「第3位階《
ミネルバは城外にて、弟子であるフールーダに魔法を見せる。
違いがわかりやすいように、下位の魔法から順に使うというサービスつきだ。
「素晴らしい!
素晴らしいのですが……ぬう……」
「やはり、魔法に関する糸口がつかめない?」
「はい。申し訳ないです」
不甲斐ない自身が許せないというようにフールーダが言った。
「別に構わない。じっくりと取り組むといい」
ミネルバに何か具体的なアドバイスができるような知識はない。
何回か魔法見せてちょっと応援だけして終了、というのがなじみの形式となっている。
ただ、これで高位階の魔法を使えるようになるにはどれだけ時間がかかるのか、そもそも使えるようになるのかは、ミネルバはよくわかっていない。
経験値ブースト系の装備渡して、モンスター狩ってこいとかいったほうが、ユグドラシル的には可能性が高い気がする。
あまりにも、糸口がつかめないようならそれもいいかもしれないが、もうしばらくはこのまま魔法を見せるべきだと、ミネルバは考えた。
「もう一度、魔法を見せよう。……と、ごめん」
フールーダに謝りつつ、《
『ミネルバさん、アインズです。今お時間大丈夫ですか?』
『構わない』
『実は、私と皇帝と会談の機会を設けたいなと思っておりまして、皇帝のアポとって欲しいんですよ』
ミネルバにとっては面倒事だが、アインズ・ウール・ゴウンとは仲良くしておきたい。
『別に構わないけど、どう話す?
国を建てようとするアンデッドが皇帝との会談を希望してます、で頷いてもらえる気がしない』
『アインズ・ウール・ゴウンが皇帝との会談を希望している、と切り出して、ミネルバさんと同郷であることや、
それで頷いてくれるはずです。
種族やギルドの過去話は止めておいてください』
『分かった。結果は《
『ええ、よろしくお願いします』
《
フールーダは何があったのかと言いたげな表情で、ミネルバを見ている。
「フールーダ、皇帝に話ができた。転移で帝城に飛んでいい?」
「はい。ミネルバ様はいつでもお通ししろと言われております」
「魔法で帝城前に飛ぶから抵抗しないで。
《
あらかじめ《
ちなみに、腕をつかむなりすれば一緒に飛べるのだが、ミネルバはそれをしなかった。
帝城そばに着くと、魔法について驚くフールーダを適当に流しつつ案内を頼む。
すぐ応接室に案内され皇帝もすぐに現れた。
ジルクニフは笑顔で、ミネルバに挨拶を行う。
「久しぶりだな。ミネルバ殿。なんでも話ができたとか」
「アインズ・ウール・ゴウンが皇帝との会談を希望している」
「そのゴウン殿とは、どのような人物なのだ?」
「同郷の
アインズに言われた通りにミネルバは答えた。
皇帝はひとつ咳払いをして、答えを出した。
「わかった。会おう。日付や場所はどうすればいい?」
「ちょっと待って。《
ミネルバはアインズとジルクニフの会話を中継し、日付や場所を決める手伝いをした。
建国にあたり、帝国と協力関係を結ぶための会談と思いこの時は軽く流していた。
◆◆◆
会談の際にみた、アインズ・ウール・ゴウンの力は凄まじいものだった。
フールーダも奴を魔法の神だとあがめてしまった。
奴の存在は、国の危機というレベルではなく、人類という種族の危機である。
奴の仲間を寝返らせるなど、あらゆる手段を使って、アインズを滅ぼさねばならない。
ジルクニフはミネルバを待つ間に改めて決意した。
しばらくすると、いつものとおり人形のようなミネルバが入ってきた。
「やぁ、ミネルバ殿、久しぶりだな」
いつもより、人に好かれる笑顔を心がけて、話しかける。
「久しぶり。今日はいきなりどうしたの?」
「実は最近ネコを飼い始めてな」
「おお!」
ミネルバが大きな反応を見せた。これはいい傾向である。
「ネコを可愛がる際のコツを聞きたいと思ってね。
あとは、フールーダから聞いたネコの部屋も見てみたい」
「わかった。まずはネコ部屋に移動しよう」
ネコ部屋に移動したが、驚くべき種類のネコがいた。
また、どのネコもよく世話をされていることが読み取れる。
ジルクニフには可愛いだけで役に立たないペットを飼うというのはよくわからないが、そういうのが好きな人物がいるというのは理解できる。
「素晴らしいな。どのネコも、とても可愛いじゃないか」
「この城の自慢だからね」
ミネルバはわずかに誇らしげにそういった。
数匹の猫がミネルバに近づいてくる。
「まずはネコの撫で方を教える。
ネコも当然、自分のペースというものがある。
ジルクニフも、食事中に、他人に撫でられるのは嫌なはず」
「たしかに。ネコがいいという時に撫でろと、そういうわけだね」
「そのとおり。
ネコは高い位置から手がくると警戒する。
低い位置、横から手をそっと移動させて撫でるのがいい」
この後も、ネコの撫で方、ネコとの遊び方などを教えてもらいつつ、親交を含めていく。
アインズと同郷である高位の
帝国の知らないアインズの情報やあるいは弱点なども知っている可能性が高い。
慎重に、そして、確実にミネルバはこちら側に寝返らせる必要がある。
◆◆◆
庭でおねむの
『こんにちは、アインズです。今、大丈夫ですか?』
『構わない』
『実はですね、帝国とアインズ・ウール・ゴウンが同盟関係を結ぶことになりまして、王国との戦争に協力することになったので、そのご報告と相談をしようかと思って連絡したんですよ』
いきなり、アインズが爆弾発言を行う。
『戦争って、大丈夫?
