零士とゼロの書分け面倒い。多分その内どちらかの話し方で統一させる予定。それまで我慢。
「渚、黒羽君。班の人数揃った? 決まったら学級委員の私か磯貝君に言ってね」
「……班?」
「忘れたの? 来週の修学旅行のよ」
椚ヶ丘は来週から修学旅行。だからみんなのテンションは少なからず高い。
「あぁ、班か……」
「どうしたの、零士君」
「A組ではもう決めてたからさ。完全に忘れてたよ…」
「そっか…。やっぱり、残念だった?」
「いや、このクラスで行けるんだ。むしろ楽しみだよ」
すると殺せんせーが不満でもあるのか言ってくる。
「全く…3年生も始まったばかりのこの時期に総決算の修学旅行とは片腹痛い。先生、あまり気乗りしません」
「「「「「ウキウキじゃねーか!」」」」」
殺せんせーは側に自分よりも大きなリュックを準備し、興奮した様子で言う。
「殺せんせー、説得力ないよ」
「にゅやッ、そ、そうですか、零士君」
「うん、たかが修学旅行なのに何、その荷物。黒ひげとかミニ四駆とか大根? とか絶対いらないよ」
零士は呆れ顔で指摘する。大根が何であるのだろう。コンニャクや曲線定規まである。
「…バレましたか。正直先生、君達との旅行が楽しみで仕方ないです」
「(こんな教室でも行事は沢山ある。だけど殺せんせー、お前は修学旅行には行けねぇよ。俺が
「知っての通り、来週から京都二泊三日の修学旅行だ。君等の楽しみを極力邪魔はしたくないがこれも任務だ」
烏間先生が体育の時間終わりに皆んなに説明する。
「…て事はあっちでも暗殺?」
岡野が代表して烏間先生に疑問を言う。
「その通り。京都の街は学校内とは段違いに広く複雑。しかも…君達は班ごとに回るコースを決め、奴はそれに付き添う予定だ。狙撃手を配置するには絶好の場所。既に国は狙撃のプロ達を手配したそうだ」
烏間先生がそう説明するが零士は別の事を考えていた。
「(烏間さんから昨日もらったオーダーメイドの武器。試して見たけどいい感じだ。国には悪いけど早い所実行しねぇと)」
「所で黒羽君、班決まった?」
「ははは、まだ。やっぱり、元A組だから警戒されてんのかな、僕」
そんな話をしていると倉橋が近づいて来る。
「やっほ~、黒羽君。班ってもう入れてもらった?」
「まだだよ。今その事で片岡さんと話してた」
「じゃあよかったら、私達の所来ない?」
倉橋が嬉しそうな顔で零士を誘う。
「本当? 倉橋さんがいいなら入れてもらおうかな? あ、だけど他のメンバーは? いきなり僕なんかが入ったら何て言うか……」
すると倉橋は片岡の方を見ながら笑顔で言った。
「だってよ、メグちゃん。何て言う?」
「そうねぇ、いいと思うよ。多分みんなもそう言うと思う。じゃあ黒羽君は私達1班でいい?」
「何だ、片岡さん、僕の事誘ってくれても良かったのに…。誰も誘ってくれなくて凹んでたんだよ」
「ゴメンゴメン。じゃあ、みんな所行こうか」
「というわけで、黒羽君もこの班でいいかな?」
「いいぜー、よろしく、零士」
「零士、よろしく」
「よろしくな、黒羽」
「よろしく、黒羽」
「黒羽君、よろしくね」
上から前原、磯貝、木村、岡野、矢田の順で言う。
「あぁ、よろしく、みんな」
「じゃあみんな、殺せんせーの暗殺のスポット、どこか良い所ある?」
「私、八ツ橋食べたいなぁ~」
「陽菜乃、それは後ね…」
こんな感じで食べ物や観光の方に逸れて中々進展しない。
「そうだなぁ、中々いい案がでないな。零士はまだ言ってないよな。何かあるか?」
磯貝が困った様子で零士に尋ねる。
「僕? そうだなぁ、殺せんせーって速いからなぁ。動ける範囲が狭くなるといいよね。だけど周りに被害が出ないようにしないと…」
零士は真面目に答える。
「じゃあさ、ここなんかどう?」
岡野がガイドブックを差しながら言う。
「ん? 嵯峨野トロッコ列車か。確かにこれなら鉄橋の上で停車するし、どうにかして殺せんせーに窓から身を乗り出させればいけそうだな」
