暗殺教室 with 黒羽零士《凍結》   作:grey

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よつやく書けた番外編。一応これ、UA10000突破記念なんですよ。いつだろうなぁ、それ。と、いうわけで大分遅れた記念の番外編。クロスはその内、自分が書いているSAOとやってみようかと思います。今回は主人公とそのヒロインにイチャイチャしてもらいましょう!


番外編 風邪の時間

 今、私はとある家の前に来ています。そして、この家の前で顔を赤くしながらウロウロする事、およそ30分。鍵は持ってるから、入れないわけじゃない。ただ……、

 

「恥ずかしい……////」

 

 それもそのはず。この家は倉橋が現在進行形で恋をしている人の家。その彼が風邪をひき、その看病を引き受けたのだ。

 

「頑張れ陽菜乃。もっと深い仲になれば、家に行くなんて……ふ、普通なんだから……////」

 

 自分を鼓舞するはずが、更に緊張させてしまう倉橋。意識しないようにしようとすればするほど、余計に意識してしまう。そんな事をしていたせいで、30分も経ってしまっていたのだ。

 

 ガタンッゴンッガタガタドン

 

 家の中から謎の音が聞こえて来た。少なくとも、病人が寝ているはずの家からは聞こえて来ない音だ。

 

 倉橋は急いでドアに鍵を入れ、開ける。ドアが壊れてもおかしくないぐらいの勢いで開け、中に飛び込む。

 

「零士君!」

 

 心配そうな声で叫ぶ倉橋。しかし、そこで倉橋が目にしたものは……、

 

「な、何やってるの……零士君」

 

 右手に愛用しているダガー、左手に初めてみる短剣を持ち、階段の下で尻餅をついている零士だった。

 

「えっと……よ、よぉ、陽菜乃。ど、どうかした?」

 

 心配して損した。おそらく、私が今見ているのは、上の階で訓練をしていて、何かが起き、転げ落ちて来た零士君。

 

「零士君の……バカアァァァッ!」

 

 私は普段は出さないような大声で零士君を怒った後、リビングにあったダイニングテーブルに向かい合わせに座った。もちろん、何をしていたのか問い詰めるためだ。

 

「零士君、熱出したんだよね。何で訓練してたの?」

 

「ね、熱が下がったんだよ。つぅか、元気じゃねぇと、武器なんか振れないだろ。元気に決まってんだろ。気にすんなよ」

 

 ピピッ

 

 体温計特有の電子音が鳴る。私は零士君の脇から体温計を取る。そして、その値を見せつける。

 

「41.4。優希君から、朝は39.6だって聞いたんだけどなぁ」

 

「……分かったよ。大人しく寝るよ」

 

「よしっ、じゃあ行こうか」

 

 私は零士君を支えながら2階の部屋まで連れて行く。ベッドに寝かせて、布団をかける。そして、私は椅子に座る。

 

「……なぁ、陽菜乃。何でここにいるの?」

 

「何でって……零士君の看病をするためだよ」

 

「じゃあ、大丈夫だ。もう帰っていい」

 

「ダ~メ。見てないと零士君、すぐ武器持つから」

 

 零士は図星だったようで“ゔっ”と言い、顔を背けた。

 

「それならここじゃなくてもいいだろ。優希に頼まれただけだろ。そこまでしなくていい」

 

 その後も零士君は私を追い出そうとする。その度に反論するが、遂に負けてしまった。私は仕方なく、下へ降りる。

 

 

「やっぱり私、邪魔なのかな……」

 

 倉橋の不安はどんどん高まっていく。零士は“邪魔”や“迷惑”なんていう言葉は使わなかった。それでも、頑なにあの部屋に残る事を阻止しようとした。

 

「一方通行って辛いな…………」

 

 自分がどんなに想っていても、それは相手に伝わらない。せめて、気づいてくれてフラれた方がずっと楽かもしれない。

 

「もっと大胆にせめたほう攻めた方が……。でも、あんまりやるとあざとくなっちゃうんじゃ……」

 

 ドンドンッ

 

