「ほらー、さっさと行くわよー。」
「ちょっと待ってくれ姉さん。」
姉弟の声が飛び交う博麗神社。依然として太陽は大地を照らし、暑くさせる。
「そういやあんたは飛べなかったんだっけ?」
思い出したかのように確認する霊夢。
「さっきも言ったじゃねーか、能力やら弾幕やら知らないって。」
照は頭を抱え、同じ事二度言い出した。
「あーじゃあ、魔理沙。あんたの箒で後ろに乗せてあげなさいよ。」
魔理沙は飛ぶ為に箒を使っていた。その後ろに乗せようと魔理沙に頼む。
「えー、2人いるとバランス崩れてスピード出せないから無理だぜ。」
魔理沙はスピードが欲しい故に霊夢の頼みを拒否した。
「あんた箒なくても飛べるくせに。」
「ちょっ、それ言うな!!」
小さな秘密を他人の目の前で暴露され赤面する魔理沙。どうやら長い間隠していたらしい。
「へぇ~マジか。」
照は魔理沙と言う人が魔法を使えるんだと関心した。
「照!!、絶対に周りに言うなよな!!」
「お、おう...」
魔理沙に忠告され困惑する照。よっぽど知られたくない事なんだろうか。
「えーじゃあ....」
霊夢は周りを見渡して照の隣にいるモリメを見た。
「えーっと...モリメだったかしら。あんた大きい翼持ってるから飛べるでしょ?」
モリメの翼は自分の身長より大きく、外側は鴉天狗の翼の色をしているが内側は極彩色ととても綺麗な翼を持っていた。
「えぇまぁそうですけど...」
「んじゃ照を持ち上げて飛びなさい。」
「え?は、はい...分かりました。」
モリメは一瞬戸惑うも事を全て理解した。
「おいおい大丈夫なのか?」
「照さんぐらいだったら持ち上げることは可能です。」
「初めて気づいたんだが。」
照は自分を持ち上げられることを知らなかった。
「んまぁとにかく行くわよ。」
霊夢はふわっと宙に浮くように飛ぶ。一方魔理沙も箒に体を乗せ急スピードで上へ上がっていく。メモリは照の両手を握りぶら下がるようにして大きい翼を広げ霊夢達の後を追った。
――魔法の森上空。
「照!あれが私の家だぜ!」
魔理沙が指差す方向を見ると一軒の古い家が建っていた。木々に囲まれており草が生い茂っている。
「あそこにいたら毒だからやめた方が良いわよ。」
「何が毒だ!私だって整頓ぐらいしてるぜ!」
どうも魔理沙の家は酷くごちゃごちゃらしい。
「照さん。」
「ん?」
「暑くしすぎじゃないですかね。」
「あぁそうだな。」
――人里。
「ここの人里広すぎじゃないか...?」
「何?違う人里に行ってたの?」
人里は人々の活気で溢れていた。店は人で溢れ、店番の声が飛び交う。中央にある大きな川の岸辺には子供達が遊んでいた。
「あぁ俺が行った所はこれより小さかった。」
「なら良かったわね。明々後日夏祭りが開催されるから。」
「マジか。」
魔理沙が手で日の光を遮りながら周りを見渡している。
「ここってこんなに広かったっけ?」
「あんたは家に篭りすぎなのよ。」
「こもってなんかいないぜ!勉強してるんだよ!」
「勉強(笑)」
「何だよ!!」
霊夢と魔理沙はお互いの頬を引っ張りあった。それを無視して照とモリメは珍しい光景に見とれていた。
「はぁ...人がいっぱいですげぇなぁ..」
「ですね....」
見とれた照とモリメは下に川が流れる橋を渡った。橋の上には女性や男性、子供達が楽しく話している。
「よぅ!兄ちゃん達!見ない顔だねぇもしかしてここ、初めてか?」
少し老いた元気な男性が照達に話しかけてきた。
「えぇそうです。ここはとても賑やかで素晴らしいですね。」
「だーろぅ?ここは年中いつでも騒いでいる様なもんだからなぁ!」
男性はこの人里はどんな風になっているのかを教えてくれた。どうやらここにいる人達はとても優しいらしい。
「お、そうだ。どうせ来てくれたんだこいつをやるよ。」
