「ごめん、もう一回。」
「...え?」
太陽が照り続く中、幻想郷の東の端で2人の声が聞こえた。
「い、いや、だから!俺はお前の弟だって言うことだよ!」
博麗照と言う人物は慌てて言葉を繰り返す。
「知らないわよそんなの!私、今初めて聞いたのよ!?すぐそうなんだって答えられる訳ないじゃない!」
「はぁ!?知らないのかよ!?」
「大体そんなことを何で今気づくの?」
「...えーっと、確か射名丸文とか言う鴉天狗に話されたんだよな?」
照は白髪の女性に確認をとった。白髪の女性は頭を下に振る。
「ねぇ、それ騙されてない?」
「騙されてねぇよ。」
「(まぁ文がこんな嘘をつくはずがないし、やっぱり本当なのかしら。)」
「何より決定的証拠を渡されたし、」
「証拠?」
「..あぁこれだ。」
照は着物のポケットから一枚の写真を取り出し、霊夢に渡した。その写真には先代巫女と現博麗霊夢、そして博麗照と思われる人物が2人と一緒に笑顔で写っていた。
「...嘘...でしょ?」
霊夢は驚愕した。
「本当にこの灰色の髪の子はあなたなの...?」
「そうだ....」
霊夢は写真に写っている人物と目の前にいる人物を何回も見比べた。だが髪の色、顔は全て一致していた。
「じゃあ..何でここにいなかったのよ...!生き別れたとでも言うの..?」
霊夢が慌てて問いただす。呼吸が荒くなり、落ち着かなくなった。
「一旦落ち着け霊夢。一回お茶でも飲んで話し合おう。」
「ハァ..ハァ..えぇ..そうね。」
後ろから魔理沙が霊夢の肩を叩き、落ち着かせた。落ち着きを取り戻した霊夢は魔理沙と照達を居間にあがらせ、お茶を淹れた。
「コホン...じゃあ話し合おうじゃないか。」
魔理沙が進行役の様に話を進める。魔理沙の声を聞いて照が前に出た。
「まずここに来た理由を教えてもらえないかしら?」
「あぁ博麗の巫女と繋がりがあるんだから久しぶりに母さんとお前に会いに行こうかってなって来たんだ。」
「......」
霊夢は黙って照の話を聞いた。
「母さんはどこにいるんだ?妖怪退治か?」
「あっ..霊夢...」
魔理沙が何かを察したのか霊夢に声をかけた。
「先代は...消えたわ...」
「えっ...?」
霊夢はしみじみとその事を話した。
「多分あなたがいない頃だと思うけど何年か前に突然姿を消していなくなったわ。」
「直後は皆の力を借りて全力で探したんだけどどこにもいなくてこの始末よ。」
「もう...死んじゃったのかな...。」
霊夢は必至に泣くのをこらえ、話し終えた。
「そうか......もう一回だけ...会いたかったな...。」
照も顔を隠して泣くのをこらえたが目から涙が出てきてしまう。
魔理沙はこれ以上空気が気まずくなるのを防ぐため、話題を変えた。
「そ、そうだ!照!ちょっとだけ、何故別れることになっているのか説明してくれよ!」
照は魔理沙の言葉を聞いて目に溜まった涙を拭きテンションを変えた。
「あぁそうだな。説明しなきゃな。」
照は気持ちを切り替え説明した。
「..お前はさっき、生き別れたとか言ったよな?」
「鴉の話ではあるが俺とお前が9歳ぐらいごろに俺の親が見つかってここを離れたってらしい。覚えているか?」
霊夢は照が言った昔の出来事を思い出そうと腕を組んだ。
「..ごめん、全然覚えてない。」
「マジかよ。」
「何なのかしら...幼少期の思い出が全くないのよ。」
「まぁ霊夢は忘れん坊だからな。」
「魔理沙、痛い目に遭いたい?」
魔理沙のちょっかいを気にかけて霊夢は右手を握って殴る準備をした。
「そうか...まぁ俺もよく分からないが何年かたてば覚えていないのも無理ないか...」
照は口元に手を寄せ考え始めた。霊夢はそれを見て別の話に切り替えた。
「そういえば..照?照だっけ?」
「照だ。名前ぐらい覚えてくれよ...」
名前があやふやに対して照は頭を悩ました。
「照の横にいる子は誰かしら?」
霊夢は照の横にいる女性が気になっていた。白い髪で長髪、見たこともない特殊な翼、そしてどこかの吸血鬼のメイドの服装に似たなりをしている。
「私はモリメと言います。どうぞよろしくお願い致します。」
モリメは深々と頭を下げ、挨拶をした。
「こ、こちらこそよろしくお願いします。」
霊夢と魔理沙はちゃんとした挨拶に対して慌てて頭を下げ挨拶を返した。
「こいつは俺の従者なんだ。妖怪ではあるが危害は一切ない、仲良くしてくれ。」
「別にそれはいいんだけど照達は何か能力をもってるの?」
「能力?何だそれ?」
「「えっ!?」」
驚くべき事に照達は能力と言う存在を知らなかった。
「し、知らないの?」
「あぁ。」
「おいおいおい知らないのかよ!!」
魔理沙は立ち上がって照に質問攻めをした。
「え?じゃあ弾幕は?」
「知らん。」
「じゃ、じゃあスペルカードは!?」
「分からん。」
「じゃあ異変は!!?」
「ただの超常現象じゃないのかそれ。いっつも勝手に収まるけど。」
魔理沙は大まかな内容を質問をしたが照は全て知らなかった。
「霊夢...こいつはマジで知らないパターンだ。」
魔理沙は余計に汗をかきながら霊夢に伝えた。
「ふーん....つまりは能力なしってことね」
「んまぁ何言ってるが分からんがそうだ。」
「(んじゃあの地霊殿の襲撃とは関係なさそうね。)」
霊夢はあの地霊殿組の壊滅と照が何か関係しているのかと疑い始めたが能力を知らない以上、関係性はないと判断した。
「んじゃこの魔理沙様が弾幕は素晴らしいってことを教えてやるよ!!」
魔理沙が珍しく喜んでいる。多分魔法を教えたいのだろう。
「やめときなさい魔理沙、無茶な事は禁物よ。」
霊夢が立ち上がり魔理沙を止めようとする。
「あまり信じることはできないけど私の
「おう...そうか....んじゃあ恥ずかしいが姉さんって呼んでいいか?」
「...勝手に呼べば。」
霊夢は顔を隠して少し照れながらも呼ぶことを許した。
「んじゃ姉さん。」
「何?」
「ここらへんよく分かってないんだ。できれば案内してもらいたい!」
照は両手を合わせ霊夢に頼んだ。
「あれ?ここらへん分からないのかしら?」
「実は親が過保護すぎてだな、一歩も外を出ることが出来なかったんだ。」
「親が亡くなった後もあんまり外は出ていねぇ。だからここが一体どういう所か案内してほしい!」
照は再度両手を合わせ霊夢に頼みまくった。
「...どうせ暇だし...いいわ案内してあげる。」
霊夢が照に手を伸ばして笑顔で聞いてくれた。
「んじゃ私も行くぜー!」
魔理沙も乗り気で行くつもりらしい。
「おお!ありがと姉さん!」
「(流石に言われるのは少し恥ずかしいわね..)」
照は霊夢の手を掴み立ち上がる。
「(