 再び物音がする。もちろん上から聞こえて来た。

 

「またやってるの? しょうがないなぁ」

 

 私は零士君を注意するため、2階に上がる。そして、部屋に入って声を出そうとした。ベッドにはちゃんといたが布団を頭から被っていた。

 

「……はぁはぁ。……ッ! ……はぁはぁ」

 

 そこには、予想に反して、かなり苦しそうな零士君。怒ろうとしていた頭を切り替えて、側に座る。

 

「大丈夫、零士君!」

 

「……はぁはぁ。……ッ! ひ…な……の? はぁはぁ……」

 

「ちょっと待ってて! 今冷えピタとか、氷枕持って来るから!」

 

 私は急いで下に戻り、鞄を取ってくる。そこには、目当ての物も入っており、慌てながらも用意する。

 

「はい、冷えピタだよ。多分……少しは楽になるよ」

 

「……ありがと。……はぁはぁ」

 

 冷えピタを貼り、その後、氷枕まで準備したが、あまり効果があるようには見えない。

 

「……零士君…………」

 

 どうすればいいの? どうすれば、零士君は楽になってくれるの?

 

 そう思いながら考えていると、1つの考えが浮かんだ。少し恥ずかしいけど、これしかない。

 

「ッ! お、おい、陽菜乃? 何やってんだ? 流石に恥ずいんだけど」

 

「こうすれば、少しは落ち着くでしょ」

 

 零士君の頭を撫でていた。耳の辺りが熱くなってる感じがするが、今は気にしない。やっていると、零士君も少し落ち着いてきた。

 

「……なぁ、陽菜乃。落ち着いたからさ、あの……そろそろやめてくれない?」

 

「ダメ。零士君に拒否権はないよ。私がやりたいからやるの」

 

「撫でるのはやめてくれよ。俺は……手とか……握ってくれた方が落ち着く……かな////?」

 

 それを聞くと、一気に顔が赤くなった気がした。……手を握る…………。は、恥ずかしい////。

 

「う、うん。じゃあ……それでもいいよ////」

 

 2人共、しばらく無言だった。お互いに恥ずかしさで何も話せていなかった。まぁ、倉橋はその原因を分かっていても、零士はなぜかよく分かっていなかった。

 

「陽菜乃」

 

「ど、どうしたの、零士君」

 

「やっぱ、手を離してくんない? だってさ、俺の手、冷たいだろ。それに、この手は多くの命を奪った手だし……」

 

 少し、暗い顔になる。最近、零士君は殺し屋としての自分を汚れた存在みたいに扱う。私たちに過去を話した事によって、罪悪感みたいなのが出て来たのかな。でも……、

 

「離さないよ。零士君の手なら、別に握ってもいい」

 

 励ますために言ったため、その意味を考えてなかった。言ったらすぐ、顔が赤くなった。

 

「そ、それって……どういう……」

 

「べ、別に大した意味はないよ! ただ、“手が冷たい人は心が暖かい”ってよく言うから。やっぱり、零士君は優しいんだよ」

 

 それを聞いた零士君は私の方と反対の方を向いてしまった。零士君も、私の事を意識してくれてるといいんだけど……。照れてるだけだと信じたいけど……、嫌われたりしてない、よね。

 

 

 それから零士君は大分落ち着き、今はスヤスヤと寝ている。私は、その姿を見ながら、終始、顔がニヤけっぱなしだ。

 

「どうして、こんなにカワイイんだろ」

 

 零士君の寝ている姿はホントにカワイイ。今も“すぅ……すぅ……”と寝息を立てて、気持ち良さそうに寝ている。普段はクールで偶にキザで、トゲトゲしてるのに、目の前の零士君にその面影はない。

 

「猫みたいだね、ホントに。こんな顔も出来るんだ。やっぱ、零士君も同じ中学3年生なんだね」

 

 いつもは、殺し屋として経験を積んで来た彼に隙は少ない。ターゲットを前にすれば、ライオンや虎みたいに、いつ襲いかかってもおかしくない雰囲気を纏う。だけど、寝ている零士君は、年相応の表情だ。寧ろ、年より少し幼くも見える。

