ネコさま大王国は大きく分けて4つのエリアからなる。
まずは、1つ目は庭。
入手直後はなかったエリアだが、後に拡張された。
城と城壁の間のエリアで厩舎や畑が存在する。
ネコ耳ニンジャメイド、シノブが管理人という設定のエリアだ。
テイムした大型ネコモンスターとお世話用のテイマーNPCが配置されている。
モンスターは番犬ならぬ番猫で、シノブとともに周囲の警戒を行っているという設定だ。
なお、ここのネコ達には『
テイムモンスターの睡眠と飲食が不要になるというアイテムだ。
ギルドメンバーが多い、稼ぎの多い時期はつけてなかったのだが、テイムモンスターは特に食費がかさむため、ギルド費用低下のためにつけざるを得なかった。
不要ではあるが、飲食や睡眠自体ができなくなる首輪ではないため、首輪を着けて以降もたまに餌を与えていたのだが……。
ミネルバとしては、窮屈な思いをさせてすまないと考えている。
2つ目は1階、ネコさまエリア。
ネコさま大王国のメインエリアもいえる。
金髪縦ロールのネコ耳テイマー、ヒメが管理人という設定のエリアだ。
ギルド外のお客様用にネコと戯れることが可能なネコカフェ、キャットウォークなどのネコ用の設備やお世話用NPCが配置された大小様々なネコ用の部屋、お世話用のNPCの私室などがある。
ネコの種類も様々である。
アメリカンショートヘアやマンチカン、スコティッシュフォールドやペルシャネコ、ロシアンブルーなどなど。
ギルドの課金は大半はこのエリアのための課金となっている。
ネコ達が快適に過ごしつつネコを愛でるためのエリア、それがこの1階、ネコさまエリアとなっている。
3つ目は2階、ネコクイズエリアだ。
ネコ耳白衣のハカセが管理人のエリアだ。
その名のとおり、ネコに関するクイズに正解すれば先に進める仕様となっていたが、今現在は、ギミック代をけちるため、すべての扉は開け放たれている。
ギルド攻略戦の際はここで時間を稼いで、援軍を集めるという戦術が基本だった。
ネコさま大王国は攻めるメリットの薄いわりに、ギルド外のネコ好きを援軍として呼び出せるギルドだ。
そのハイリスク・ローリターンっぷりが原因か、ギルド防衛戦を行ったことは片手で数えるほどだった。
4つ目は3階、生産エリアだ。
2階と同じく、ハカセが管理人のエリアだ。
2階からの階段を昇ってすぐに戦闘用の大部屋がある。
その大部屋を抜けると鍛冶部屋や錬金部屋などの生産施設や宝物庫やギルド武器安置部屋などが存在する。
なお、1階、ネコさまエリアと比べるとあきらかに作りが雑である。
1階は一部屋ごとに細部まで気合いを入れた作りだが3階は適当にコピペして配置しただけ感があふれている。
ネコは関係ないけど、必要だから作ったそんなエリアである。
なお、シノブ、ヒメ、ハカセはすべて男性メンバーが製作した。
男性メンバーが殴り合いの喧嘩をしながらも、情熱と夢と浪漫と何かイロイロを詰め込んで完成した至高のNPCだそうだ。
完成時、男性メンバーは皆、肩を抱きお互いをたたえていた。
ミネルバとしては何か言いたい気持ちもあったが、あの盛り上がりを見て、何かいう勇気はなかった。
実際、非常にかわいらしいし、いい出来だと思うのだけれども。
ミネルバはそんなことを思い出しながら、2階にたどり着いた。
ギミックの起動は実際にしてみないとわからないが通り抜ける分には、特に問題なさそうだ。
ただ、再起動しても、時間稼ぎが可能だとしても、援軍を引き連れることは難しいだろう。
3階の戦闘用の大部屋についた。
一辺50mほどの広さがある。
高さも25mほどあり、あきらかに外からみた城の大きさと矛盾するのだが、空間魔法という便利なものがどうにかしている設定だ。
スキルのチェックを行うには一番向いた部屋だ。
ミネルバは
外見の変化に関しては、いろんなネコになりたかったからという単純な理由で選択しており、戦闘においてはあまり役立てる気はなかった。
姿を変化させる時は、逃げ足が速い姿に変化させる時や、ちょっとしたアイテムを生産する時くらいなものだ。
平たく言うならば、ミネルバはLv100プレイヤーにしてはかなり弱い部類に属する。
とはいえ、レベルに任せたごり押しとはいえ、ソロでギルドを維持するお金を稼いでいたのは事実だ。
魔法さえ使えれば、最低限は戦えるだろう。
ミネルバの確認の結果、魔法は問題なく使えた。
変化も問題なかった。むしろより使いやすくなっていた。
ユグドラシルでは変化を使った際、システムの限界なのか操作に違和感を覚えたが、この世界では変化を使った際、操作に関しての違和感は全くなかった。
