ネコさま大王国で引きこもってネコを愛でたい   作:清瀬

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07話

庭の案内を終え、次に1階の案内となった。

フールーダの目に映ったには、ネコである。

様々なネコがいる。

大部屋でじゃれあったり、伸びをしたり、丸まったりしている大量のネコがいる。

じっとこちらを見てくるネコや、チラっとこちらをみて興味をなくしたようなネコもいる。

白いネコ、黒いネコ、灰色のネコ、茶色いネコ、毛の長いネコ、毛の短いネコ、足が短いネコ、尻尾が太いネコ。

この部屋の主であると言わんばかりに、ネコが好き勝手にしている。

ネコとはここまでいろんな種類がいたのかとフールーダは驚く。

 

「これはいったい……」

 

弟子から驚きの声が漏れる。

 

「ネコを愛でるための城だから」

 

ミネルバが彼女に近寄ってきたネコを撫でながら言う。

心無しか表情が柔らかくなった気が……いや、やっぱり気のせいだ、とフールーダは思い直した。

 

「この城は、王や防衛のためにつくったのではなくネコのために作ったと、そういうわけですか?」

 

「そう。転移前、何度か攻められたことはあるけど、対人戦はあまり好きではない」

 

庭の戦力をもってすれば、撃退は容易いだろう。

その後、使用人の部屋やネコカフェなる食堂も案内された。

現在は、ネコを入れていないが、ネコを愛でながら食事やお茶を楽しむスペースだそうだ。

フールーダにとっては、理解しがたい場所だ。

次に案内されたのは2階である。

とても奇妙な階層だった。

同じようなサイズの部屋が、壁に長方形の穴が開いた状態で延々と連なっているのである。

あるいは魔法的な理由があるのか、とフールーダは集中して観察するが、何もわからなかった。

 

「ここは一体……?」

 

弟子のひとりが尋ねる。

 

「この階層は、不完全な状態。

 本来なら、すべてに扉が存在し、条件を満たさないと先に進めない」

 

対侵入者用の罠を張り巡らせた部屋だが今現在は取り払っている、とフールーダは理解した。

 

「扉を設置していない理由をお聞きしても?」

 

「単純に、いちいち扉を開けるのが面倒くさい。

 魔法的な効果で設置自体は一瞬だから、普段は使ってない」

 

たしかに、この数の扉を罠を解除しながら開けるのは、時間がかかるだろう。

しかし、扉の設置が一瞬とは、どのような理論により成り立っているのか。

知りたい。

そして、ここまでの警備を行っている3階には一体何が存在するのか。

知りたい。

それらを知り、魔法の深淵へ一歩でも近づきたい。

その思いをより強くしたフールーダであった。

 

◆◆◆

 

一通り案内し終わって、現在はネコカフェでお茶を飲んでいるところだ。

非常に残念なことに、フールーダ達はネコに対する興味が薄いらしい。

マジックアイテムばかり気にしていた。

いや、突如現れた城である。

それが正しい振る舞いなのはミネルバにもわかる。

ただ、ネコカフェで、こんな美味い紅茶、初めて飲んだ、と驚愕の表情を浮かべてるフールーダの弟子を見ると、ネコは紅茶以下なのか、とも思ってしまう。

交渉に来た人物をネコ好きにする必要はないのだが、ミネルバとしてはもう少しネコにも興味を向けてほしい。

 

「さて、一応、見せられる場所はすべて回ったけど、転移の原因はわかった?」

 

ミネルバは無理だろうなと思いつつも、フールーダに尋ねた。

 

「いや、残念ながらわからなかった」

 

「そう、では、交渉を始めよう。

 まず、お互いの望む着地点を知っておきたい」

 

ミネルバは自らの気持ちを切り替えるようにそう宣言した。

 