 

「……んっ…………。どうした、陽菜乃」

 

「ご、ゴメン。起こしちゃった?」

 

「別に。あ、それとさ、手、ありがとな。おかげで安心出来た。もういいよ、離しても」

 

 私は首を横に振る。零士君は少しだけ、びっくりしたような表情になる。

 

「私が、やりたくてしてた事だから。それに、私にはこれぐらいしか、出来ないから」

 

 私は、零士君の悩みを一緒に背負えるほど、強くない。零士君の強さには、程遠い。だから、こうやって、暖かくしてあげる事しか出来ない。

 

「じゃあ、もう少しお願いしようかな。でも、ホントにありがとう。久々に他人の温もりを感じたよ。誰かと触れ合って寝たのは、いつ以来だったかな」

 

「メアリちゃんとじゃないの? イチャイチャしてたんでしょ、毎晩」

 

 少し拗ねてみせる。本心ではあるし、羨ましい。そんな様子が少しでも伝わって欲しい。

 

「嫌、もっと前だな。メアリとは、キスはしても、一緒には寝てない。こうやって寝たのは、親に虐待される前か……。10年は軽く超えてるよ」

 

 じゃあ、私が初めてなんだ。少し、嬉しいな。

 

「もう少し寝る?」

 

「熱測って、それ次第にするよ。下がってたら、起きてもいいだろ」

 

「うん」

 

 体温計を手探りで探し、渡す。零士君は黙って受け取り、脇の下に挟む。そしてこの間、私と零士君は手を繋いだままだ。

 

 ピピッ

 

「何℃?」

 

「37.6。まだ少しあるけど、いいよな」

 

「武器を持たないならね」

 

「持たねぇよ。もう怒られるのは御免だ」

 

 私は、零士君の体を支えながら階段を降りる。零士君は“1人で降りれる”って言ったけど、心配だから支えている。リビングに着くと、零士君をダイニングテーブルの椅子に座らせる。時計を見ると、もう6時。来たのが2時だから、もう4時間も経っている。

 

「零士君、お腹空かない? 何か作ってあげようか?」

 

「……じゃあ、お願いするよ」

 

「何がいい?」

 

「それじゃあ、消化に良い物でも作ってくれない? 朝、いつも通り食べたら流石に吐いたからさ」

 

 私はとりあえず冷蔵庫の中を見る。真面目な優希君はちゃんと色々入っている。無駄がなく、必要な物は充分揃っている。

 

「じゃあ……うどんとかでいい? 冷蔵庫の物、勝手に使って大丈夫?」

 

「ああ、いいよ。また、陽菜乃が作ったやつが食べれんのか。楽しみだな。動物園の時の話美味かったからなぁ。楽しみにしてるぜ」

 

 私にプレッシャーがかかる。大丈夫。あの時はお母さんに手伝ってもらったけど、大体は自分で出来たもん。今回もきっと大丈夫。

 

 

「はい、零士君。見た目は……うん。微妙だけど、味は……大丈夫…………のはず」

 

 出来上がったのは、美味しそうに見ようと思えば見える物。味見もしたし、大丈夫。

 

「いただきます」

 

 零士君はそう言うと、箸を持ち、麺を掴み、口の側に持っていく。

 

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……ふぅ」

 

 出来たてのためうどんは熱いはずだ。少し冷ましてから食べている。

 

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……ふぅ」

 

 私はそんな零士君をニコニコしながら見ている。

 

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……ふぅ」

 

 まだやってる。いつまでやるんだろう?