ミネルバはこの体が間違いなく自分のものだと思えた。
アイテムも問題なく出し入れできるようだ。
装備で各種耐性も上昇させている。
課金で指輪装備枠を増やし、10個装備している状態だ。
精神が比較的落ち着くのも、精神耐性の指輪のおかげなのかもしれない。
これだけの条件がそろっているなら、少なくとも、格下相手に負けることはないだろうし、相当やばい相手でもない限りは逃げることできる。
そう、ミネルバは確信した。
3階の戦闘用の大部屋を抜けた先にハカセはいた。
ネコ耳、ネコ尻尾に、ぼさぼさのくせ毛を左右で束ねた猫背の女性だ。
磨けば光りそうなのに、外見は気にせず、白衣をダラッと羽織ってる。
「ミ、ミネルバ様、ご、ごご、ご用件は?」
ミネルバに気付くと、スリッパをパタパタと鳴らしながら小走りで近づいてきたハカセはそう尋ねた。
細かい設定までは覚えていないがこんなキャラだったんだと、ミネルバは驚いた。
NPCの棒立ち状態だと、もう少し落ち着いたキャラにも見えたためである。
「ネコさま大王国が、城ごと異なる場所に転移した。
その転移の影響で3階の各施設に影響が出てないか確認してほしい。
それと1時を目途にネコカフェに来て。
管理人3人と私で情報共有を図りたい」
「あの、宝物庫はどうしましょうか?」
宝物庫はギルドメンバーの証の指輪がないと出入りができないようになっている。
要するに、ミネルバ以外は確認できないということだ。
「私が確認する」
「わ、わかりました。他の部屋を早速確認してまいります」
パタパタとスリッパを音を立てながらハカセが去っていった。
その後、ミネルバは宝物庫を確認したが、特に問題なかった。
貯められた金貨をギルド維持費として使えば、かなりの期間は持つとわかった。
しかし、永遠に続くわけではない。
外で稼ぎの手段を用意しないといけない。
装備なども置いてあるが、現状のもので構わないだろうと判断した。
ミネルバは念のため、ギルド武器安置部屋に向かった。
ギルド武器安置部屋、通称は「ネコの像の部屋」だ。
部屋にはネコを膝に乗せた人の像、ネコをじゃらす人の像、ネコパンチを受けた人の像、野生をなくした猫の像、ネコ鍋の像などさまざまな像が飾られている。
その中の像がもっている「ねこじゃらし」、これがギルド武器『じゃらし王』だ。
カテゴリとしては杖だが、見た目はいわゆるねこじゃらし、エノコログサである。
攻撃力ゼロで耐久力を全力で高めて、自動耐久力回復のクリスタルをぶち込んだ。
かつてのギルドメンバーの剣士がだいたい3時間ぐらい攻撃し続ければようやくゼロにできるだろう、という耐久力になっている。
全身神話級の廃人プレイヤーならもっと短時間で破壊可能かもしれない。
もっとも、そんな力をもった相手が敵に回った時点で、ネコさま大王国の滅亡が確定したようなものだ。
下手にアイテムボックスに入れて、死亡後の復活なしでアイテムボックスごと消去の可能性を考えれば、このまま安置しておくほうが安全だろう。
そもそも、これをギルド武器と知るのは、ミネルバと引退したギルドメンバーのみのはずだ。
ミネルバはそう判断してこのまま安置しておくこととした。
集合時間まであと10分といったところで、ミネルバはふとトイレに行きたくなった。
同時に、ここはゲームではなく、異世界なんだと強く確信した。
さて、トイレはどこだっけ?と場所を思い出そうとした時、彼女は驚愕の事実を思い出した。
ギルドメンバー用の個室を作った記憶がないのだ。
しかしだ、実際にはなんの効果もないのだが、管理人や世話人により良い仕事をしてもらうためと部屋を用意し、その部屋にトイレと風呂を備えつけた記憶がある。
と、いうことはトイレはNPCの部屋を借りるしかない?
いや、さすがにそれは……と焦るミネルバ。
そんな時、拠点作成系のアイテムがあったはずだと気が付いた。
たしか、ストーンシークレットハウス。
急いで、3階の大部屋に移動し件のアイテムを使う。
問題なく、石造りの小さな家が現れた。
見かけに反して中は結構広い。
拠点内にトイレと風呂があることを確認し一安心だ。
一休みしてネコカフェへ向かうことにした。
・
テイムモンスターが指輪をしているイメージができなかったので独自設定。
モンスターは大食いという設定なので、
維持の指輪に比べて維持の首輪は高めの値段かも。
・ストーンシークレットハウス
ドラマCDで出てきた、グリーンシークレットハウスのバリエーションという設定。
ホイ○イカプセルに、家が入っているイメージ。
グリーンは木製、ストーンは石製というどうでもいい独自設定。