがあったらしい、何か帝国では伝わってない?くらいしか聞いてません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。