 

「……零士君…………もしかして……」

 

「ま、まさか。こんなの楽勝だよ。いただきます! 熱っ!」

 

「はい、水だよ。もう、零士君は……」

 

 零士君は猫舌らしい。ホントにカワイイ。

 

「何だよ。悪いかよ、猫舌で」

 

「ううん。カワイイなぁ、って。そういえば、寝顔も可愛かったよ」

 

「うっせぇ、忘れろ!」

 

「忘れないよ~」

 

 顔が真っ赤な零士君。カワイイなぁ~。もうちょっと弄ってみようかな。

 

「そう考えると、やっぱり零士君って、黒猫みたいだね~」

 

「またそれかよ。つぅか、黒猫って何か不吉な感じだろ。まぁ、殺し屋の俺が言えた事じゃねぇけど」

 

「違う違う。黒猫は不吉なんかじゃないよ。小説とかだと、そういうイメージ強いけど、ホントは逆なんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「うん。黒猫はホントは甘えん坊さんで、人懐っこいんだよ。猫は孤独が好きな子が多いけど、黒猫はそうでもないんだ。ね、零士君にそっくりでしょ」

 

「……別に。俺はそんなんでもねぇだろ」

 

「まぁまぁ。そうだ、うどん、私が食べさせてあげるよ!」

 

 ここは大胆に行こう。ビッチ先生も言ってたもん。『奥手な人にはコッチから攻めないと』って。

 

「いや、いいって! それぐらい自分で……」

 

「はい。あ~ん」

 

 箸でうどんの端を持って、零士君の前まで持っていく。今は、恥ずかしいなんて言ってられない。ここは攻める所。

 

「自分で食える。だから箸返せ」

 

「ダーメ。私が食べさせるの。はい、あ~ん」

 

 零士君に徐々に箸を近づける。そこまでやると、流石に零士君も観念したようで、

 

「あ、あーん」

 

「美味しい?」

 

「あ、ああ、美味しい」

 

「よかった!」

 

 零士君のその素っ気なく、だがらこそストレートな言葉に思わず笑みが溢れる。せっかくだからもう一度。

 

「もうやらせねぇよ。何度もやらせてたまるか」

 

「もー、いいじゃん!」

 

「じゃあ、俺が食べさせてやるよ。何か、やられっぱなしは気に食わねぇからな」

 

 ……どういう事?

 

「ほら。あーん」

 

「~~ッ////! れ、零士君! いきなり……////」

 

「人にやらせといて、自分はやらないのな」

 

「わ、分かったよ。や、やる///」

 

「はいよ。あーん」

 

「あ……あーん////」

 

 食べた後、私は俯いて顔を上げられなくなってしまった。恥ずかしい要素が多過ぎるのだ。“あーん”してもらい、間接キスで、零士君が私の反応を楽しむ様にコッチを見てる。顔はしばらく上げられそうにない。

 

「いつまで下見てんだよ。食器、片付けとくぞ」

 

「えっ……う、うん。分かった」

 

 食べるの早いなぁ。

 

 

 その後、私が零士君に宿題を教えてもらったり、2人共苦手な数学を一緒にやったりした。ってあれ? 私……教えてもらってばっかり。

 

 そして、時間も19:30。そろそろ帰らないと。

 

「ゴメンね、零士君。私、そろそろ帰らないと……」

 

「いや。むしろ悪かったな、こんな遅くまで」

 

「ううん。私も楽しかったよ」

 

「送るよ。もう暗いしさ」

 

「大丈夫。零士君、風邪ひいてたんだから」

 

「そうか。じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 そこで、私は1つ疑問が残っていた。ここで帰ると聞く機会はないし、聞こう。

 

「そういえば零士君。優希君がこの時期に風邪を引くのはいつもの事だ、って言ってたけど、どう言う意味?」

 

「ん? 大した事じゃねぇよ。ただ、副作用だよ、実験の。薬とか色々やられたからな。後は、“オーバーロード”の使い過ぎもだけどな」

 

「そっか。なんかごめんね」

 

「いいって。知っててくれる人がいるのは、結構気が楽になるから」

 

 そして、今度こそ家を出た。私は、玄関で見送る零士君にもう一度手を振って、帰路に着いた。明日から、また忙しくなるな~。でも、すごく楽しみ。




この2人、くっつきそうでくっつかない。初々しいけど、イライラする。そう思って頂けると幸いです。
今週いっぱいまで、テストがあり、少し更新が遅れています。元の頻度までは辛いですが週2回ぐらいはやりたいな。
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