零士が岡野の意図を読み取り、補足の説明をする
「じゃあ、俺ら1班はここにするか!」
その後はより完璧な計画を目指して意見を出し合ったり、観光などの話で盛り上がった。
とはいえ零士はこの話に加わらず、自分のプランを練っていた。
「フン、みんなガキねぇ。世界中を飛び回った私には旅行なんて今更だわ」
ビッチ先生がはしゃぐみんなをバカにする様に言う。
「じゃ留守番よろしく、ビッチ先生」
「花壇の水やりやっといて~」
そんな感じでビッチ先生をスルーし、みんなは会話を続ける。
「何よ! 私抜きで楽しそうな話、してんじゃないわよ!」
「あーもー! 行きたいのか、行きたくないのか、どっちなんだよ!」
「ビッチ先生! 教室で銃出さないでよ! しかも本物!」
零士も思わずツッコむ。
そんな時、殺せんせーが何かを持って入って来た。
「あ、殺せんせー、何それ」
「よくぞ聞いてくれました、渚君。はい、1人一冊です」
そう言って、マッハで全員に渡してくる。
「重っ…」
「何これ、殺せんせー?」
「修学旅行のしおりです」
「「「「「辞書だろこれ!」」」」」
全員がツッコむ。零士もだんだんこのクラスでツッコむ様になってそのスキルが上がった事を実感している。
「殺せんせー。僕これ、広辞苑か何かかと思ったよ。こんなに厚くて何書いてあんの?」
すると殺せんせーが興奮して言う。
「イラスト解説の全観光スポット。お土産人気トップ100。旅の護身術、入門から応用まで。昨日徹夜で作りました。初回特典は組み立て紙工作、金閣寺です」
「どんだけテンション上がってんだ!」
「揃いも揃ってウチの先生は!」
「殺せんせー、出来たよ、金閣寺。でも僕、金閣寺より銀閣寺の方が好きかな? それはないの?」
零士はさっきの説明の間に金閣寺を作りあげていた。
「そうなんですか? ではその内全員分用意しておきます。このしおりの銀閣寺バージョンを」
殺せんせーがもう1つ作りそうになると皆がまたツッコむ。
「いらねぇよ! 零士も殺せんせーに乗るな!」
「大体さぁ、殺せんせーなら京都まで1分で行けるっしょ」
「もちろんです。ですが移動と旅行は違います。皆で楽しみ、皆でハプニングに遭う。先生はね、君達と一緒に旅出来るのが嬉しいのです」
3-Eは暗殺教室。普通よりも盛り沢山になるだろう修学旅行にクラスの多くはテンションが上がっていた。
…………
「烏間さん。ちょっといい?」
零士は放課後、みんなが帰り、殺せんせーもどこかに行ったのを確認してから職員室に行った。
「どうした、零士君。いやゼロ。武器の方に何か不備があったか?」
「いや、期待以上の出来だ。という訳で明日の朝、奴を殺します」
零士は殺し屋“ゼロ”の雰囲気を漂わせ、暗殺をやると告げる。
「分かった。何か他に準備するものはあるか?俺は明日、会議があってここには来れないが、部下に用意させよう」
「そうだなぁ、じゃあさ、殺せんせーに効く長い縄を何本か用意してくれ」
「ゼロ、そんなの当たらないわよ。あのタコは知っての通りマッハで動くのよ」
ビッチ先生が職員室に入って来て、零士の言った事に指摘する。
「んな訳ねぇだろ。ちょっと違うんだよ。でも教えねぇよ。お前に横取りされちゃ困るからな、まぁ、お前に横取りなんて無理だろうけど」
「本当何なのよ、アンタ! 本当にムカつく!」
ビッチ先生が零士の言葉に腹を立てる。とはいえ、全く気にする様子は零士にない。
「分かった。明日この部屋に置いておく様に言っておく。他にはあるか?」
「ん? もうねぇよ。まぁ、あるとすれば“駒”かな? まぁ、今から連絡して準備するよ」
「駒? 何よそれ」
「まぁ、黙ってろって」
そう言うと零士はスマホを取り出し電話を掛ける。
{もしもし、黒羽君? どうしたの?}
零士が電話を掛けた相手は倉橋だ。
「あっ、倉橋さん? ゴメンね、いきなり電話しちゃって。今大丈夫?」
{うん、大丈夫だよ}