「こちらとしては、まず、この城と土地を私たちのものと認めること。

 帝国の税金の形で城の物を取り上げられるのも嫌。

 ついでに、こまごまとした税もなしだといい。

 また、戦争に力を貸せ、など言われるのも面倒。

 食料を始めたとした物資は必要なのでお金は欲しい。

 それと、外の強者の情報が欲しい。

 この城のように突然転移してきた場所があるならその情報も欲しい。

 そうすれば、対価として、いくつかマジックアイテムを提供してもいい。

 ああ、そっちの物資の提供はずっとだけど、マジックアイテムの提供は一度きり」

 

ミネルバはまず、無理だろうなと思いつつ、無茶な要求を突き付けてみる。

過分な要求や、対価が魔法を見せるのではなくマジックアイテムの提供であるのも、無理そうに思える要求を突き付けた後、徐々に要求のグレードを下げていくというヒメの意見から来ている。

 

「過分な要求だと思うが?」

 

フールーダがミネルバを睨みつけつつ、唸るように言った。

初見の好々爺といった雰囲気が大きく印象が変わり、結構な迫力であるとミネルバは感じた。

 

「私たちのペットで怯えていた人達にとっては、適正な要求だと思うけど」

 

こちらの力が上なので押すように、とヒメに言われていたため押してみる。

ミネルバは、脅しが入ってるかも、と口にした後気が付いたが、凄まじく睨んできたのでお互いさまだろうと思うことにした。

 

「一応、帝国の要求も口にしてみるといい」

 

「帝国の法に従うこと、帝国に魔法技術提供を行うこと。

 これらに従うならこの土地を君の領地と認め貴族位を与えてもいい、と皇帝は仰せだ」

 

「貴族位とか、しがらみが多そうなもの要らない。

 マナーとかわからない」

 

土地を治めるとか、小市民にできるわけがない、とミネルバは思っている。

この城だけで十分なのだ。

 

「帝国の法は、戦争とか税金に絡まない部分なら、常識的な範囲で従うつもり。

 あと技術提供は、多分、基礎から勉強しなければならない。面倒」

 

フールーダ一行が基礎から勉強しなければならない、ではなく、ミネルバが基礎から勉強しなければならないが、正しい意味である。

ミネルバは魔法理論など知らないが、それを正直に言うわけにはいかない。

面倒だから無理という方向に持っていこうとした。

 

「私たちが基礎すらわかっていないと!

 フールーダ様は第6位階を使う魔法詠唱者(マジックキャスター)だぞ!」

 

弟子が切れた。

少し挑発的に言い過ぎたかとミネルバは反省した。

 

「少し言い過ぎた。

 お詫びにこれを渡そう」

 

ミネルバは、テーブルの下でアイテムボックスを開き、巻物(スクロール)を取り出す。

 

「これは第6位階、《大治癒(ヒール)》が封じ込められた巻物(スクロール)

 大抵の病気・怪我を直す効果を持っている。

 それなりに高位の神官ならば、使えるはず。

 一応、こちらの提供できるマジックアイテムのサンプル」

 

「第6位階だと……まさか……」

 

弟子が茫然自失といった雰囲気でつぶやいた。

フールーダが第6位階を使えるのだ、珍しいものではあるがそれほど驚くことでもない気がする、とミネルバは思っている。

 

「他人が作ったもので、たまたま手に入った。

 私は魔力系の魔法詠唱者(マジックキャスター)だから使えない」

 

巻物(スクロール)は、例外を除けば、その呪文を行使できる職を持っている必要がある。

そのため、魔力系の魔法詠唱者(マジックキャスター)であるミネルバには信仰系の巻物(スクロール)は使えない。

もっとも、ミネルバの変化の記録に、ギルドメンバーのLV100信仰系魔法詠唱者(マジックキャスター)がいるので、変化すれば同様の魔法は簡単に使える。

 

「《道具鑑定(アプレーザル・マジックアイテム)》、《付与魔法探知(ディテクト・エンチャント)》」

 

フールーダが鑑定魔法を使う。

第6位階以上の鑑定が可能になる《道具上位鑑定(オール・アプレーザル・マジックアイテム)》や《付与魔法上位探知(オール・ディテクト・エンチャント)》は使えないのだとミネルバは提供した後に気が付いた。

