これはゾンビですか? ~いいえ、彼は問題児です   作:白ウサギ@FGO

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第五話 VSアリクイ

 セラと戦った翌日、俺は歩達との約束を断り学校に来ていた。

 今日は土曜日で、何故学校に来ているのかというと、

「遅いよー神無」

「悪い悪い」

 そう言って俺は、少女――クリスに酒とおつまみを渡す。

「わーい。神無大好きー」

「はいはい」

 そう言って、クリスはお酒をぐびぐび飲み始めた。

「ぷはー。やっぱり神無が選んできたお酒は絶品だねー」

「そりゃよかったな」

 俺はそう言ってつまみをつまむ。

 俺とクリスが出会ったのは、つい最近のことだ。

 何を隠そう、彼女は最強の魔装少女だ。普段は冴えないおっさんだけどな。

「それで何で俺を呼び出したんだ?」

「うーんとね、最近連続殺人が起きてるでしょ。あれって魔装少女の仕業なんだよね」

「やっぱりそうか」

 まあ予想通りだな。

「それで一応心配しておこうと思って」

「おいおい、何言ってんだよ。俺がお前より弱いやつに負けるとでも思ってるのか?」

「あははははははっ!そんなわけないじゃん。神無なら女王でも倒せるだろうしね」

「そういうことだ。それで、クリスの用事はそれだけか?」

「うん、それだけだよ」

「そうか。なら俺は帰るぞ」

「えー、もう少しここにいてよー」

 突然クリスがごねだした。

「あ?何でだよ」

「えーっとねー。神無といるとお酒が美味しくなるからかな」

「俺にそんな力はねえ」

「とにかく、もう少し一緒にいてよ。ねっ、お願い」

「……はあ、分かったよ」

 その時、突然でかい音がした。

「あ?なんだ?」

 見れば、ぐじらのメガロがいた。

「クリス、悪いが用事が出来た」

「えー、しょうがないなー。そのかわり、今度一緒に居酒屋いこう」

「ああ、わかった。それじゃあ行ってくる」

「いってらっしゃーい」

 クリスに見送られ、俺は窓の外に出ていった。

 

 

 

 どうやらあの音の正体はくじらが出した潮のせいだった。

 ぐじらの方を見ると壁のようなものが見える。あれは、結界か?

 とりあえず、くじらのところに行こうとしたとき、アリクイが現れた。

 こいつもメガロだろうな。そんなことを考えていると、アリクイがこちらに向かって拳を突き出す。

「ハッ、そんなの当たるか」

 俺はその拳を避け、カウンター気味にアリクイに拳を当てる。チッ、避けられたか。

 だが、腕には当たったようでアリクイの片腕はなくなっていた。

 するとアリクイは、こちらに向けて舌を伸ばしてきた。

「やっぱり、遅いな。俺に当てたきゃ、クリスぐらい早くないと無理だぜ」

 俺はアリクイの舌をつかみ、こちらに引っ張る。それでバランスを崩して足をふらつかせた。

 俺はその隙に、アリクイに近づき拳を叩き込む。

 それを食らったアリクイは倒れ、粒子になって消えた。

 空を見ると、くじらは倒されたようで、いなくなっていた。

 

 

 

 あのあと、俺は家に帰ってきて居間でくつろいでいた。

 ちらりとユーの方を見ると、歩が話しかけていた。

「ユー、聞きたいことがあるんだが?」

 そう言った歩は、少し威圧的だ。いったいどうしたんだ?

「俺たちが出会った日、ユーは俺を助けてくれたんだよな?」

 ユーはそれに頷く。

「本当にか?俺を殺そうとしたのはユーなんじゃないのか?」

 今何て言った?

「じゃあ、俺を助けたあと、俺が意識を取り戻すまで時間があったよな?その間何をしていたんだ?」

『歩の傍にいた』

「本当に?……お前に家族を殺されたって情報を得たんだ。おかしいだろ?被害者の人間と、訳のわからない力を持った人間と、どっちの証言を信じる?ユー、頼むから真相を説明してくれ!」

「歩、少し口調が強すぎませんか?ヘルサイズ殿は嘘を言うようなお人ではない」

「そうだな、少し強く追及してしまった。それは謝るさ。……すまんかった。――じゃあセラ、お前が判断をしてくれ。被害者の人間がユーの姿を指摘できる理由はなんだ?さあ、答えてくれよ。どっちの言葉に信憑性がある?」

「歩、少し落ち着いて下さい」

「俺は冷静だ。冷静に、真実を聞きたいんだ」

『嘘は言っていない』

「信じてやりたいさ。だから、そういう言葉じゃなくて、もっと簡単で確実な証拠はないのか?お前が人殺しをしていな――」

「歩」

 思った以上に平坦な声が出たな。まあ、今はそれはいい。

「なんだよ」

「それは、俺も疑っていると受け取っていいんだな?」

「は?何でそうなるんだよ」

「俺はユーとお前を一緒に運んだんだ。お前と別れた後も、ずっと一緒にいたしな。つまり、ユーが犯人なら俺も関係者、もしくは犯人ということになるんだが?」

「なら、お前も犯人なのか?」

「もしそうだとしても、生き返らす必要はないだろ。わざわざ殺したのに」

 俺の言葉を聞いて、そんなこと考えてもいなかったのか、目を丸くする。

「それに、犯人は魔装少女だ」

「……何でそう思うんだ?」

「俺がお前が殺された場所に来たとき、犯人はその場から消えた。可能性としては吸血忍者もあり得るが、吸血忍者は人殺しをしないらしいしな」

 「だろ?」と俺が聞くと、セラは頷ずく。

「それに魔装少女は記憶操作ができるんだ。目撃者の記憶をいじるなんて簡単だろ。魔法なら出来ることは色々あると思うしな」

 俺の言葉に、歩はとりあえず納得してくれたみたいだ。

「歩、神無、私は空腹です。そろそろ夕飯にしましょう。……今回は私が作ります。歩、ハルナを呼んできて下さい」

 セラにそう言われ、歩は居間を出ていく。

 ユーの方を見るとメモをこちらに見せてきた。

『ありがとう』

「お礼を言われるようなことはしてないぞ」

『それでも ありがとう』

 まあ、お礼を言われて悪い気はしないな。

 

 セラと歩が出ていって十五分後。俺達の目の前にはセラが作った料理がある。

「おい、セラ。これはなんだ?」

「見たまんま料理ですが?」

 おい、これのどこが料理だ。歩も同じことを思ったようで、表情がひきつっている。

「さ、食べて下さい」

 ユーの方を見ると、この料理に見向きもしなかった。

「ヘルサイズ殿。さ、どうぞ食べて下さい」

「ちょっと待った!俺が食べる」

 歩がそう言って、オタマで液体をすくうが、オタマが溶けた。

「歩。そのようなヤワなものでは、この料理に触れることも出来ませんよ?」

 もうそれは料理とは言えないだろ。

「一応聞くが、調味料とかは入っているよな?味付けするために、さ」

「調味料?そんなものが、この料理に通用するとでも思っているのですか?」

 セラはそう言って、小さなザルのようなものですくい、歩の皿に入れる。

「歩。早く食べないと。ほら、皿が溶けてますよ?」

 やっぱり料理じゃねえだろ。これは早急にセラに料理を教える必要があるな。

 歩は、意を決したように一気にスープを口に流し込む。と同時に噴出した。

 そして急いでキッチンに走っていった。

「セラ」

「はい、なんでしょうか」

「今度一緒に料理を作ろう」

「別にいいですが」

「約束だぞ」

 とりあえず俺はセラに約束を取り付け、そのあと簡単な料理を作った。

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