戦力的には問題ないだろうけど……精神的な面で』
一応、ただの営業といっていた人にリアルな死が耐えられるのか心配である。
『ああ、そのあたりは問題ないです。
どうも、こっちにきてアンデッドになったせいか、人殺しをしても嫌忌感がないんですよね。
もちろん、わざわざ人殺しをしたいとも思いませんけど』
アインズは普段の《
人殺しをしても嫌忌感がない、すでに人を殺害済みなのだろう。
ミネルバの背筋に冷たいものが流れた。
『ナザリックの土地が王国よりの場所なので、アインズ・ウール・ゴウンの国を建国するためには必要なことなんです。
それでですね、皇帝から一番強い魔法を使ってくれと言われているんですよ。
超位魔法をぶっ放そうとは思ってるんですが、その魔法の相談です』
『と言われても、アインズさんの使える魔法を知らない。
候補があるなら、それを聞きたい』
『《
派手だしユグドラシルの人気魔法だったじゃないですか?』
『魔王ロールにはぴったりの魔法だと思う。
ただ、見た目邪悪すぎて世界の敵になりかねない気がする』
『ああ、天使召喚系のほうがいいですかね?
超位魔法で呼び出せるのは、たしかLV90とかそのあたりの天使である。
どう考えても、大虐殺にしかならない。
この世界だと仕方のないことなのかもしれないけど、もう少し穏便に済ませてほしい。
『魔王ロール的には選別するのもいい。
まずは、私と戦う権利があるか確かめてやろうと宣言して、広範囲に睡眠魔法撒いて眠らせる。
起きてる奴に、私と対峙する権利のあるものはお前達だけか死を恐れぬならかかってこい、とか』
もう止めようがなさそうなので、ミネルバは比較的穏便な案を提示してみた。
『おお、いいですね!かっこいいです!
あ、でも眠りだとぶん殴って起こすの連鎖が起きちゃいそうですね』
『そのあたりは別の状態異常に適当に変更して。
一番強い魔法じゃなくても、大体行動不能にすれば帝国も文句ないと思う』
『ありがとうございます。
参考になりました。
もうちょっと考えてみます』
人が死ぬのはミネルバにとってあまり気分のよいものではないが、かといって、積極的に首を突っ込みアインズ・ウール・ゴウンを否定してまで止める気もしない。
見知らぬ他人とネコさま大王国どちらが大事かと聞かれた時、ネコさま大王国と当然答える。
意見を求められれば、なるべく穏当な意見は言うつもりではある。
だが、それだけだ。
これは、自分の身を守るためでもある。
見知らぬ他人には悪いが、諦めてほしい。
この世界も、結局のところ弱肉強食なのだ。
そばで眠るライオンを撫でながら、ミネルバはそんな風に割り切ろうとした。
ミネルバが引きこもってるうちに、第7巻~第9巻のほとんどが終了。
・ワーカーチーム生存
アインズはモモンとしてフールーダに接触しておらず、フールーダがナザリックへワーカーを送り込む提案はしていない。
ワーカーチームのナザリック行きはなくなった。
フォーサイトの面々はいいが、天武のエルフ奴隷はあぶないことに。
・ミネルバを通じて帝国とナザリックの会談開催
フールーダが我が神ペロペロしたのはこの会談の途中。
フールーダが寝返るほどのアンデッドが国作りたいとか言い出したため、皇帝は同盟関係結びたいと言って大連合を作るためのスパイ活動を行うことに。
会談結果は、ほぼ原作と同じ流れになったということでお願いします。
・寝返り対象
ジルクニフが寝返らせる対象にミネルバも含めた。
というか、ジルクニフは人間だと思っているので、一番有力株扱い。
なお、デミウルゴスは皇帝がそう動くだろうなと理解しているが、ミネルバの行動は読みきれていない。
アインズ様がネコさま大王国は保護するつもりだが、仮に敵に回ろうともどうとでもなるとおっしゃるので、この一件を踏み絵として、帝国に味方するようなら滅ぼす予定。