「実はさ、明日、いつもより1時間位早めに学校に来てくれない?」
{黒羽君、暗殺でもするの? じゃあ他にも何人か声かけとくね}
「あ、待って!」
零士がわざとらしく声を大きくして言う。
{えっ…何? 他にも何かあるの?}
「えっと…そうじゃなくて……///。倉橋さん、暗殺じゃないんだ。その……///あの…、明日の朝学校で2人っきりで話したい事があるんだ…////」
零士の様子は烏間先生とビッチ先生から見ると実にわざとらしいものだった。しかし中学生を騙すのには十分だった。それがルックスのいい黒羽からの話なら余計に騙されてしまう。
{えっ……///う、うん///。いいよ、分かった…///。明日早めに行けば良いんだね…///}
「うん、じゃあお願いね。また明日」
{また…明日……///}
そう言って零士は電話を切った。
「ふぅ、いやぁ、慣れねぇ事はするもんじゃねぇな」
「アンタ、陽菜乃に何するつもりなの? あんな期待させる様な事言って」
「さぁね、でも嘘は吐いてない。
そうだ、烏間先生、少し模擬暗殺に付き合ってくださいよ」
「分かった。君の本気が見れるのを期待してもいいんだな」
「…勿論。期待してろよ」
そして裏山の方に3人は出た。
「じゃあルールは授業と同じでお願いします」
「分かった。イリーナ、開始の合図を頼む」
零士は靴のストッパーを解除し、ダガーを右の腰に下げ、ナイフを左手に持つ。
烏間先生を重りを少し外して準備万全だ。
「では、模擬暗殺開始!」
「はぁ!」
その掛け声と共に零士は勢い良く攻めていく。主に靴に仕込んだナイフを駆使して蹴りを繰り出す。
烏間先生はそれを授業と同じ様に捌いていく。だが確かに違うのは2人共無駄な事を話す様子はなく、零士の手数の多さに烏間先生が焦っている点だ。
「くっ……これが…本気か!」
「まだ50%ってとこですかね? んじゃそろそろダガーで行きますよ!」
すると零士は右腰からダガーを抜き、右手で持つ。すると先程をはるかに上回るスピードと手数で押し始める。
その結果烏間先生も1つギアを上げ2人の模擬暗殺は10分を経過した。
「はぁはぁ、烏間さん、アンタ化け物かよ…。10分そろそろ経つよ」
「俺も…そろそろヤバいな」
「じゃあ、折角の新しい武器なのに勝てないのはダサいので次の一撃で決めます」
その言葉に烏間先生は身構える。しかし次の瞬間、烏間先生はいつの間にか背後にいた零士にダガーを当てられていた。
「なっ……。後ろ?」
「俺の勝ち。もしこれが本当の暗殺だったら……烏間先生、
「縮地術! まさか…アンタが使えるなんて」
「イリーナ、何だそれは?聞いた事がないぞ」
「当たり前よ。このスキルは使える奴が10人いるかいないかと言われる程の幻のスキルなんだから」
「そんなスキルなのか?」
烏間先生は驚きが隠せず、説明をしたビッチ先生も驚いている。
「まぁな。まぁ、簡単に言うと高速移動って所かな? でもちゃんとしたやり方でやんねぇと全身の筋肉をつる様なスキルだ。その分出来れば初速だけならあのタコよりも速いぜ」
「確かに、あれは知らなければ避けられないな」
「って事だ。明日、ちゃんと頼んだの、よろしくな。そうそう、烏間さん、イリーナ、殺せんせーに最後の挨拶しておけよ」
そう言って零士は帰って行った。
「ねぇ、カラスマ。ゼロの奴、殺せると思う?」
「さぁな。だが、今まで密かに送り込んで来た殺し屋の中では一番可能性がある」
「そうね。明日、どうなるのかしら」
2人は狂っているとも言える零士のやり方に複雑な心境になっていた。
2人が不安を抱く中、殺し屋“ゼロ”が暗殺を実行する。成功する事は出来るのか…。
全ては明日の朝、決まる。
次回は零士、いや殺し屋“ゼロ”の暗殺。彼のチート技“縮地術”。実際の意味とは大分違いますがこの小説内では高速移動の様なものという事でいきます。
お気に入りも少しづつですが増えてきて嬉しいです!これからもよろしくお願いします!