 

「フールーダ様、いかがでしたか?」

 

「たしかに第6位階の魔法が封じ込めていることはわかった。

 だが、魔法の詳細まではわからなかった」

 

「そんな……」

 

弟子が愕然としつつ、つぶやく。

ミネルバも内心焦っていた。

まさか、封じた魔法の判別ができないとは思っていなかったのである。

 

「わからないならしょうがない。

 怪しいと思うなら、別に無理に持って帰らなくてもいいけど」

 

「いや、ありがたくいただくとも」

 

フールーダは素早く巻物(スクロール)を懐にしまった。

一応上位魔法が封じ込められていることはわかったようだし、詫びとしては十分だったようである。

ミネルバとしては一安心だ。

 

「さて、お互いの要求を言い合ったし、この巻物(スクロール)の詳細も調べたい。

 このあたりで、お暇したい」

 

「わかった。最後にそちらが求めるアイテムや技術について聞いておきたい」

 

技術は無理だが、現物が宝物庫にあるか確認しておきたい。

生産系の変化も記録しているため、条件次第では作ってもいい。

フールーダは少し悩むそぶりを見せてから口を開いた。

 

「死者蘇生の魔法が込められた巻物(スクロール)短杖(ワンド)、空間拡張に関する魔法技術、第7位階以上に関する魔法技術などがすぐに思いつくな。

 教えるのが難しい魔法技術に関しては、研究の材料となるようなアイテムでもいい」

 

蘇生の短杖(ワンド・オブ・リザレクション)はいくつかあったはずだ。

巻物(スクロール)に関しては、確認しないとわからない。

空間拡張については、ストーンシークレットハウスの現物提供が無難。

第7位階については、巻物(スクロール)の現物提供。

ミネルバはそんな風に提供アイテムにあたりを付けた。

ただ、アイテム次第は色々と面倒が起こりそうでもある。

渡す前にキチンと検討をしたほうがいいだろう。

 

「提供できるかは別にしてそちらの欲しいものは理解した」

 

「では、また会おう」

 

「ええ、また。

 シノブ、城門まで見送りしてあげて」

 

少々無礼かもしれないが、ミネルバは城門見送りはパスしてでもすぐネコに癒されたかった。

交渉事はロクにしたことがなく、とても精神的に疲れていたのだ。

フールーダが部屋から出たことを確認して、すぐに別の扉からネコ部屋に向かった。




・フールーダその2
フールーダはミネルバの魔力を見た場合、もしかして第10位階も使えるかも?と使える位階に関しては疑問が残る感じだけど、格上は間違いないので弟子にしてくれと言う。
アインズ様みたいに第10位階使えると魂で理解した状態までいかず魔法を司る小神の信仰を揺るがすほどの反応は得られない。
つまり、我が神ペロペロでなく、「師よ、この魔法の理論はうんぬんかんぬん」といった別の意味でウザイ方向になる。
フールーダは魔力をオーラとして視認できる生まれついての異能(タレント)で使える位階を推測している点と、アインズ様のMP限界突破っぷりを合わせると、これくらいの対応の差はでてもいいんじゃないかなーと。
なお、ミネルバの魔力を見た後、アインズ様の魔力を見ると、ミネルバのこと放り出して我が神ペロペロしたがります。
やったね!アインズ様、我が神ペロペロはアインズ様だけのものだよ!
もちろん、この二次創作の勝手な設定上の話なんですが。

・《道具鑑定(アプレーザル・マジックアイテム)》、《道具上位鑑定(オール・アプレーザル・マジックアイテム)
原作に出た魔法だけど、どこかに判定可能の境があるかわからないので、第5位階以下or最上級アイテムなら《道具鑑定(アプレーザル・マジックアイテム)》でもOK、第6位階以上or遺産級(レガシー)アイテム以上なら《道具上位鑑定(オール・アプレーザル・マジックアイテム)》でないとわからないと勝手に設定。
付与魔法上位探知(オール・ディテクト・エンチャント)》も同様に勝手に設定した魔法。
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