男性が腕の裾から出してきたのは包装されている団子だ。三色の色をしている。
「え?いいんですか?」
「いいんだよ!ここに初めて来た記念だ!じゃあな!」
男性は大きく腕を振って照達に別れを告げ、どこかへ行ってしまった。
「ここの人里はいいですね、妖怪も受け入れてくれて。私はずっとここに居たいです。」
モリメが横から照に話しかけた。
「あぁそうだな。久しぶりに楽しく感じられた。」
と、照達が満喫している中、空から一人の女子が目の前に降りてきた。あまりの速さに周囲には風が少し舞った。
「突然の登場申し訳ありません、私は射名丸文と言います。いやー珍しいですねぇここに見たこともない人達は来っ...!」
文は照達を見た途端に驚いたが、
「...そういえばさっき会った照さんじゃありませんかぁ。何故ここにいるんです?」
思い出したかのように照達に振る舞う。
「???、あぁ姉さんにいろんな所案内してもらってんだ。」
「へぇそうですかぁ、んであれば密着取材させてもらっていいですかね?」
文はメモ帳とペンを取り出し何かを書き込もうとしている。
「駄目だ。なんで密着されなきゃならないんだ。」
「ちぇー、いいと思ったんですがねぇー。」
後頭部で腕を組む文、相当興味があったらしい。文は頭を悩まして何かないかと考えると一ついい方法を思いついた。
「あーっと、じゃあ今度照さんは夏祭りには行きますか?」
「(夏祭り?あぁさっき姉さんが言ってたな。)」
「んー、行こうかなって思っているとこ。」
照が参加の意欲を見せると文は目を光らせて少し興奮気味に話を持ちかける。
「じゃあその時私もご一緒してよろしいでしょうか!!?」
「は、はぁ...まぁいいんじゃねその時ぐらいは。」
「やりました!有難うございます!!」
文が喜んでいる内に照達の後ろから霊夢達がゆっくりと近づいた。
「あら文じゃない。照に言ったのあなたよね?」
霊夢が腕を組んで文に話しかけてきた。
「えぇそうですよ?生き別れた姉弟の運命の再会なんて素晴らしいじゃないですか。」
「いやまぁ嬉しいと言われれば嬉しいけど何であなたがあの写真を持ってたのかしら?しかも今に限って。」
霊夢は何故今更照に会わせたのかが気になってしょうがなかった。今じゃなくても充分な時間はあったはずなのに、と。
「実はですね、私が部屋で掃除していた時に机の引き出しの一番奥にその写真があったんですよー。いやー驚きましたよ照さんが霊夢さんと姉弟の関係性があるなんて。それ以前に照さんとは面識があったものですから超高速で照さんの家に行ってこの写真を見せたんですよ!」
「...へぇーそうなの?」
霊夢は照に向かって確認を取ろうとする。
「あぁそうだな。こいつがいきなり来て慌てて写真見せるからこっちも驚きだったわ。」
照は呆れて首を横に振りめんどくさそうに言った。
「んまぁ何はともあれいいじゃないですか!それより私はもう時間なので失礼しますね!」
そう言って文は背中の翼を広げ天高く空へ舞い上がりどこかへ行ってしまった。
「風の様に行ってしまった...」
「まぁ文は鴉天狗で風を操る程度の能力だから速いのは当たり前だぞ。」
魔理沙が横から説明口調で照に話しかけた。
「マジか、いいなぁ...」
照は羨ましそうに文の事を思い出す。能力がない自分らにとっては欲しいモノだと言うのに。
「それじゃ照、行くわよ。」
「おう分かった!」
照達は霊夢達の後をついていき人里を案内することとなった。
――妖怪の山上空。
文は自分の家へ直進していたのだが一つ不可解な事に悩んでいた。
「あれ?私は誰と話してたんでしたっけ?照?知らないですね....」
「...まぁいいでしょう!!」
文は顎に触れ考えるも別の用事があるのを思い出し地上へ降りていった―――。